NANAのテック・アルテミス 仕事に役立つBizテック観測所(第48回)
オープンイヤー型イヤホンって何が良いの? 耳をふさがずに楽しむ『Shokz OpenFit Air 2』の魅力

イヤホンで音楽を聴いていて、家族から話しかけられたことに気づかなかったり、インターホンの音を聞き逃した経験はないだろうか。作業中に好きな音楽やポッドキャストを楽しみたいけれど、周囲の音が聞こえなくなるのは困る。そんな人に試してほしいのが、「オープンイヤー型」のイヤホンだ。
イヤホンといえば、耳の穴にイヤーピースを入れるカナル型や、耳の穴の入り口に引っ掛けるようにして使うインナーイヤー型を思い浮かべる人が多いだろう。近年はそこに、耳の穴をふさがず、周囲の音を聞きながら音楽や音声コンテンツを楽しめるように設計された「オープンイヤー型」が加わり、選択肢の幅が広がっている。
オープンイヤー型にはいくつかの方式がある。振動を骨に伝えて音を届ける骨伝導方式に対し、耳の近くに配置したスピーカーから空気を通じて音を届けるのが空気伝導方式だ。どちらも耳の穴をふさがずに音を聴けるが、音を伝える仕組みは異なる。
こうしたオープンイヤー型のイヤホンを早くから手がけてきたメーカーのひとつが、Shokz(ショックス)だ。骨伝導イヤホンで知られる同社は、空気伝導方式を採用した製品も展開している。今回取り上げる『OpenFit Air 2』も、そのひとつだ。
『OpenFit Air 2』は、耳に掛けて装着する空気伝導方式の完全ワイヤレスイヤホン。オープンイヤー型ならではの特徴に加え、軽さや装着感、日常使いに必要な機能を備えている。今回は実際の使用感も交えながら、本製品の特徴とオープンイヤー型イヤホンの使いどころを紹介する。
片耳7.2gの軽さと、低音を楽しむための工夫

『OpenFit Air 2』は、骨伝導イヤホンで知られるShokzが2026年9月に発売したオープンイヤー型イヤホンだ。価格は1万9,880円(税込)で、カラーはブラック、ホワイト、アイスブルーの3色を用意する。
本体の重量は片耳約7.2gで、2024年発売の初代『OpenFit Air』から約17.2%軽量化された。充電ケースを含めても約60.8gに収まっている。
装着方法は、耳にフックを引っ掛けるタイプ。イヤーフックには直径0.75mmのニッケルチタン合金製フレームを採用し、軽さと装着時の安定性を両立するよう設計されている。肌に触れる部分にも柔らかな素材を使用した。
オープンイヤー型では、耳を密閉しない構造上、低音の再現が課題になることがある。『OpenFit Air 2』は、独自の「Bassphere」ドライバーと「OpenBass 2.0」アルゴリズムを採用。2基の11.8mm高感度ドライバーを対向配置するなど、低音をしっかり楽しめるよう工夫している。
また、「DirectPitch」技術によって、耳に向かう音を効率よく届けながら、周囲への音漏れを抑える設計とした。ただし、音量や周囲の環境によっては音漏れすることもあるため、静かな場所では音量に気を配りたい。
音質は、専用のShokzアプリから調整できる。複数のプリセットに加え、好みに合わせて音を調整できるカスタムEQも用意されており、音楽だけでなく、ポッドキャストやニュースなど、声を中心としたコンテンツにも合わせられる。

バッテリーはイヤホン単体で最大8時間、充電ケースとの併用で最大36時間の音楽再生に対応する。初代『OpenFit Air』の最大6時間、ケース併用で最大28時間から延びており、10分間の充電で約3時間再生できる急速充電にも対応した。通勤や通学だけでなく、家事や仕事中にも使いたい人にとって、充電の頻度を抑えやすい仕様だ。
接続面ではBluetooth 6.1に対応し、スマートフォンとパソコンなど2台の機器に同時接続できるマルチポイントも利用できる。通話時にはデュアルマイクとAIノイズリダクションを組み合わせ、周囲の雑音を抑えながら声を拾う仕組みを採用した。イヤホン本体はIP55、充電ケースはIP54の防塵・防滴性能を備えている。
一方、アクティブノイズキャンセリングには対応していない。周囲の音を聞きながら使うことを重視した製品なので、騒音を遮断して音楽に集中したい場合には、ノイズキャンセリング対応のカナル型イヤホンなどを選ぶほうがよいだろう。
家事や仕事中にも、耳をふさがないから広がる使い方

