草刈正雄、水谷豊、小林薫 今期ドラマで大活躍する“ベテラン俳優”の共通点を分析

水谷豊(74歳/1952年7月14日)

 水谷豊は、劇団ひまわり出身で10代にはデビューしているが、大学受験やアルバイトを経て、再び俳優として活動を始めたのはやはり1970年代からだ。1974年『傷だらけの天使』(日本テレビ系)で萩原健一と共演し、1987年に『熱中時代(教師編)』(日本テレビ系)で大ブレイクする。北海道弁の素朴で一途な熱血教師をコミカルに演じた水谷は、まさに国民的なテレビドラマ俳優となった。ちなみに、水谷は学生時代は陸上の選手だったというほど足が早く、アクションもお手のものだったようだ。コミカルな動きも、その身軽さ、すばしこさ、運動神経の良さあってのことだったのだろう。続編の『熱中時代(刑事編)』(1979年/日本テレビ系)では、身体能力を活かしたアクションシーンも豊富だった。

『相棒 season25』©テレビ朝日

 そして、水谷の代名詞となった『相棒』シリーズは、連続ドラマとしては2002年から放送が始まっている。水谷が50歳の頃から20年以上演じている杉下右京は、もはや知らない人はいないも同然の、偏屈で変わり者だが頭脳明晰な切れ物の刑事だ。英国紳士のようないでたちと紅茶をたしなむ姿が特徴的で、クールさと冷静さ、優雅さがあり、人情味もあるが、どこか底知れない怖さもある。権力とは一線を画した独自の正義感と、歴代の相棒たちとの丁々発止のやりとりや友情も見どころとなっている。

 右京は派手なアクションはない静かな役柄ではあるが、水谷の身のこなしの軽快さは健在で、それが頭脳の明晰さや切れ物の印象をより強くしているように思う。大袈裟な動きではないが、ちょっとした動作や相棒との掛け合いで、洒脱なユーモアやコミカルさを出しているのは、やはり水谷の身体能力あってのことだと感じる。

小林薫(75歳/1951年9月4日)

 小林薫の経歴は前述の二人とは少し違い、いわばアングラ演劇の出身だ。1971年、二十歳の頃に唐十郎が主宰する「状況劇場」に参加し、「紅テント」の濃密な演劇空間を経験している。根津甚八と並ぶ看板俳優となり、10年ほど在籍した。1981年の退団後は、映画、テレビドラマに進出。山田太一脚本の『ふぞろいの林檎たち』(1983年/TBS系)では、主人公の仲手川良雄(中井貴一)の寡黙で不器用な兄・耕一を演じ、脇役ながら印象深い俳優として世に知られるようになった。

 主演作として転機となったのは『イキのいいやつ』(1987年/NHK総合)ではないだろうか。翌年には続編も放送された人気ドラマだ。小林が演じたのは、東京・柳橋の寿司屋の親方・兵藤晋作で、その後の小林の演技を決定づけるようなキャラクターだった。江戸っ子気質でキレがよく、仕事には厳しいが情には厚く、不器用で口下手、かっこいい時もあれば弱さもある。親方と弟子たちの悲喜こもごもが愉快で泣ける作品だった。

ドラマ『深夜食堂』©安倍夜郎「深夜食堂」/小学館ビッグコミックオリジナル

 今や小林は、荒くれ者から大学教授まで、さまざまな役柄を演じることができるマルチな俳優ではあるが、この「厨房の中の人」というのが、やはり1番のハマり役なのではないだろうか。2009年から放送されている『深夜食堂』シリーズの「めしや」のマスターも然りだ。顔に傷があることから訳ありであることはわかっても、どんな人物なのか、その経歴などもあまり語られない。ただ小さな店のカウンターに立ち、料理を出しているだけで、どこか凄みもありながら、人情も感じるし、ともすれば色気すら感じさせる。言葉が少なくても、キャラクターの厚みを感じさせることができる、小林ならではの役だと言える。

 70代になっても主演、またはそれに準ずる重要な役どころを演じる3人の俳優たち。共通点はあまりないようでいて、やはりそれぞれに昭和・平成・令和という激動の時代の中で、骨太な俳優人生を歩んできたことがわかる。こだわりや美意識、演技への情熱には褪せないものを感じる。

 それを物語っているように思うのは、筆者の主観ではあるが、3人の姿勢だ。体幹が鍛えられているのだろう。真っ直ぐにすくっと立つ姿はまだまだ力強く、精悍で、清潔感がある。そして、キャラクターとしては、ユーモアがあり、どこかコミカルでお茶目でもある。それが、大御所になっても、いつまでも愛される俳優である秘訣なのかも知れない。

参照
※ https://www.fujitv.co.jp/politicalupin/news/news10.html

■放送情報
『ポリティカルパン』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:石原さとみ、高橋一生、河合優実、寛一郎、猫背椿、川西拓実(JO1)、きょん(コットン)、宮本エリアナ、矢野聖人、余貴美子、酒向芳、間宮啓行、岩松了、古舘寛治、草刈正雄、渡部篤郎、チョー、吉田ウーロン太、こたけ正義感 ほか
脚本:野木亜紀子
主題歌:RADWIMPS「娑婆堕罵 -Shabadaba-」(Muzinto Records/EMI)
音楽:岩崎太整 プロデュース:北野拓
制作プロデューサー:白石裕菜 (ホリプロ)、加藤若葉 (ホリプロ)
演出:髙野舞、谷村政樹、及川拓郎
制作協力:ホリプロ
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/politicalupin/
公式X(旧Twitter):https://x.com/politicalupin

『相棒 season25』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00~21:54放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、松嶋亮太、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
脚本:輿水泰弘ほか
監督:橋本一ほか
音楽:池頼広
エグゼクティブプロデューサー:桑田潔(テレビ朝日)
プロデューサー:髙野渉(テレビ朝日)、村上理絵(テレビ朝日)、西平敦郎(東映)、土田真通(東映)、吉川史樹(東映)
制作:テレビ朝日/東映
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
公式X(旧Twitter):https://x.com/aibounow/

『深夜食堂 6』
MBS/TBSドラマイズム枠にて放送 
MBS:毎週火曜24:59~25:29放送
TBS:毎週火曜25:26~25:56放送
RKB:毎週火曜25:28~25:58放送
CBC:毎週火曜25:20~25:50放送
HBC:毎週火曜25:29~25:59放送
SBS:毎週火曜26:30~27:00放送
RSK:毎週火曜26:25~26:55放送
tbc:毎週火曜25:00~25:30放送
RCC:毎週火曜25:55~26:25放送
SBC:毎週火曜24:59~25:29放送
BSN:毎週火曜25:30~26:00放送
TUT:毎週火曜24:59~25:29放送
出演:小林薫、不破万作、綾田俊樹、安藤玉恵、宇野祥平、須藤理彩、小林麻子、吉本菜穂子、金子清文、中山祐一朗、山中崇、前田亜季、谷村美月、篠原ゆき子、平田薫、吉見幸洋、高橋周平、野嵜好美、光石研、松重豊、余貴美子、オダギリジョー ほか
監督:松岡錠司、山下敦弘、小林聖太郎、横浜聡子、吉田亮
脚本:真辺克彦、向井康介、小嶋健作、大島まり菜
原作:安倍夜郎『深夜食堂』(小学館『ビッグコミックオリジナル』連載中)
制作プロダクション:アミューズクリエイティブスタジオ/ギークピクチュアズ
©2026 安倍夜郎・小学館/「深夜食堂6」製作委員会

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