日本において圧倒的な存在感を示しているのはオリコンによる「シングルチャート」。同チャートは集計サンプルからCDの推定売上げ枚数を算出した純粋なフィジカルを示すもの。オリコンでは他に「着うたチャート」などを発表しているが、一般的なダウンロード数やストリーミング数を基にしたものは未だ発表していない。日本ではかつて着うたが一世を風靡したとき、着うた系チャートが乱立し上手く機能しなかった。「着うた1位」「○万ダウンロード」といった言葉だけが一人歩きして、フィジカルと照らし合わせた実態が正確に反映されなかったという苦い経験がある。そういった背景からもCD以外の要素をミックスしたチャートを作るのにはまだ時間がかかりそうだ。

　このように「音楽チャート」と言っても、その表すものはそれぞれ微妙に異なる。音楽の売り方がCDからデジタル、ストリーミングと多様化するなかで、どうすればその実態を正確に反映させられるか、各チャートとも試行錯誤しているのが現状だ。自分が普段チェックしているチャートは一体どのような算出方法で導かれたものか。そんなことを頭の片隅に置いて見てみると、これまでとは違った発見があるかもしれない。

（文＝北濱信哉）