『あいの里』シーズン3視聴レポ 12年交際した恋人が女友達と結婚、その3カ月後に父も他界……54歳女性の新たな恋に涙

 「胃液が逆流するような恋、再び!」。Netflixリアリティシリーズ『あいの里』シーズン3の第1話には、そんなタイトルがつけられている。胸が高鳴るだけでは済まない、大人たちの恋。10月6日に配信された第1話から第8話までを観ると、この言葉に早くも頷きたくなる。

 今季の舞台は富士山のふもと。住民たちは、かつて牧場の建物だった赤いヴィンテージハウスで共同生活を送る。居住空間が広くなり、食費も増額。畑ではイタリアン食材を育て、足りないものはネットスーパーで注文する半自給自足の暮らしへと変わった。理想のスローライフをイメージした環境に、Xでも住まいや食事の改善を歓迎する声が見られる。

 ただ、暮らしがおしゃれになったからといって、住民たちまでスマートになったわけではない。盛り上げ役の元CA・親分は、はしゃぎすぎて声を枯らし、美容に余念がない最年長61歳のパクチーは、筋トレ中に顔を強打。モデルとしても活動するKEIは、高身長で端正な顔立ちだが、口数が少なく作業も不器用だ。54歳のメイク講師・キャッシーに至っては、意中の肛門外科医・バロンにお尻の悩みを相談し、問診を受けることになる。

アンチョビ再登場で波乱の幕開け

アンチョビの「勘違い劇場」開演! | あいの里 | Netflix Japan

 さらに、シーズン1の参加者・アンチョビが白いタキシードで登場。女性陣の投票により、無事に正式住民となった彼は、恒例の勘違いを繰り広げ、謎の先輩ヅラで里の空気を一気にかき回す。Xには再登場を喜ぶ声もあれば、トラブルメーカーぶりへの戸惑いも。それでも、今回は待ちの姿勢ではなく、自ら恋をした相手に告白し、「(鐘を)鳴らすって素敵だな」と語る姿には、思わず幸せを願いたくなる。

 見栄も張るし、嫉妬もする。周囲を苛立たせることもある。人生経験を重ねた大人たちも、恋をすれば余裕ばかりではいられない。おしゃれなスローライフのなかで繰り広げられる恋は、相変わらず不器用で、騒がしい。

 とりわけ心に残るのが、キャッシー。バロンの言葉に喜んだり傷ついたり、ちょっぴり痛い勘違いをして落ち込んだり。素直で頑張り屋だが、気持ちが先走って空回りし、無理に明るく振る舞おうとして疲れてしまうこともある。

 そんなキャッシーが毎朝欠かさないのがランニングだ。里にいる間に100キロを走るという目標を掲げる彼女には、走ることに支えられてきた過去があった。12年間交際し、結婚すると思っていた恋人が、信頼していた女友達と結婚。その事実をSNSで知った。さらに、その3カ月後には父も亡くしたという。悲しみを忘れるように走り続け、やがてフルマラソンを3時間台で完走するまでになった。

 明るく、パワフルに見えていた人の、別の顔を知る。同じ走る姿が、過去を知ると、それまでとは違って見えてくるのだ。

54歳キャッシーと59歳親分、恋のライバルが育んだ女同士の友情

 そして、その明るさだけを求めずに接してくれたのが親分だった。キャッシーが無理をしていることに気づき、「暗くて可愛いキャッシーが大好き」と伝える。いつも笑顔でいなくてもいい。落ち込むところも、不器用なところも、一緒に暮らすなかで知ったうえで好きになる。二人は同じバロンに惹かれる恋のライバルでもあるが、同居生活のなかで友情を育んでいた。キャッシーが告白を決意すると、親分は複雑な思いを隠さず、それでも彼女の勇気に涙し、成就を願う。

 仕事のために帰る日が迫るなか、100キロを走り切ったキャッシーは、人生で初めて自分から告白する。結果はさておき、彼女が里で得たものは、告白の成否だけでは測れない。

 結婚も出産もしていない自分には「何もない」と感じていたキャッシー。しかし、バロンには一番気を使わずに話せる相手だと言われ、親分をはじめ、仲間たちは涙を流して別れを惜しんだ。素直で頑張り屋で、ときに空回りし、疲れてしまう彼女がその人柄ごと愛されていた。

 「こんな人生で良かったんかなと思ってきたけど、私がちゃんと生きてきたから、ここに来れたんかなって」。キャッシーが語った言葉には、自分が歩んできた人生への肯定がある。得られなかったものに目を向けていた人が、すでに積み重ねてきたものに気づく。『あいの里』で過ごす時間は、自分の人生を棚卸しする機会でもあるのだろう。

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