その任務をどうして千束が受けたかが、前の「第一話『Safety work』と絡んでいて、合わせて読むことで間違った描写をすればSNSで叩かれる漫画家の本物へのこだわりであり、読者の目の厳しさといったものにも思いを馳せることができる。以後もちょっとした錦糸町グルメを堪能できる「第三話『Cough』」があり、たきなの元パートナーでファーストリコリスの春川フキと、セカンドリコリスの乙女さくらが危険な任務に挑む「第四話『One's duties』」もあって、平和な日常とハードな戦場が入り交じる世界を少女たちが走る、『リコリス・リコイル』ならではの雰囲気を味わえる。

　読むほどに映像で見たいという気持ちが募ってくるが、「新作アニメーション制作決定」とだけ発表されている新展開が動き出すのはいつなのか。まだ見えないその時を待ちながら、ノベルシリーズで『リコリス・リコイル』成分を補充していくのが、ファンが現時点でできる身の処し方だろう。あるいは公式noteに掲載されている、『リコリス・リコイル』 Recovery days』に収録された短編や、未収録の新作短編を読むことが。

　ラジオ番組やアニメの原画なども発信していて『リコリス・リコイル』ファンには嬉しい公式note。そのうちひょっこりと新作アニメーションの展開時期が発表され、ファンを歓喜に浸らせてくれるだろうか。