『ポリティカルパン』が描く「政治とカネ」の問題 “250円”から浮かび上がる社会の本質
それでも、人を信じる先に
視聴者も含めて、きっと多くの人が“雅は政治家一家に生まれたから、どうせ庶民的な暮らしなどわからない”と思っていたところがあったのではないか。だが、お金に困ったことのない雅だからこそ、お金の話を誰よりもオープンにできるところがある。自分はいくらもらっていて、何にどれだけ使っているのか、何の後ろめたさもなく話す。その懐事情を開示していくスタンスは、それこそ庶民の感覚とは少しズレたものがあるかもしれない。けれど、だからこそ吹く新たな風があるのだろう。
「私は、30年前の約束を果たします。そういう政治家になります!」
雅の年齢は29歳だ。生まれる前に交わされた政治家と国民の約束に、これからの世代を生きる政治家として本気で向き合おうとしている。その言葉には、国自党のために弥生と腹のさぐりあいを繰り広げている夏目(高橋一生)も思わず心を打たれた様子だった。
どうせ変わらないと、誰かを、世界を信じずに可能性を閉ざしてしまう。その背景には、私たち自身の想像力の欠如もあるのではないだろうか。大きな志を持ち、時間がかかっても諦めずに、人を信じて進む。「おすし」の心得の逆をいくことが、こそ泥や小悪党にとどまらず、英雄や大泥棒へと成長する道なのかもしれない。
一方で、やはり簡単には変わらないというのもまた現実。これまでも、その志半ばで立ち去らなければならなくなった者もいたはずだ。そして、謎の情報屋・乾(渡部篤郎)もきっとそのひとりなのだろう。士郎(草刈正雄)が口にした「あいつは死んだはずだ」という言葉と、乾が自身を「ただの亡霊」だと語った言葉がリンクする。
士郎の父親の政治団体口座を、なぜ乾が動かせるのか。どうして士郎がポケットマネーの1000万円を動かすほど掘り起こされたくない口座になっているのか。そこには、おそらく公にはできない何かがあるはず。その過去という金庫の鍵を、弥生がどのように開けていくのだろうか。
■放送情報
『ポリティカルパン』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:石原さとみ、高橋一生、河合優実、寛一郎、猫背椿、川西拓実(JO1)、吉田ウーロン太、きょん(コットン)、宮本エリアナ、矢野聖人、美村里江、平泉成、余貴美子、酒向芳、間宮啓行、岩松了、古舘寛治、草刈正雄、渡部篤郎、チョー、こたけ正義感 ほか
脚本:野木亜紀子
主題歌:RADWIMPS「娑婆堕罵 -Shabadaba-」(Muzinto Records/EMI)
音楽:岩崎太整 プロデュース:北野拓
制作プロデューサー:白石裕菜 (ホリプロ)、加藤若葉 (ホリプロ)
演出:髙野舞、谷村政樹、及川拓郎
制作協力:ホリプロ
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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