トラックゲームに普通車が登場!『American Truck Simulator』が示す“ただ走る”ゲームの魅力
根強い人気を誇るトラックシミュレーションゲーム『American Truck Simulator』において、新たなダウンロードコンテンツ「Road Trip: Ford」が日本時間9月30日に配信された。
これによって同作はSteam上で2万人以上の同時接続数を記録。発売から約10年を経て、過去最高の盛り上がりを見せている。
乗用車とAtlasが広げる観光ドライブ
同作はチェコのゲーム会社・SCS Softwareが手掛けるトラックシミュレーターシリーズの1作品。ヨーロッパを舞台とした『Euro Truck Simulator 2』の姉妹作にあたり、アメリカ全土のランドマークが登場している。
トラックで各地に荷物を運ぶというシンプルなゲーム内容なのだが、多くのプレイヤーが「ただ運転をするだけ」という体験に夢中になっている。
そんな同作で今回配信されたDLC「Road Trip: Ford」では、トラックだけでなく一般車両の運転が可能に。「1967 Ford Mustang Fastback」や「2023 Ford F-150」、「2023 Ford Bronco」、「1998~2012 Ford Crown Victoria」といった伝説のフォード車に乗れるようになった。※1
また同アップデートでは、広大な風景をこれまでとは違った視点から楽しめる新機能「Atlas(アトラス)」も追加された。これはマップ上に設置された「Tourist Board(ツーリストボード)」を表示し、プレイヤーを世界各地のさまざまな「探索スポット」に導いてくれるというもの。
探索したスポットの説明を読むことができたり、いつでもそのスポットを振り返ったりできる上、探索した地域をモチーフにしたポストカードも入手できる。観光ドライブが一層楽しくなるシステムだ。※2
なお、このアップデートはマルチプレイの「Convoy」モードにも対応しており、友人と一緒に各地をめぐるという遊び方もできるようだ。
新機能の追加によってあらためて盛り上がりを見せる同作だが、アップデートの方向性自体は今までと変わっていない。むしろ、元々あった“良さ”を伸ばした形と言える。それは一言でいえば白熱したレースでも効率的な配送でもない、景色を眺めながら“ただ走る”という魅力だ。
従来の「車両の運転」をメインにしたゲームは、やはりレースゲームが主流だった。競争する相手が存在してそれを追いこす、または高スコアの獲得を目指す……といったゲーム性はとても分かりやすい。あるいはそこにはなるべくクレジットの回転率を上げたいゲームセンター文化の影響もあったのかもしれない。
そんな「車のゲームと言えばレースゲーム」といった時代に発売されたのが、2008年の『Euro Truck Simulator』だ。同作が追及したのは爽快なカーアクションではなく、運転のリアリティ。たくさんの荷物を積んで公道を走り、目的地などで駐車する、といった現実的なアクションをゲーム性として提供したのだ。
そこで明らかになったのが、「ただ運転をするだけで面白い」という意外な需要だった。超人的なレースゲームに興じていると忘れそうになるが、本来は運転するだけでもさまざまな難しさがあるもの。バックミラーやサイドミラーを見て車線変更したり、走行速度を調整したり、国によって違う道路交通法を遵守したり……。そうしたリアルな運転の難しさを、ゲームとして実装したのが同作の新しさだった。
またスコアや順位にとらわれない自由なドライブを求める層が、意外なほど多かったことも同シリーズの人気に繋がっている。リアルな車(トラック)を運転して、リアルに再現されたヨーロッパやアメリカをドライブすることそのものに、大きな需要があったことが示された。
雑談とハプニングが生む配信との相性
さらに2010年代後半になってからは、「ただ運転するだけ」というカジュアルなゲーム性が、ストリーマー文化とも結び付くことに。運転の難しさが適度なハプニングを呼び、適度に雑談を挟めるというゲーム性もあって、国内外問わず多くの配信者が同作をプレイしてきた。
ただ走ることの楽しさを、プレイヤーに提供し続けてきたトラックシミュレーターシリーズ。運転可能な車やマップが増えるだけで遊びの幅がぐっと広がるため、まだまだ拡張性もあり、今後の発展にも期待できるゲームジャンルだ。
参照
※1:https://x.com/SCSsoftware_JP/status/2102939780141256753
※2:https://x.com/SCSsoftware_JP/article/2086676714269343765