筆者は普段、ノイズキャンセリング対応のイヤホンを使っているが、外出中にノイズキャンセリングを有効にすることはあまりない。
自宅から最寄り駅まで歩く道には車通りの多い道路があり、周囲の状況を把握できるよう、外の音を遮断するのは避けている。また、取材でさまざまな場所へ出かけることもあり、電車内では駅のアナウンスを聞き逃さないよう、外部音取り込みモードにしていることが多い。
ただ、外出中に外部音取り込みモードを使う機会がこれほど多いなら、そもそも耳をふさがないオープンイヤー型のイヤホンを使うのもよいのではないか。そんなことを考えるようになった。
これまでさまざまなイヤホンを使ってきたが、ノイズキャンセリング性能をアピールする製品は多い一方、外部音取り込みモードの聞こえ方には製品によって違いがある。外部音取り込みモードは、マイクで拾った周囲の音をイヤホンから再生する仕組みのため、製品によっては周囲の音が加工されたように聞こえ、実際にその場で聞く音とは少し違って感じられることもある。
その点、オープンイヤー型は耳の穴をふさがないため、周囲の音が自然に耳へ届く。実際に『OpenFit Air 2』を使ってみても、外部音取り込みモードと比べて周囲の音が不自然に感じられることはなく、耳をふさがないぶん開放感があった。音楽を聴きながら周囲の様子にも気を配りたいとき、モードを切り替えずに済むのは使いやすい。
装着感は、片耳約7.2gという軽さもあって軽快だ。耳に掛けるイヤーフックがあるため、装着している感覚は残るものの、耳の穴にイヤーピースを入れるカナル型とは着け心地が異なる。カナル型特有の圧迫感や蒸れが気になる人、耳の中に何かを入れる感覚が苦手な人にとっては、試してみる価値のある選択肢だろう。
音質についても、オープンイヤー型としては低音がしっかり出ていると感じた。カナル型のような低音の響きや迫力とは異なるものの、音楽を楽しむうえで物足りなさを感じにくい。
オープンイヤー型の使いやすさを実感しやすいのが、家事や仕事をしているときだ。例えば、料理や洗濯をしながら音楽やラジオ、ポッドキャストを聴いていても、家族からの呼びかけやインターホンの音に気づきやすい。パソコンで作業するときも、BGMを流しながら周囲の人の声に気を配れる。
スマートフォンのスピーカーで音楽を流すと周りの人にも音が聞こえてしまうが、カナル型イヤホンでは周囲の音が聞こえにくくなることもある。オープンイヤー型なら、自分の耳元で音楽を楽しみながら、家族や同僚とのやり取りにも対応しやすい。

散歩やウォーキングなど、屋外での使用にも適している。音楽やポッドキャストを聴きながら、車の走行音や周囲の人の声なども聞き取りやすいためだ。ただし、耳をふさがないからといって、周囲の音を必ず聞き取れるわけではない。音量や周囲の環境によっては車や自転車の接近に気づきにくくなることもあるため、歩行中や運動中は音量を上げすぎず、周囲の状況を確認することが大切だ。
もちろん、オープンイヤー型があらゆる場面に適しているわけではない。電車の走行音などが大きい場所では音楽が聞き取りにくくなることがあるため、周囲の音を遮断して音楽に集中したいときは、ノイズキャンセリング対応のイヤホンやヘッドホンのほうが使いやすいだろう。
イヤホンは、必ずしもひとつのタイプに絞る必要はない。騒音を抑えて音楽に集中したいときはノイズキャンセリング対応のイヤホン、家で仕事をするときや周囲の音を聞いていたいときはオープンイヤー型、じっくり音楽を楽しみたいときはヘッドホンというように、使う場面に合わせて選ぶのもよいだろう。
普段からノイズキャンセリング対応のカナル型イヤホンを使い、外部音取り込みモードに切り替える機会が多い人なら、『OpenFit Air 2』を試してみる価値がある。耳をふさがずに音楽を楽しみながら、家族の呼びかけや周囲の音にも気を配れる。いつものイヤホンでは少し不便に感じていた場面で、新たな選択肢になりそうだ。






















