池松壮亮が考える“誰かと一緒に夢を見る”意味 運命的な『豊臣兄弟!』秀吉役への思い

 「兄弟の絆」を軸に描かれる戦国絵巻、大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合)が始まった。主人公・小一郎/豊臣秀長を仲野太賀が、その兄であり天下人となる藤吉郎/豊臣秀吉を池松壮亮が演じている。撮影が始まって数カ月、池松は10代からの盟友・仲野太賀とどう向き合っているのか。そして、誰もが知る「豊臣秀吉」をどう形作っているのか。これまでにない挑戦に挑む池松に、じっくりと話を聞いた。

仲野太賀となら「必ず実現できる」

——まずは今回演じる「豊臣秀吉」という人物像について教えてください。

池松壮亮(以下、池松):秀吉といえば、これまで多くの物語で、愛嬌があって野心家で、商業的、経済的頭脳に優れ、人たらしで、狂気性を感じるような人物として語られてきたと思います。今作でもそうした印象を残しながら、まっすぐ、爽やかに、大らかに描かれている印象があります。今後どのように描かれていくのかは僕自身も楽しみにしていますが、一年という長い期間、一人の人物の人生を描いていく上で、成長や挫折を経て、一面的ではない、秀吉という人の様々な面を演じていけたらなと思います。物語のためのキャラクターではなく、血の通った壮大な人生を演じてみたいなと思っています。

——具体的に、秀吉の人間性をどう捉えているのでしょう?

池松:その生涯には諸説ありますが、最新の研究を読むと、少しずつ定かになってきたことがあると知りました。例えば知られざる少年時代、泥水をすするような、とても過酷な時期を過ごしたことは確かなようです。このドラマでは描かれませんが、そうした背景から生まれた、野心や知恵、死を恐れない豪胆さ、彼の最大の武器となる、生き延びるための愛嬌、そういった培ってきたものをイメージしながら演じています。生まれた家柄で人生の大半が決まっていた時代に、織田信長という革命児に出会い、餓死寸前のところから拾い上げられ、のびのびと育ててもらった。秀吉にとって信長は、神のような存在だったと解釈しています。様々な資料に触れる度に、非常に賢く、人の心を読むことに長けた人物だと感じます。そうした彼のアウトプットとして、愛嬌や豪胆さ、狂気性といった独自のパーソナリティが語られてきたのだではないかと思っています。

——弟・小一郎を演じる仲野太賀さんとは、実生活でも親しい間柄だそうですね。

池松:太賀くんとは10代で出会い、僕のことを最も知る俳優仲間であり、身内に近い感覚がありました。ですがそのことをこれまで表では言ってこなかったんです。だからこれほど近しい間柄であることは、キャスティングの時点では製作陣も知りませんでした。これまでも何度か共演はありましたが、そのほとんどが映画で、まさか大河ドラマという場所でこれほど親密な役をやることになるとは。一番驚いているのは僕たち自身かもしれません。これまで、二人を良く知る周囲から「兄弟みたいだね」と言われることもありました。まさか本当に兄弟を演じることになるとは思いませんでした(笑)。ご縁があるなと感じます。これまで公私を共にしてきた時間を、この豊臣兄弟の偽りのない純粋な関係に捧げてみたいと思っています。

——実際に兄弟として演じてみて、改めて感じる仲野さんの魅力はありますか?

池松:日々感じています。本当に素晴らしいお芝居を日々目の前で見せてもらっていますし、はやく視聴者の方に観てもらいたいシーンがたくさんあります。彼にとってこの1年半の撮影期間は、まさに人生の大きな大きな舞台であり、その瞬間にこうして立ち会えていることを幸せに思います。とてもフレンドリーで、周囲に気を配り、主役然とせず、人思いで、献身的な彼の性格は、豊臣秀長という、双方円満を流儀とする人物に見事に重なります。一人だったらたどり着けないこと、実現できないことも、二人だったら必ず実現できる、そういう気持ちで日々を過ごしています。

——八津弘幸さんの脚本の印象はいかがですか?

池松:面白いですね。すいすい読めて、早く次が読みたくなりますし、ページをめくる手が止まりません。有名な史実が残る歴史の隙間に、豊臣秀長という知られざる人の人生を立ち上げ、観る人の意表をつく大胆な構成と改編によって、今作ならではの歴史物語を書いてくださっています。八津さんの脚本を受け取ってから、現場でさらにそこから生身に立ち上げていくための俳優の能動的なチャレンジも、製作チームはとても歓迎してくれているように思います。「予想外の方向に行ってもいい」と前向きに一緒に歩んでくれるので、それぞれが持ち寄るもの、または演じていく中で感じていくことが現場でどんどん育っていったら良いなと思っています。

——衣装デザインは黒澤和子さんの息子さんたちが担当されていますね。

池松:本当に素晴らしいです。黒澤兄弟と衣装チームが、沢山の役衣装を一から作り上げてくれています。役を捉え、一人ひとりの個性を活かしたとても鮮やかな衣装に、作品の質を格段にあげてもらっているなと感じますし、演じる上でも大きなサポートを受けています。生と死とがすぐ隣にあった乱世の時代に、生きることの活気やエネルギー、メンタリティが、色鮮やかな衣装で表現されています。豊臣家は世界でも類を見ないような成り上がりの人生なので、どんどん位が上がり、衣装もどんどん豪華になっていきます。衣装も今作の大きな見どころの一つですので、是非楽しんでいただきたいです。

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