『エラー』志田未来×畑芽育の切実な関係性 視聴者を“共犯”にするサスペンスの妙

 ABCテレビ・テレビ朝日系で放送中の『エラー』は、「女性バディ」ものが多い2026年春クールの中でも、異様な輝きを放つ作品だ。友情と嘘が天秤にかけられる普遍性のあるテーマをサスペンス調に描くことで、ここまで面白くなるのかと、毎話新鮮に驚かされる。

 主人公は、“間違えないように”生きてきた未央(志田未来)と、“間違えてしまう”ユメ(畑芽育)。転落死で母・美郷(榊原郁恵)を亡くした未央が、失意のまま引っ越しをしている際に、引っ越し業者の職員だったユメに出会う。偶然の出会いから、良き友情関係を育んでいるように見える2人だが、実は未央の母を突き落としたのはユメで、2人は被害者と加害者の関係でもある。第1話から第5話までは未央に事実を伝えられないユメの葛藤が、第6話ではユメに対する未央の怒りが描かれていた。

 なにより苦しいのが、未央とユメが唯一無二といえるほど、深いところでつながる友人関係を結んでいる点だ。未央は、間違えないために人に踏み込みすぎず、踏み込ませすぎないようにしている人物だが、ユメとの関わりのなかで徐々に本心を明かせるようになってきた。とくに職場での態度が顕著で、愛想笑いを浮かべていた未央が、ユメと出会って以降は、言いたいことが言えるようになっている。第5話で未央が見せた大粒の涙は、母の死以降、ユメがそばに居続けたから流せた涙だといえるだろう。ただ、一緒にお酒を飲んでカニを食べるだけで、甘いものを食べながら夜道を歩くだけで楽しい。一緒にいるだけで、悲しみを忘れられて息ができる。未央とユメの関係からは、そんな切実さが漂っている。志田と畑のフラットな芝居により、その切実さが痛いほど伝わってくる。

 未央とユメの友情関係というソフトな魅力がある一方で、『エラー』には構成と展開といったハード面での魅力もある。

 なにより、第1話で未央の母を突き落としたのがユメであることが、視聴者に明かされた。視聴者は、ユメとユメの彼氏・佐久間健司(藤井流星)と秘密を共有する共犯にさせられたのだ。強制的に「いつバレるのか」というスリルに巻き込まれる、制作陣が仕掛けたズルい構成にまんまとハメられているのだ。

 この共犯関係があるからこそ、未央とユメの友情関係は切なく映り、未央以外の人物にユメの罪がバレていく過程にハラハラさせられる。そして、佐久間が妻帯者だったことや美郷の事件を捜査する遠藤(岡田義徳)の妻の事情、ユメの父にまつわる過去、美郷の死に巻き込まれた近藤宏(原田龍二)と妻・紗枝(菊川怜)の問題など、新たに明かされる事実に驚かされる。穏やかな友情関係とスリリングな展開という緩急が、なんともクセになるのだ。

 そして、この構成と展開の巧みさによって見えてくるのが、人は自らの罪にどう向き合うのかということだ。未央とユメ、佐久間、紗枝はそれぞれ自分の罪への向き合い方が異なる。登場人物たちのズルさや弱さ、たまに見える誠実さを見ていると、これはドラマでありながら、ある種の思考実験なのではないかと思わされる。ヒューマンサスペンスとしてのレベルが高すぎるのだ。

 そして特筆したいのが、本作がNHKの脚本開発チーム「WDRプロジェクト」にてドラマ『3000万』(NHK総合)の企画を生み出し、第1話と第8話の脚本を担当した脚本家・弥重早希子の初の単独執筆による連続ドラマである点だ。『3000万』も『エラー』と同じく、第1話で視聴者を共犯者にする構成、夫婦のナチュラルなやりとり、登場人物の内面の見せ方が優れた作品だった。

 ヒューマンサスペンスの名手として活躍していくのではないだろうかと、弥重の今後に期待したい。

■放送情報
日10ドラマ『エラー』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:15~放送
出演:畑芽育、志田未来、藤井流星、坂元愛登、北里琉、原田龍二、菊川怜、榊󠄀原郁恵、岡田義徳、栗山千明
脚本:弥重早希子
演出:山本大輔、的場政行
チーフプロデューサー:松崎智宏
プロデューサー:寺川真未、比屋根り子、川西琢、山崎宏太、綾川由里絵(エー・ビー・シー リブラ)
音楽:jizue
主題歌:UNFAIR RULE 「きずなごと」(スピードスターレコーズ)
制作協力:エー・ビー・シー、リブラ
制作著作:ABCテレビ
©ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/drama_error/
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