枯れることのない声、途切れないギター。この先も俺はずっと歌い続けていくんだ――そんな決意のような強さが彼の歌には滲んでいるように思えた。「オーガスタキャンプ、こんなに長く続くとは思っていませんでした」。短い感謝の言葉の後にこう述べた山崎の表情には、万感の思いが溢れていた。彼自身もまた、ここまで長く音楽活動を続けてこられるとは思っていなかったのだろう。

　アンコールでは、お馴染みオーガスタのアーティスト全員によるステージで、新曲「21世紀マン」「根無し草のラプソディー 2015」、そして恒例のオーラス「星のかけらを探しにいこうAgain」が披露され、山崎のデビュー20周年を祝うステージは終幕を迎えた。普段はシャイであまのじゃくな山崎も、この日ばかりは違っていた。オーガスタの仲間たちや1万5千人の観客によるお祝いの言葉を、照れながらも真摯に受け止めようとしていたのが印象的だった。

　そんな20周年イヤーを締めくくった山崎は、10月30日から21年目のキャリアの幕開けとして『“Twenty First Century Men” TOUR 2015-2016』の旅に出る。筆者の予想だが、おそらくこのツアーは今回のオーガスタキャンプで体感したことが反映されたものになるだろう。7時間耐久というトライアスロンばりのステージをやり遂げた、という自信。20年という軌跡を振り返ることで芽生えた新たな衝動。年齢的には活動のスローペース化や寡作化が進んでもおかしくない山崎だが、それとは対照的な活動ぶりや音楽性を予感させるステージが待ち受けていると予想する。本人は冗談交じりに「5年ぐらい休みが欲しい」とこぼしたりもするが、それも21年目のスタートダッシュに向けて気持ちが昂っていることの照れ隠しであるのだろう。心身ともに新たなエネルギーで満たされた、山崎まさよしのこれからに期待したい。

（文＝樋口靖幸／『音楽と人』）

■ツアー情報
山崎まさよし　20th Anniversary Tour『"Twenty First Century Men" TOUR 2015-2016』
10月30日（金）厚木市文化会館 大ホール 18:30／19:00
11月1日（日）福岡サンパレス 17:30／18:00
11月3日（火祝）市民会館崇城大学ホール（熊本市民会館） 17:30／18:00
11月7日（土）島根県民会館 17:00／17:30
11月8日（日）周南市文化会館 17:00／17:30
11月21日（土）よこすか芸術劇場 17:15／18:00
11月22日（日）バロー文化ホール（多治見市文化会館）　17:00／17:30
11月28日（土）紀南文化会館　大ホール 17:00／17:30
11月29日（日）なら100年会館　大ホール 17:00／17:30
12月6日（日）桐生市市民文化会館シルクホール 17:00／17:30
12月20日（日）紋別市民会館　大ホール 16:30／17:00
12月22日（火）わくわくホリデーホール（札幌市民ホール）　18:00／18:30
12月27日（日）大宮ソニックシティ 大ホール　16:45／17:30
1月8日（金）日本特殊陶業市民会館フォレストホール　18:30／19:00
1月10日（日）舞鶴市総合文化会館　大ホール　17:00／17:30
1月11日（月祝）オリックス劇場 17:00／17:30
1月15日（金）習志野文化ホール　18:30／19:00
1月23日（土）四日市市文化会館 第1ホール　17:00／17:30
1月30日（土）岡山市民会館 17:00／17:30
1月31日（日）上野学園ホール（広島県立） 17:00／17:30
2月6日（土）和歌山市民会館 大ホール　17:00／17:30
2月7日（日）神戸国際会館　こくさいホール　17:00／17:30
2月11日（木・祝）東京エレクトロンホール宮城　16:30／17:00
2月13日（土）大館市民文化会館 16:30／17:00
2月14日（日）南相馬市民文化会館 16:30／17:00
2月17日（水）NHKホール 18:00／19:00
3月5日（土）ロームシアター京都　メインホール　17:00／17:30
3月12日（土）ユメニティのおがた　17:30／18:00
3月13日（日）鳥栖市民文化会館　17:30／18:00
3月19日（土）新潟県民会館　17:30／18:00
3月20日（日）本多の森ホール　17:00／17:30
4月1日（金）ひめぎんホール（愛媛県民文化会館） 18:00／18:30
4月3日（日）高知市文化プラザかるぽーと 17:00／17:30