楠田亜衣奈が2月3日、チームスマイル・豊洲PITにて『楠田亜衣奈 さんくっすんBIRTHDAY 2018 ～COLOR PALETTE SHOW～』を昼夜2公演で開催した。本稿では、夜の部をレポートする。

　2016年から始まったバースデーイベントも今年で3回目。前回のバースデーイベント『さんくっすんBIRTHDAY～レベル28～』は、勇者に扮した楠田が魔王討伐を行うというRPGゲームをモチーフにした物語だった。今回は舞台を“カラフル王国”に移し、くっすん姫に扮した楠田が博士役の笹岡幸司やブラックウイカ／ホワイトウイカ役のファーストサマーウイカ（BILLIE IDLE®）と共に、ライブと劇を組み合わせたエンターテインメントショーを繰り広げた。

　「You Can't Stop The Beat」の軽快なメロディが会場に流れると、楠田がダンサーと共にステージに登場。小道具の日傘を手に軽快なステップを見せ、時にはダンサーとラインダンスを披露するなど、楠田の可愛らしい姿に会場の視線が一気に集まった。本公演では、くっすんサポーター（ファンの呼称）が“カラーパレット”と呼ばれるシンクロライトを腕に装着しており、楽曲や芝居にあわせてカラフルな色でライブを演出。ファンと一体となってひとつのステージを作り上げていく様子は、実に楠田らしいライブであるという印象を受けた。

　「JUMP UP」を披露したところで舞台パートがスタート。誕生日パーティーの準備をしていたくっすん姫と博士のもとに東の森の魔女・ブラックウイカが登場。カラフルな色が嫌いだという彼女は、節分の豆まきを挟んだのち、魔法の力でカラフル王国をモノクロの世界に変えてしまう。西の森の魔女・ホワイトウイカから「1色ずつ色を思い浮かべながら曲を歌うことで色が戻って来る」と聞いたくっすん姫は、早速「レイニーマーメイド」で一色目の青色を取り戻すことに成功。その後も、博士やブラックウイカと流行のネタやアドリブ満載のコミカルな芝居を繰り広げつつ、「HO♡HOLIDAY」「magic」「ハルイロレジュメ」などを歌唱して次々と王国に色を取り戻していった。

　『First Sweet Wave』『Next Brilliant Wave』『カレンダーのコイビト』と、2015年から毎年1枚ずつというハイペースでアルバムをリリースしている楠田。今回は劇パートがあるため、アンコールを含めて全15曲と曲数を絞ってライブに臨んでいたが、テーマ（今回は“色”）を決めた上でコンセプチュアルなセットリストを組めるようになったのも、彼女の中の引き出しが増え、これまで以上に選曲の自由度が増したからだろう。歌声をしっかり聴かせるバラードからエレクトロなダンスナンバー、激しいギターロックまで、彩り豊かな楽曲群がファンの心を満たしていくのを感じた。

　無事王国に色が戻った後は、本編を締めくくるエンディング曲「まいにち誰かのハッピーデイ♡」を披露。楠田を含めたキャストとダンサーが踊る様子はミュージカルのような趣もあり、小道具の大きなケーキも登場するなど、会場全体がハッピーな空気に包まれた。

　楠田はこれまでもファンと楽しさを共有する場所としてライブを行ってきた。コミカルな劇パートや、歌やダンス魅せるライブパートからは、過去のステージを越えるような楽しさを生み出したいという楠田の意気込みを感じることができ、客席の笑い声が終始絶えなかったのも印象的だった。

　『カレンダーのコイビト』のリリースインタビューで「今までは「ファンの方に楽しんでもらえたら一番だな」という気持ちでしたけど、「私の好きなものを詰め込みたい」って気持ちに変わってきましたね」（参考：楠田亜衣奈 インタビュー（リスアニ！WEB））と語っていたように、これまで以上にフリーキーなステージを展開した楠田。自分のやりたいことが明確になったからこそ、楠田らしさが滲み出るアットホームなライブを作り上げることができたのだろう。4月に1stシングル『ハッピーシンキング！』をリリースし、さらに8月からは3rdライブツアーもスタートする楠田。次のライブでは、より一層くっすん濃度の高いステージを見せてくれそうだ。

（文＝泉夏音）

■リリース情報
1stシングル「ハッピーシンキング！」
発売日：2018年4月25日（水）
詳細情報

■ライブ情報
楠田亜衣奈3rdライブツアー
8月4日（土）名古屋
8月11日（土）仙台
8月12日（日）横浜
8月18日（土）福岡
8月19日（日）大阪
9月1日（土）東京
※詳細は随時発表

楠田亜衣奈公式サイト