新生『Pixel Watch』と『Apple Watch』、“スマートウォッチとしての機能”を比較してみた

 Googleは10月13日、同社初となるスマートウォッチ『Pixel Watch』を発売した。

 Pixel Watchが発売されるという噂は意外と古くからあり、2016年まで遡ることができる。この年には初代Pixelスマートフォンが発売されていたのだが、同時にPixel Watchを発表する噂もあったのだ。ただし、満足できる完成度ではなかったという理由でキャンセルされたと伝えられている。そうして6年越しで発売されたPixel Watch、今回は満足できる完成度になったということなのだろう。実際、これまで数多くのスマートウォッチを使ってきた筆者から見ても、完成度はかなり高いと感じる。不満がないわけではないが、Androidで利用できるスマートウォッチとしては、現状では最高峰だと言っていいだろう。

 そうなると、現在、スマートウォッチ市場で最も売れている『Apple Watch』とどちらが優れているのかが気になる人もいるだろう。といっても、Apple WatchはiPhoneでしか利用できず、Pixel WatchもほかのWear OS搭載スマートウォッチとは異なり、現状ではAndroidでしか利用できない。それぞれに代替が利かないので比べることにあまり意味はないのだが、Pixel WatchになにができてなにができないのかをApple Watchの機能と比較しつつ確認してみよう。

Pixel WatchはコンパニオンアプリとしてWear OSアプリではなく、専用のPixel Watchアプリを使用する。このアプリがiOS向けに提供されていないので、現状ではiPhoneでは利用できない

 Pixel Watchのサイズは直径41mmで厚みは12.3mm。スマートウォッチとしては小型の部類になる。Pixel Watchが円形、Apple Watchが四角形とデザインが異なるのが特徴的だ。ディスプレイの見やすさという点では表示できる情報量の多いApple Watchだが、より時計らしいデザインなのはPixel Watchと言えそうだ。

Apple Watchと比べると表示できる情報量は少ないが、見にくいというわけではなく画面が小さいながら視認性は高い。なお、設定から表示するフォントサイズも変更可能だ

 Pixel Watchの基本機能としては、スマートフォンからの通知はもちろんのこと、歩数のカウントや24時間の心拍測定、睡眠計測など一般的なスマートウォッチでできる機能は一通り備えている。以下に、Pixel Watchの主な機能を『Apple Watch Series 8』と比べてみた。OSが異なるので使い勝手や細かな機能に違いはあるのだが、あくまでも機能を持っているかどうかという点での比較なのでご容赦願いたい。

Pixel WatchとApple Watchの機能の違い

 Apple Watchと比べると、Pixel Watchでは一部利用できない機能があることがわかる。その中でも大きなものが、心電図機能(ECG)の有無だ。Pixel Watch自体は心電図機能を搭載しているのだが、日本国内では許認可の問題があり利用できない。同様に心電図機能を搭載しているものの、日本国内では利用できないスマートウォッチとしては、『Galaxy Watch 4』や『Galaxy Watch 5』、『Fitbit Sense 2』などがある。この点に関しては、むしろApple Watchがよく認可を取ったと言っても良さそうだ。ともあれ、Apple Watchの心電図機能や不整脈の通知機能で病気が早期に見つかったというのは、ネット上ではよく聞く話ではあるので、Pixel Watchの心電図機能も日本での解禁を期待したいところだ。

米GoogleストアでのPixel Watchの説明には心電図(ECG)の説明が記載されている

 皮膚温度の計測については、Pixel Watchはそもそもセンサーを備えていない。普段あまり気にすることがない機能ではあるのだが、日々の体調管理という点では便利な機能だ。コロナ禍では発症予測に利用できるということでも注目を浴びていた。また、女性の場合には正確な月経周期の計算などにも利用されている。

 もう一つ、決済機能についても違いがある。Pixel Watchは『Google Pay』が利用でき、NFCのタッチ決済を行える。Wear OSでのGoogle Payは、NFC搭載端末であれば10月1日から日本国内でも利用可能となっているが、Pixel Watchでは、これに加えてFeliCaを搭載しておりWear OS搭載端末としては初めてSuicaに対応している。この点ではようやくApple Watch追い付いたと言えるのだが、機能としては大きく制限されている。

Pixel Watchでは、Wear OS端末としては初めてSuicaを利用できる

 FeliCaを搭載してはいるが、利用できるのはSuicaのみ。PASMOやiDなどのほかのサービスは利用できない。また、Suicaに関しても定期券やオートチャージ、Pixel Watch上からのチャージには非対応だ。この辺りの仕様は、以前からSuicaを利用できる『Fitbit Pay』に近い印象だ。ちなみに、Pixel Watch上のSuicaはスマートフォンとは別の扱いになり、残高を共有できるわけではないので注意して欲しい。もちろん、スマートフォンのSuicaを一度サーバーに預ければ、それをPixel Watchに移すことは可能だ。

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