アクアに特別な思いを抱く登場人物たち

　有馬かなが恋心を抱いているであろうアクアは前述したように「恋愛リアリティショー編」で黒川あかねと交際することとなる。ただ、このときのアクアは黒川に恋愛感情を抱いているというよりも、黒川にプロファイリングの才能があること、星野アイの思考パターンを想像し好みの男性まで想像できることを知り、黒川あかねは使えるとアクアが判断したことが交際の動機といえよう。

　一方の黒川は6巻・第五十一話「考察」でアクアの生い立ちを考察すると「私は何があってもアクアくんの味方だよ／辛い事は一緒に抱えてあげるからね」と話し、体調を崩し療養するアクアに手料理を振る舞った。

　このときの黒川も有馬同様にアクアに対し特別な感情を抱いている。もちろん黒川の抱く感情を一概に恋と決めつけるのはむずかしく、有馬の抱く感情とも少々異なるものである。アクアの方も最初はアイ殺害の真実に迫るために黒川との関係を築いていた節があったが、徐々に黒川への想いが芽生えていく。

　ただアクアが黒川を大切に思う様子と共に、アクアが有馬のことを想い行動する姿が何度も見られる。9巻八十三話「入れ込み」でMEMにぶつけた有馬へのつよい想いは、黒川やアイに対するもの引けを取らない。ゆえにアクアが黒川以外の人物、とくに有馬と恋愛的関係になる展開も十分に考えられる。

　忘れてはいけないのはさりな、もといルビーの存在だ。彼女はアクアの前世である主治医のゴローに対して特別な感情を抱いており、4巻第三十六話「前夜」ではゴローを“初恋の人”と称し、8巻第七十七話「再会」ではゴローが恋愛対象として好きであることを明かしている。

　もしもルビーがアクアの前世を知ることとなったらーー。そのときにはアクアと黒川、有馬による三角関係にも変化が生じるかもしれない。アイ殺害の真相解明と共に、アクアは誰に振り向き、誰がアクアにとっての”推しの子”になるのだろうかといった点にも注目だ。