目玉のオープンワールド化もそっちのけ? 『ポケモン スカーレット・バイオレット』発、世間を賑わす3つのムーブメント
11月18日、「ポケモン」シリーズのナンバリング最新作『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、『ポケモン S・V』)が発売となった。
従来の枠組みにとらわれない進化が話題を呼ぶ同タイトルからは、さまざまなムーブメントが生まれている。ゲーム本編以外の部分でも世間を賑わす『ポケモン S・V』。そこに「ポケモン」シリーズの文化的な影響力を見た。
目玉要素を差し置いて盛り上がる、3つのムーブメント
これまで新作を発表するたび、従来の作品にはない革新的な要素をそれぞれに盛り込んできた「ポケモン」シリーズ。『ポケモン S・V』では、初となるオープンワールド化が注目を集めてきた。
オープンワールドとは、舞台となるマップに移動的な制限がなく、開始時点からプレイヤーがほぼ全域を自由に探索できるゲームを指すサブジャンル。「The Elder Scrolls」シリーズや「グランド・セフト・オート」シリーズといった海外作品が先例としてよく知られている。近年では、伝統的な国産タイトルもそうした要素を取り入れつつある。2017年発売の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』はその好例。超人気シリーズ発のスピンオフでありながら、挑戦的な進化を盛り込んだ同作は、商業的にも作品的にも大きな評価を獲得した。
「ポケモン」シリーズもまた、2022年1月発売のスピンオフ『Pokémon LEGENDS アルセウス』にオープンワールドのエッセンスを取り入れている。同作のリリースと『ポケモン S・V』の発表はほぼ同時期であり、開発期間が重なっていると想像できることから、「オープンワールド化はシリーズの進化にとって必要不可欠なパーツである」と考えられていたのだろう。
一方、『ポケモン S・V』で目立つのが、根幹となるゲームシステム以外の部分へのファンの反応だ。オープンワールド化のように同タイトルの評価を決定づける要素にはなり得ないが、ときにファンを夢中にし、行動を変化させ、場合によってはそれ自体が購入動機となる。そんな『ポケモン S・V』の3つのムーブメントを、本稿では紹介したい。
「ニャオハは二足歩行するのか?」その動向に多くのファンが注目
最初に紹介するのは、くさねこポケモンのニャオハだ。同ポケモンは2022年2月、『ポケモン S・V』の存在が明らかとなったタイミングで、公式から最初の3匹のうちの1匹として発表された。愛くるしい表情が魅力的なポケモンで、猫らしい四足歩行の姿が立ち絵に設定されている。
注目すべきは発表後のファンたちの反応で、ニャオハを見るなり進化後の姿の予測が白熱した。当初の姿がかわいらしく、猫好きからの支持が集まっただけに、最終的に二足歩行となる可能性があることに抵抗のあるファンも多かったようだ。
特に興味深かったのは、過去作における猫をモチーフにしたポケモンとの比較。『ポケットモンスター サン・ムーン』に登場したニャビーは、最初こそ猫らしい見た目だったが、ニャヒート、ガオガエンと進化するたびに、二足歩行かつ、いかつい見た目へと変化。その前例に照らし合わせ、ニャオハもそうなってしまうのではないかという憶測が飛び交った。ニャビーはガオガエンになると、当初とは程遠い印象となってしまう。そうした状況を不安視したファンが「ニャオハは進化しても二足歩行しないで」と切望していた。
またニャオハをめぐっては、「ニャオハ立つな」や、それにインスパイアされた表現が、SNS上でネットミーム化している動きもある。本来であれば、オープンワールド化が目玉であったはずの『ポケモン S・V』だが、それ以上にニャオハ界隈の動向が独り歩きしつつある現状だ。
こうした状況を踏まえてか、発売前の先行プレビューでは、ポケモンを進化しないようにするもちもの「かわらずのいし」が、進化するポケモンすべてに標準セットされていた。
『ポケモン S・V』については、18日の発売から1日以上が経過しているため、すでに全貌を自分の目で確かめたプレイヤーもいるかもしれない。ニャオハの進化については、姿が明らかとなった今後も世間を大きく賑わせていきそうだ。