金子大地、石橋静河との『ブラッサム』現場裏を語る 「いい部分を引き出してくれる」
2026年度後期のNHKの連続テレビ小説『ブラッサム』は、明治、大正、昭和を駆け抜け自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルとした物語だ。主人公・葉野珠(石橋静河)と心を通わせる木村保を演じる金子大地が、石橋静河へのリスペクトや、過去作でタッグを組んだスタッフ陣との再会について語った。
珠役・石橋静河は「本当に心強かった」
——珠を演じる石橋静河さんの印象について教えてください。
金子大地(以下、金子):石橋さんは作品のことを誰よりも考えていらっしゃって、その姿勢がみんなに伝わり、いい作品になったと感じることが多々あり、現場でみんなを明るく引っ張る姿に毎回すごいなと思っていました。これから石橋さんとの2人のシーンが増えていきますが、本読みの段階で「このシーンはこうしたほうがいいんじゃないか」とか、そういった提案を出しやすい雰囲気を、スタッフさんたちも含めて作ってくださいました。そのうえで石橋さんにはいつも「ここどう思う?」とか「自分の思っていることをやっていいからね」と声をかけてくれたので、本当に心強かったです。
——スタッフからは「姉と弟のように見える」と言われることもありますよね。
金子:初めて石橋さんと共演した作品では、石橋さんが僕の姉の役だったんですね。今回は逆に僕がいとこの“兄”として珠と接していて、彼女を引っ張っていくような役柄になっています。ただ現場では全然そんなことはなくて、僕がわりと天然なので(笑)、よくツッコまれたり、「ご飯食べてる?」みたいに体調を気を遣ってくれたり、僕がガチガチに緊張していたら「指を伸ばしたらリラックスできるよ」とか、いろいろと教えてもらっています。しっかりされている方なので、どう頑張っても僕がお兄さんに見えないというのはよく周囲から指摘されていました(笑)。
——石橋さんを一言で表現するとしたらどんな人ですか?
金子:この『ブラッサム』に最初から最後まで出続けているのは石橋さんが唯一かなと思います。長期間の撮影のなかであれだけ明るく周りを引っ張って、一切妥協のない姿、役へのアプローチの仕方、作家として文章を書く練習姿とかいったものを近くで見てきました。少しでも息抜きできるところがあれば息抜きしてほしいなと思います。とにかく、本当に強くリスペクトしています! もともと素晴らしい俳優さんですが、今回ご一緒できて改めてそれを感じました。
保は「まっすぐで優しい人」
——金子さんから見た、木村保という人物に対する印象を教えてください。
金子:本当に頭がよくて、まっすぐで優しい人だと思っています。どういう人物なんだろうとすごく考えて、演出の方にもいろいろ相談して、こんなにスマートな役を僕が演じられるのかな……とも考えていました。でもチーフ演出の盆子原(誠)さんには「金子くんのままでいいから」といわれて。木村保という役を僕に託してくれたということは、何かしら僕のある部分が出せたらそれが答えなんじゃないかなと。いろいろな一面が見せられるように「保ってこういう人」ということは決めつけないで演じました。喜ぶときはすごく喜ぶし、本当に喜怒哀楽がしっかりある。そのなかでもやっぱり珠のことは本当に大好きなんだというところを見せていけたらなと思っています。
——「いろいろな一面」とおっしゃいましたが、意外な一面を感じることはありましたか?
金子:人の気持ちに寄り添える優しい心の持ち主なのに、珠が化粧したことには気づけないみたいな、“ちょっとした鈍感さ”は感じました(笑)。
——一番魅力的だと思われる部分はどこですか?
金子:これから珠が作家として駆け上がっていくのに対して、いろいろなことが起こるのですが、でもそれを応援、そして背中を押すことのできるのが保なんです。保は家族や安定した生活といったものに幸せを感じるのに対して、珠はいろいろなことをインプットしたものを、アウトプットする作家として生きていくということで、保にとって珠が考えていることはどこか理解できない部分があります。でもそのうえで珠の背中を押せるのがいいところだなと思います。
——保は珠のどういう点に惹かれたのか、また、金子さんから見て珠のような女性をどう思うかを教えてください。
金子:自分の兄と結婚して、数日で家を飛び出すというその大胆さ、強い女性像みたいなものに、何かこう引っかかるものがあったのではないでしょうか。何か面白い人だなという引っかかりみたいなものがあって、たぶん保は真面目に生きてきたので、彼にとって珠のような大胆な、自分の軸でどんどん人生を駆け巡っていく姿に惹かれたんだなと。
——第25回で、保と珠の思いが通じ合うシーンが印象的でした。あそこで2人が握手をするシーンでは金子さんはどのような思いで演じていたのでしょうか?
金子:一緒に下宿先で生活するようになり1年が経って、ずっと「兄様」と呼ばれる現状に耐えられなくなって、嫉妬心が芽生えるところにも人間性が出てるなと思いました。毎シーン毎シーン、ワンカットワンカット話し合いながら丁寧に演じているので、すごく緊張しましたけれど、ハッピーなシーンではあると思っていたので、まっすぐ純粋な気持ちが見えたらいいなと願いながら演じました。
——演出担当の方や石橋さんとはどのような相談をしていましたか?
金子:台本では綺麗に成立しているところを、どう素敵なシーンにしていくかということは試行錯誤していました。握手のシーンは、現場に行ったら実際演じてみて初めて気づくこともあって、着物を着ているからここで抱きしめにいくかとか、距離感などそういう微調整は毎回丁寧に監督やスタッフさん、石橋さんたちと話して取り組んでいました。珠と保のすごく繊細な心の揺らぎについては演出の方と石橋さんと僕も含めて話し合っていたので、そこが視聴者のみなさんに印象に残るシーンになればすごく嬉しいです。