おじさんがほうきに乗ってやってきた! かわいさに憧れる魔法のメルヘン『魔女のおじさん』
おじさんがほうきで空を飛ぶ――。そんな不思議な設定の漫画『魔女のおじさん』の試し読みがXに投稿されている。
作者は長文完さん(@nagafumi_kan)。本作は、二次創作を続けてきた彼にとって、初のオリジナル漫画だという。いわゆる魔法だけではなく、日常の豆知識や美味しいお茶を淹れることも“魔法”として肯定する世界観はどのように生まれたのか。(小池直也)
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――本作を持って出展されたというコミティアでの反応はいかがでしたか。
長文完(以下、長文):一次創作のオリジナルは初めてでしたが、刷った分は完売となりました。Xのサンプルを見て目当てに来てくださった方もいましたね。最後まで読み切ったうえで「漫画がうますぎる」と笑顔で言われたときは「そんなこと言われるんだ!」と嬉しかったです。
――本作の着想を教えてください。
長文:大きくふたつあります。ひとつ目は、子どもの頃に見ていたアニメですね。『ドラえもん』や『おジャ魔女どれみ』のような女児向けの魔法少女アニメが大好きで。「プリキュア」シリーズもそうですが、ああいう作品は群像劇の形式で、1話につきクラスメイトひとりの悩みを魔法で解決していくじゃないですか。
その形式を踏まえつつ、おじさん・終さんというキャラクターを、ドラえもんのような存在として描いています。近くにいてくれるけど、全部やってくれるわけではなく、あくまで道具を貸すだけ、という。
――なるほど。もうひとつの着想は?
長文:自分の実体験です。このおじさんは、高校の美術部の講師だった恩師がモデルなんです。僕が人生で出会った、初めてのまともな大人。大人として見守ってくれて、必要な時は背中を押してくれた人を、ちゃんと物語に落とし込みたいと思っていました。
――プロフィールに「魔法が好き」と書かれていますが、どこがお好きなのですか?
長文:言語化が難しいのですが……(笑)。可愛いけどカッコよくて、キラキラしていて、いろいろな可能性を介在しているところですかね。あと変身グッズなどのアイテムもモチーフがコンパクトや携帯電話だったりするので、お守りみたいに持ち運べるのも好きです。
――作中のお茶が美味しくなる魔法もカジュアルでいいなと思いました。
長文:おばあちゃんの豆知識のような魔法もあっていいと思うんです。信じるなら魔法でもいいし、現実的な技術だと思ってもいい。ただ魔法だと思えた方がちょっと楽しいじゃないですか。
お茶をいれる魔法でキャラクターが「おいしい」と言っていたら、読み終わった後にお茶を淹れたくなる。読み手の所作が少しよくなるようなことを魔法にしたい、という目論見はあります。
――本作が初めてのオリジナル漫画だそうですが、二次創作とオリジナルで違いはありましたか。
長文:やっぱり「世界を1から作る」というハードルはありました。二次創作は「他人のふんどしを借りている」と言われますが、それがないので。土俵が整備されてない状況で、キャラクターや世界を当たり前に説明したうえで、物語を展開させないといけない。
前提知識ゼロから、どう物語に共感してもらうかは悩みましたね。SNSアカウントのフォロワーもいない状況だったので、ネームバリューも一切ない。ゼロからのスタートすぎました(笑)。
――作画でこだわった点はあります?
長文:キャラクターを分かりやすく差別化するように意識しました。昔よく読んでいた「週刊少年ジャンプ」でよく言われるという、「シルエットでキャラクターが判別できるようにする」というルールを念頭に置いて、髪型を大きく変えたり、目は絶対に同じ作画にしなかったり。
「線が綺麗」とよく言われるのですが、凝りすぎると1コマ1コマがしんどくなるので、意図的に顔はシンプルにしています。ただ「コミティア」の出張編集部では、逆に「もっと目を描き込んで感情表現させた方がいい」と言われて「確かにな」と思いました。
――現在、次作も準備されているとか。
長文:12月の『コミティア』に向けて、プロットを考え始めているところです。運営の方から「『魔女のおじさん』がよかったから次もぜひ」とメールをいただいて、ありがたく出させていただこうと。
次は魔法ではなく、自分のなかの重たいテーマを軸にしようと思っています。ざっくりいうと、主人公に対して人が化けて出てくる話を描こうかなと。
――今後の展望を聞かせてください。
長文:理想としては、いずれ商業で描きたいという気持ちもあります。知り合いで商業を目指す人が難しそうにしているのを見て、「現実問題どうなんだろう?」という思いもありますけどね。まずは目指してみようという感じです。
■長文完氏のBOOTH:https://nagafumikan.booth.pm/items/8926217