『ブギウギ』趣里×水上恒司の渾身の芝居に涙が止まらない あまりにも幸福な“夢”の中の2人

 手紙に同封されていたのは、スズ子との箱根旅行の写真。2人で過ごした最後の時間、幸せな時だ。愛助が最後の力を振り絞り、スズ子に伝えたかったのは、出会えて幸せだったこと、「父なし子にしたくない」というスズ子との約束を守れなかったことへの謝罪、男の子が生まれたら強い子に育つようにと「カブト」、女の子が生まれたら愛助の「愛」の字をとった「愛子」にしてほしいという思いだった。

「スズ子さん、つらいことがあったら歌ってください。そして、今スズ子さんの横で可愛い顔してる赤ちゃんを見てください。その子は僕らの宝物や。きっと、その子と一緒なら何があっても生きていけるはずや。ホンマにごめんなさい」

 悲しみが到達し涙を流すと同時に、スズ子の顔に徐々に生気が戻っていく。思いが溢れ愛助の名前を叫び、気がつけば赤ちゃんの泣き声にスズ子は「愛子」と叫んでいた。歌手として、母として。再びステージに立つ姿を心待ちにしてくれているファンのために、天国にいる愛助のために。愛する愛子と生きることを選んだスズ子は強い。スズ子と愛助の間にあったかけがえのない日々と愛、それらを力一杯に抱きしめながら未来へと次のステップを踏んでいく、人が立ち直っていく様を体現した趣里の芝居に涙が止まらなかった。

 

 縁側で愛子を抱く愛助に、スズ子が「ラッパと娘」を歌ってあやしている。ベッドで眠るスズ子が見た夢は、愛助と叶えたかったもう一つの約束の未来だ。『ブギウギ』ではスズ子の生活の中には歌があることが印象的に描かれてきた中で、愛助の「つらいことがあったら歌ってください」という言葉が生きてくる。スズ子はこれからも歌い続ける。そこには愛助との思い出も乗せて。これからスズ子のステージが希望へと続いていくことを、我々は第1話のオンエアですでに知っている。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー) 
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie

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