目玉のオープンワールド化もそっちのけ? 『ポケモン スカーレット・バイオレット』発、世間を賑わす3つのムーブメント
続いては、ハッコウシティのジムリーダー・ナンジャモ。彼女にはでんきタイプポケモンの使い手というシナリオ上の設定のほかに、「エレキトリカル★ストリーマー」としての一面も存在する。ポケモン公式YouTubeチャンネルには、インフルエンサー・ナンジャモが出演する番組『ドンナモンジャTV』があり、そのなかでの彼女のかわいらしい言動・行動が、一介のジムリーダーの枠を超えてファンに愛される状況が生まれている。
初登場は、10月半ばに配信された「ナンジャモ」「ハラバリー」の紹介動画。それから1か月ほどのうちに2本の『ドンナモンジャTV』動画が公開され、そのどちらもが100万再生以上、さらには公式の本人の紹介動画を超える再生数を記録している。
「皆のものー、準備はいーいー!?あなたの目玉をエレキネット!何者なんじゃ?ナンジャモでーす!!おはこんハロチャオ~!ナンジャモの~?『ドンナモンジャTV』の時っ間っだぞー!」
このあいさつとともに登場するナンジャモの姿には、過去作品の人気キャラクターと同等、もしくはそれ以上の圧倒的な個性がある。今後、ナンジャモの存在は、『ポケモン S・V』とは切り離されたひとつのコンテンツとして、ファンに受け入れられていく未来もありそうだ。
「一緒にプレイできるフレンド募集」というパワーワード
最後に紹介するのは、オンライン協力プレイについてだ。過去の「ポケモン」シリーズ作品では対戦が主なマルチプレイコンテンツであり、協力は限定的だった。しかし、『ポケモン S・V』では、オープンワールドのマップを最大4人で同時に探索できる。これまではほぼ不可能だった協力プレイが可能となっているのだ。
これを受け、SNS上では「一緒にポケモン S・Vをプレイできるフレンド募集」という、過去には見られなかった動きが生まれつつある。かつてシングルプレイが当たり前だった「ポケモン」というRPGが、フレンドと時間を共有しながら楽しめるパーティーゲームに生まれ変わることで、今後はフレンドと遊ぶことを前提に同タイトルを購入する層が現れることも考えうる。そこには、これまでにないシリーズの遊び方・可能性が横たわっている気がしてならない。
1996年、任天堂の新規IPとして登場した「ポケモン」シリーズ。それから25年以上もの時が流れるなかで、当初からは想像できない方向に進化してきた。ともすると、素通りされてしまいそうな3つのムーブメント。それらは「ポケモン」シリーズが生んだカルチャーそのものと言えるかもしれない。