『あいの里』はなぜ“大人の恋リア”として支持される? 華やかなデートなし、老眼、病気、下ネタまで……生々しさが生む面白さ
恋リアといえば、若者たちのもの——そんなイメージも、もう古いのかもしれない。この秋、35歳以上の男女を主役に据えた2作品が相次いで幕を開ける。
10月6日にはNetflixリアリティシリーズ『あいの里』シーズン3が配信スタート。さらに10月22日には、Prime Videoの『ラブ トランジット 35+』も幕を開ける。後者は、かつて恋人同士だった5組の男女が共同生活を送る『ラブ トランジット』シリーズの新作。今回はシリーズ初となる元夫婦も参加し、恋愛だけでなく結婚や家族、キャリアなど、それぞれが積み重ねてきた人生にもスポットが当たる。
そんな“大人の恋リア”の先陣を切るのが、『あいの里』だ。2023年にシーズン1、2024年にシーズン2が配信され、約2年ぶりとなるシーズン3は全23話。初回の10月6日には8話が一挙配信される。
『あいの里』は、かつてフジテレビ系で放送され、一世を風靡した『あいのり』の制作チームが手がける恋愛リアリティーショー。35歳から60歳の男女が共同生活を送りながら、“人生最後の恋”を探していく。
では、なぜ『あいの里』は支持されてきたのか。そして、若者中心の恋リアとはひと味違う“大人の恋”の面白さは、どこにあるのだろう。
華やかなデートはなし、古民家暮らしで見える大人の素顔
まず、『あいの里』は、いわゆる“キラキラした恋リア”とはひと味違う。
恋リアには、美男美女が華やかなロケーションでデートを重ねるイメージもある。出演者も「一般人」とはいえ、モデルやインフルエンサーなど、“見られること”に慣れた人も少なくない。一方、『あいの里』に集まるのは、私たちの日常と地続きに感じられる大人たちだ。
舞台も豪華なリゾートではなく、古民家など。料理を作り、畑仕事をし、壊れた場所があれば自分たちで修繕する。恋の駆け引き以上に、一つ屋根の下で暮らす時間がたっぷりと映し出される。
思えば、こうした飾らない雰囲気は『あいのり』にも通じる。『あいのり』もまた、普通の若者たちがラブワゴンに乗り、決して豪華とはいえない旅を続けるなかで恋を育んでいく番組だった。旅と共同生活という違いはあれど、華やかな舞台で恋を演出するのではなく、ともに生活するなかで参加者の素顔を浮かび上がらせる。そのDNAは、『あいの里』にも確かに受け継がれている。
ただし、『あいの里』で共同生活を送るのは、すでに何十年もの人生を歩んできた大人たちだ。だからこそ、そこで交わされる会話も実に生々しい。
シーズン2では、老眼鏡や血糖値、閉経、更年期、五十肩といった身体の変化や不調について話す一方、「経験人数は?」という際どい質問で盛り上がる場面も。そんな質問タイムの最中、「今までかかった一番大きな病気は?」と聞かれた漫画家のたみフルは、ステージ4の乳がんを患った経験を明かした。
身体には少しずつガタがくる。それでも下ネタで笑う。そして、時には生死について語る。『あいの里』では、そんな話題が同じ食卓に並ぶ。恋愛だけを切り取るのではなく、その人が今生きている生活ごと映し出す。その生々しさこそ、本作が単なる恋愛模様を超えた人間ドラマとしても楽しめる理由の一つだろう。