霜降り明星、EXIT、四千頭身……お笑い第七世代のYouTube活用法にみる“希望”

コント師として“YouTubeらしさ”に挑むハナコ&かが屋

 ハナコ、かが屋のチャンネルに共通するのは、コントという彼らの本業を存分に活かしたうえで、YouTubeで“挑戦”している点だ。かが屋のチャンネル「かが屋Official YouTube Channel」は19年7月に開設、ハナコもYouTubeチャンネル「ハナチャン」にてコント企画・ハナコントを開始したのは20年1月と比較的新しい。

 ハナコは、360度のVR動画投稿が可能なYouTubeの特性を活かした“360度コント”などを投稿。かが屋は、生配信中の視聴者からのコメントをもとにリアルタイムでコントをつくっていく「15分でコント一本作る生配信」を数回にわたって投稿している。

#03 360度コント「犬」【HANACONTE】ハナコント
みんなのかが屋 15分でコント1本つくる生配信 概要

 YouTubeチャンネル独自の企画や、YouTuberとのコラボを行なうのではなく、あえてコントを使ってYouTube仕様にアレンジした企画を実施しているあたりに、彼らのコント師としての矜持が感じられる。“医師YouTuber”“書店員YouTuber”など本業と動画をうまくかけ合わせた専門家系YouTuberが増える中、プロの芸人による“コントYouTube”チャンネルの需要はどんどん高くなっていくと考えられる。挑戦の独創性も含めて、彼らのチャンネルの今後の躍進は大いに期待できる。

 キングコングの梶原裕太=カジサックを筆頭に、オリエンタルラジオ中田敦彦、ドランクドラゴン塚地武雅、雨上がり決死隊の宮迫博之、そして江頭2:50など、ベテラン芸人も多数参入してきているYouTube界。彼らベテラン勢も試行錯誤しながらYouTube文化に馴染んでいっているが、やはり面白いのは、現役YouTuberたちとまさに同世代の第七世代が、自身のチャンネルを大変器用に使いこなしている点だ。

 余談だが、彼らのチャンネルには多くの場合放送作家がつき、撮影・編集もチームで行っている。作家の多くは1990年代以降生まれ。例えば、「しもふりチューブ」や「みんなのかが家」の白武ときお(1990年生)、「フワちゃんTV」の長崎周成(1991年生)などだ。東海オンエアやしばなんチャンネルとの活動実績のある「株式会社こす・くま」のメンバー、たけちまるぽこ、すのはらはともに1995年生まれで、“YouTube作家”と名乗っている。あえて放送作家と名乗らないことが興味深い。

 新しいメディアに抵抗感のないゆとり世代が、キャスト・スタッフともに場所を選ばずのびのびと活動している。第七世代のYouTubeでの活躍は、そんな若年層にとっての希望すら抱かせる。

 ゆとり世代によるエンタメ業界での攻勢は、まだまだ留まるところを知らない。

■桂木きえ
東大卒YouTubeコラムニスト。92年東京生まれ。会社員ながらもYouTuberが好きすぎて副業ライターとして執筆。YouTube、Tik Tokなどの動画メディアとインフルエンサーについて考察する。Twitternote

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