哲学者・谷川嘉浩と朱喜哲が編者を務める『はたらく人文知』刊行
哲学者の谷川嘉浩と朱喜哲が編者を務める書籍『はたらく人文知』(光文社)が、9月25日に刊行された。
本書は、文系学部のダウンサイジングが問題視されるなか、「人文知のはたらき」とは何か、そして働く人にとって人文知はどのような役割を持ちうるのかを問い直す一冊。人文知が誰も取りこぼさないようにするために何ができるのかを模索した、実践者たちによる議論の記録である。座談会形式のパートに加え、書き下ろしの論考やコラム、註釈も収録されている。
共著者として、NewsPicksの川口あい、情報法政策を専門とする工藤郁子、株式会社ANRIの中路隼輔、「ゆる言語学ラジオ」で知られる編集者の水野太貴、文芸評論家の三宅香帆、ライターの山本ぽてと、作家・評論家の渡辺祐真が参加。ゲストには社会学者・批評家の河村賢、批評家の小峰ひずみ、倫理学者の長門裕介を迎えている。
構成は全三部からなる。第一部「人文知のユーザー」では、誰に、なぜ人文知が求められているのか、どのように使われているのかを対話する。第二部「人文知の流通とメディア」では、人文知の新しいユーザーを生み出すための流通のあり方や、伝え方の戦略について話し合う。
第三部前篇「2020年代の時代精神」では、社会学・心理学から哲学・倫理学へと関心が移り、「正しさ」に敏感になった時代における人文知の可能性と役割を考察。後篇「令和人文主義とは何か?」では、ビジネスに役立ち手軽に摂取できる「ファスト教養」と、知識量を誇示する「教養主義」の両方を避けた第三の道としての「令和人文主義」の実情や可能性について議論する。
■コメント
谷川嘉浩(編者・「はじめに」より)
健全な多様性を保つのにはどうすればいいか。それは、人文知の排除性を踏まえて、読者/ユーザーの範囲を意識的に広げることであり、そのために人文知を流通させる方法の多様性を考えることではないでしょうか。本書は、そうしたテーマについて考えた実践者たちの記録として読むことができます。
朱喜哲(編者・「おわりに」より)
本書は、あなたを含む私たちがみんなで、大きなプロジェクトを、つまり一市民としてどう皆がよりよく生きるための社会を築けるかという絵図を、いっしょに描いて構想し、あらがうべき権力や正すべき構造を理解するためのボキャブラリーを共有しうるという、そんな可能性を示している。
■書誌情報
『はたらく人文知』
編者:谷川嘉浩、朱喜哲
共著者:川口あい、工藤郁子、中路隼輔、水野太貴、三宅香帆、山本ぽてと、渡辺祐真
価格:2,200円(税込)
発売日:2026年9月25日
出版社:光文社