にじさんじ・榊ネスは「好きなことで、生きていく」を体現する 多面的な活動に見る魅力と期待

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーのひとつであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む「歌ってみた」などの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。

 育成プロジェクトである「バーチャル・タレント・アカデミー(VTA)」からも新規ライバーがデビューし、現在約150名を超えるメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さでシーンに大きな影響を与えている。

 Idios、Oriens、Dytica、みたらし団と続いた“2023年期”。現在のにじさんじ人気を支える彼らのグループの後を追うように、2024年以降も多彩な面々がデビューすることとなった。北見遊征、魁星と続いて執筆したなかで、最後はこの男、榊ネスについて追いかけてみよう。

上品に見えた執事はギャンブル好きでパッションにあふれる青年?

  榊ネスは、2024年3月15日に初配信をおこない、にじさんじからデビューした。北見、魁星とともにリレー配信を行なってトリを務めていたのが、今となっては少し懐かしい。

 初配信では上品で優しいしゃべりでファンをニコリとさせていたが、「執事モードをオフにさせてください」と言い残して一呼吸置くと、「榊、神だし! 舐めんなしーー!!」と一気にトーンを上げて元気いっぱいな姿をみせたのだ。

 シックかつ装飾が施されたロングテールコート、白シャツにベスト、細身のドレスパンツというクラシカルかつフォーマルな出で立ち。だが榊は、執事としての一面を持ちながら、北見にも負けず劣らずの強いパッションを持った青年だったのだ。

【初配信】ご挨拶をさせていただきます【榊ネス/にじさんじ】

 おなじく初配信で明らかになったのは、なんと大のパチンコ好きであるということ。友人に誘われて足を運んだ際に、ビギナーズラックで確変に突入。初体験にして大勝利を収めただけでなく、パチンコ台独特のギラギラとした演出にヤラれた結果、その日を境にパチンコへ足しげく通うようになったという。

 現在でも時間をみてパチンコへ行くことがある榊の影響からか、デビューから数年が経て同期の北見と魁星もパチンコへ行くようになったとリスナーに報告。いまでは榊よりも北見と魁星の方がパチンコの新台に詳しかったり、パチンコ屋へ行く頻度が多かったりするらしく、「3SKMはマネージャー含めて、全員がパチンコ好きユニットになってしまった」「北見や魁星のファンに申し訳ない」と懺悔していた。

 ただそんな状況となっても、配信中の間話(かんわ)やとりとめのない話題の最中にパッとパチンコの話題を出してくる頻度は、やはり榊ネスのほうが多いようにも見える。配信のトークネタにパチンコの「赤保留(※大当たりの信頼度が高い予告演出のこと)」を挙げ、約1時間にわたって熱く語るなど、本人は「まだ歴は浅い」と謙遜しているが、榊のパチンコ熱が収まった様子はまったくないだろう。

赤保留の魅力【榊ネス/にじさんじ】

 有り体に言えば、榊ネスは賭け事が好きな人物と形容できる。そういった自身の趣味は活動にも反映されており、舞元啓介、伏見ガク、イブラヒム、レイン・パターソンといった先輩らとともに「にじパチ部」の一員として、にじさんじ内外のパチンコ/スロット関係のイベント、より範囲を広げて競馬やボートレースといった公営競技に関するイベントに、ゲストとして参加するようになった。

 ここで、「好きなことで、生きていく」という有名なキャッチコピーを引用したい。この言葉は、かつてYouTube Japanが2014年秋にYouTuberを起用して日本国内で行なったコマーシャルキャンペーンのコピーである。

 このコピーが登場してから、干支が1周分まわって12年の時が経った。その間、この言葉はいろいろな場面に現れては、ひとり歩きしていった。「好きなことで、生きていく」というコピーに込められた意味は、「嫌なことから逃げて生きていく」でもなければ「自分勝手に生きていく」でもない。同時に、「好きなこと」と切り離して向き合う“仕事”とも違う。

 「好きなこと」と仕事を切り離している場合、仕事を通して感じられる苦しみなどによって、「好き」という感情が濁されることはない。だが、「好きなことで、生きていく」、つまり好きなことを仕事にするとなれば、話は別だ。

 インフルエンサーでいえば活動、それを通してうまれるツラさ・キツさ・過酷さによって、もともと持っていたはずの「好き」という感情がだんだん弱まり、ついには消えてしまうことだってあるかもしれないのだから。

 そんなことを考えながら、榊ネスが賭け事を通じてさまざまな仕事に取り組んでいるのをみると、VTuberがYouTuberのDNAをしっかりと受け継ぎながら、こうして形となっているのだと印象深く見えてくる。

 VTuberという存在が、いまやYouTuberやインフルエンサーという在り方の一端になりえているのだと、あらためて感慨深い気持ちにさせられるのだ。

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