イマクニ・東雲の怪しい点

　ここにきて、スナック「イマクニ」店主の今國一成（戸塚純貴）と『週刊アポロ』記者・東雲晴香（深川麻衣）が、紫苑が通っていた「タクト学園」同級生説が濃厚に。メインビジュアルの子供のときの画像の背景がタクト学園に酷似していること、タクト学園の校章であるTの文字がイマクニのコースターにも描かれていることから推察される。また今國は、宇都見と紫苑が婚約関係にあり、彼女が死んだことを知っていたにも関わらず、DVDに登場したときも顔色を変えずキングたちに黙っていたことは事件の真相を把握している裏付けのようなもの。いずれにせよ紫苑に特別な思いがあるはずなのに、キングたちに対しあれだけ明るく振る舞っていたのは怖いものを感じる。事件計画のプロデュースくらいはしているかも。

　東雲に関しては、紫苑が撮影された場所を園子が松井に託すと、東雲はその画像を速攻でシュレッダーにかけ「もう首つっこまないで」と場所を探るのを止めるように忠告したのが怪しい。Huluオリジナルストーリーで、タクト学園に東雲と同じ位置のホクロがある生徒が印象的に映し出されてもいた。訳ありの子が通う学校なので2人も何かを抱えていたのかもしれない。第2話で東雲が園子に「やったほうもやられたほうもなかったことにはできない。この歳になってまで背負い込んでいるのよ。だから許さなくてもいいんじゃない」と過去のいじめに関して語っていただけに、紫苑への思いにも繋がりそうだ。

　園子に関しては単に6人にたどり着くために利用されたのか。もし東雲が真犯人なら当時を知っている事実を記事にしてもらおう（ついでに復讐）と画策したとも考えられるし、もし紫苑が宇都見以上に思い入れのある親友だったとしたら、東雲を説得できるのは同僚であり紫苑と同じ苦しみを体験している園子だけだと考える。園子がもう1人の主人公なだけに、やはり真犯人に関わりがないと不自然だ。園子と紫苑に繋がっているのは自ずと東雲となりそうだが果たして。

　他にも気になるのが高木塗装にもTの文字のポスターらしきものが見られ、タクト学園へ塗装に行っていたこと、紫苑のピアノ教室に花音を通わせようとしたこと、イマクニの常連になったこと、そして紫苑が救われた曲である「カノン」の名前を娘に付けたこと、どれもキングの妻・高木加奈（徳永えり）の勧めだったらどうだろう。事件に関わっていなくてもタクト学園には関係しているかもしれない。

「真犯人」とは？

　ただ、真犯人となると、婚約者であった宇都見よりもさらに執念を抱く人でないと物語として成立しない。いくら東雲が親友だったとしても、小学生のときのいじめがトラウマで30歳を過ぎて亡くなったことに対して、ここまでの復讐心が芽生えるのだろうか。また同じような思いでの共犯だったら真犯人とは言わず共犯者ではないかと。真犯人と言うなら紫苑の死の要因は別にあり、宇都見にいじめのせいだと信じ込ませて裏で操っていた人物。または宇都見が庇っている人物、どちらかが真犯人と呼べるものではないか。

　どちらにも当てはまりそうなのが、やはり松井。園子のパネルを吹っ飛ばした件が消化されていないし、森（古舘佑太郎）の追いかけっこにしてもあれだけ速く走れるのは登場人物の中で松井だけな気がする。松井が宇都見の復讐心を煽った計画や紫苑の親族だったり。そうでなければやはり園子への歪んだ愛情で、それを東雲が利用していたら東雲真犯人説も色濃くなってくる。ただ、松井が真犯人でなくても、全てを終えた最後におごってくれない園子に何かアクションを起こしそうな気もするので未だ要注意だ。

　普通の考察ドラマなら紫苑を殺した真犯人がいて、それをカモフラージュするために宇都見を焚きつけてキングたちを殺させたというパターンも考えられるが、今作はいじめを深く考えさせる重い作品なので、エンタメには振りきらずストレートにいじめを憎み、紫苑への強い思いを持つ友人という結果になりそうな気もする。しかし今作で難しいのは何をもって終わりとするのか。真犯人が分かったところで、キングが生き残ったところで、決して一件落着とはいかないだろう。どんな最後が用意されているのかしっかり見届けたい。

■放送情報
『良いこと悪いこと』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00～放送
出演：間宮祥太朗、新木優子、森本慎太郎（SixTONES）、深川麻衣、戸塚純貴、剛力彩芽、木村昴、藤間爽子、工藤阿須加、松井玲奈、稲葉友、森優作、水川かたまり（空気階段）ほか
脚本：ガクカワサキ
演出：狩山俊輔、滝本憲吾、長野晋也
プロデューサー：鈴木将大、妙円園洋輝
チーフプロデューサー：道坂忠久
音楽：Jun Futamata
制作協力：ダブ
©日本テレビ
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