生成AIで市場調査から分析、資料作成まで支援 矢野経済研究所とJAPAN AIが新サービス「YDBエージェント」を提供開始

 株式会社矢野経済研究所とJAPAN AI 株式会社が共同開発した、生成AIを活用した市場調査支援サービス「YDBエージェント」が、10月22日より提供開始された。同日、都内にて記者発表会が開かれ、水越孝氏(株式会社矢野経済研究所 代表取締役社長)、工藤智昭氏(JAPAN AI 株式会社 代表取締役社長)が登壇した。

矢野経済研究所の調査データとJAPAN AIの技術を融合

 YDBエージェントは、矢野経済研究所が保有する過去5年分、1000タイトル以上の市場調査レポートをAIで横断的に参照し、質問に対して出典付きで回答したり、PowerPointやExcel形式の資料作成が可能な新サービス。YDB(ヤノデータバンク)は、矢野経済研究所が提供する法人向け会員制サービスで、同社の市場調査レポートを閲覧・利用できるもの。YDBエージェントは、その会員向けの新オプションサービスとして位置づけられている。

 矢野経済研究所は、1958年の設立以来、市場調査を手がけ、豊富なレポート・データを資産として保有している。一方のJAPAN AIは株式会社ジーニーのグループ会社として設立された戦略的AIカンパニー。企業の業務における生成AI活用を支援し、AIソリューションの開発・運用を通じて、多様な業界や産業の業務効率化と生産性向上を推進していく。今年4月1日付で業務提携した両社は、双方の強みを組み合わせた新サービス開発に取り組み、今回、矢野経済研究所の既存顧客だけでなく、新規顧客も対象として提供する。

 水越氏は、矢野経済研究所が自信を持って提案できるのは自社がこれまで収集してきたファクトであるとアピール。「情報の品質や精度について疑問を持たれるお客様に対して、自信を持って提供できる、確かな経営判断ができるサービスであると確信しております」と話す水越氏は、単に情報を提供するだけではなく、迅速な意思決定と正確な経営判断に対して貢献していくことが矢野経済研究所のミッションであると述べる。

 JAPAN AIは、上場企業の戦略的AIカンパニーとして、ユーザー数2万人、2200社以上のDX・AI活用を支援し、国内大企業からも採択されている。工藤氏は独自に開発された社内の文書を検索してAIが回答する技術「RAG」を紹介。ベンチマーク「EnterpriseRAG-Bench」において、自社計測で88.36点を記録し、同ベンチマークの公開リーダーボードに当てはめると3位に相当する、グローバル水準では非常に競争力のある技術だという。また、調査データへの質問事項に関して、一切データとして残ることはなく、学習もしないモデル基盤となっており、「大事な業務を非常に安心した環境で提供できるというところが特徴になっております」と工藤氏は説明した。

 YDBエージェントの主な特徴として、目的に応じて使い分けられる4つの専門AIエージェントがある。必要な情報を検索・抽出する「YDB Search」、市場の全体像を把握する「サマリー作成」、枠組みに沿って収集・分析する「フレームワーク分析」、先行事例・営業先候補を収集する「事例収集」を搭載。今後は本サービスのさらなる機能拡充や、新たな協業領域の検討を進めていく方針だとしている。

 質疑応答では、「今後、ほかのレポートも活用できるようになることはあるのか」という記者からの質問に、水越氏は「現時点では、私ども矢野経済研究所の情報がベースになります」と回答。「確かな情報がベースにあり、その中から分析ができるというのを、まずは一番のセールスポイントにしたい」と言葉を重ね、「他社のブランドの情報等については現時点では考えておりません」とコメントした。

 また、新たな業界進出での成功の可能性についてYDBエージェントに判断を委ねた場合についてどうなるか、といった質問に対して、工藤氏は「新しい業界に参入する際の市場規模、各プレイヤーがどのようなお客様を押さえているのか、市場がどうなっていくかに関しては、非常に分かりやすくなっていいます。イノベーションの情報を統合的に扱うことで、新しい切り口での新規事業は非常に見つけやすくなっているのではないかと思います」と高い精度でのAIからの回答を自負していた。

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