ディズニーの名曲はオーケストラでどう生まれ変わる? 日下部勝德×真部裕が明かす、名シーンを彩る音楽の秘密
ディズニー×クラシックで届ける希望の音「人生のいろいろな場面で聴いていただけたら」
ーーほかの収録曲についても、聴きどころを教えてください。日下部さんは先ほど、「ハワイアン・ローラーコースター・ライド」がお気に入りだとおっしゃっていました。
日下部:僕は楽しいことが大好きなので、あの波に乗っていくような爽快感に惹かれるんです。『リロ&スティッチ』の背景にある家族愛や、家族と過ごす楽しい時間、友情といったものが見えてくるようで。今回はリズムにも工夫をしてもらって、すごく面白い作品になりました。
もう1曲挙げるなら、「ひそかな夢」(『美女と野獣』)ですね。もともと大好きな曲なんです。実写版『美女と野獣』で、野獣が父親のもとへ帰るベルを見送って歌う。その思いが、インストゥルメンタルでもきちんと表現されている。少し悲しい曲でもありますけど、物思いにふけりたいときや、ちょっと落ち込んだときにも寄り添ってくれる、とてもいいアレンジになったと思います。
ーー「ひそかな夢」は、アルバムの最後を締めくくる曲でもありますね。
日下部:そこは僕から、「最後はこの曲にしてほしい」とお願いしました。壮大な曲なので、これで締めてほしい、と。
ーー真部さんは、ほかの方のアレンジで印象に残ったものはありますか?
真部:「パート・オブ・ユア・ワールド」(『リトル・マーメイド』)には、サプライズがありましたね。和声を少し変える、リハーモニゼーションというんですけど、オリジナルとは少し違う、インストゥルメンタルならではの面白さがあって。「こういう『パート・オブ・ユア・ワールド』もあるんだ」「こういうのもいいな」と思いました。自分もどこかに、ああいうものを作りたかったなと。すごく素敵なアレンジだと思いました。
ーー奏者それぞれの音色を知る真部さんの編曲からは、楽団としての関係性も感じられます。オーケストラ・ジャパンは、どんな個性を持ったオーケストラなのでしょうか。
真部:とにかく雰囲気がものすごくいいんです。初めて参加したときから、みんなが優しくて、余裕もある。ガツガツしていなくて、ディズニーの音楽がそうさせているのかな、と思うくらいでした。
日下部:真部さんには、ある指揮者の方からのご紹介で、最初はゲストコンサートマスターとして来ていただいたんです。僕もその前に演奏会を聴きに行って、「すごいヴァイオリンだな」と思っていました。うちのオーケストラで弾いていただいて、「どうでしたか?」と聞いたら「楽しい」と言ってくれた。そのときは、こちらとしてはガッツポーズでしたね。
真部:僕は18歳くらいからスタジオミュージシャンの仕事をしていて、30代はほとんど録音の仕事をしていました。だから『ディズニー・オン・クラシック』に初めて参加したときは、久しぶりにオーケストラの世界へ戻ってきた感覚だったんです。最初に演奏したのは『ヘラクレス』でしたが、「こんな世界があるんだ」と衝撃を受けました。
アラン・メンケンの作品が素晴らしいのはもちろん、そのオーケストレーションも素晴らしい。すべてのパートが絡み合い、弾いていて本当に気持ちがいいんです。そこにボーカリストたちの素晴らしい歌もあって、「こんなに楽しい世界があるんだ」と。それで、オーケストラがすごく好きになりました。翌年も参加させてもらったときには、もう「これなしでは生きていけない」と思うくらいでしたね。自分の音楽人生を変えてくれた世界だと思っています。
日下部:このオーケストラには、ディズニーの音楽を演奏したいと思って集まってくれる人たちがいるんです。クラシックの作品に向き合うときと同じように、真剣勝負で演奏してくれています。
僕が作りたかったのは、リハーサルの日に「よし、行くぞ」と、自分から仕事に行きたくなるようなオーケストラでした。演奏家たちがお客様と一緒に音楽を楽しんで、自分の演奏家人生も楽しんでいる。その姿を見ると、僕もうれしいんです。ひと言で表すなら、「キラキラした音」を出すオーケストラですね。みんなの意思がひとつになっていると思います。
ーーその空気を作るうえで、日下部さんが大切にしていることは?
日下部:特別なコツがあるわけではないんです。みんなそれぞれに悩みを抱えていたり、いろいろなことがある。そのときに寄り添えるかどうか。そして、感情論ではなく、きちんと議論ができることが大事だと思います。
世界一のオーケストラになろう、という欲があるわけではありません。でも、演奏は絶対にうまくなければ嫌なんです。聴いてくださる方にいい音楽を届けて、心のよりどころになれるような活動をしていきたい。そんなオーケストラでありたいですね。
ーー今回のアルバムには、描き下ろしのアートワークも用意されています。ミッキーマウスが指揮をするジャケットをご覧になって、いかがでしたか?
日下部:僕は、この紺色の空が大好きなんです。ミッキーマウスが指揮棒を振って、魔法をかけた天の川のような世界が広がっている。星が音楽になって、人々に届いていくように見えるんですよね。「星に願いを」(『ピノキオ』)にも通じるものがあるな、と。弦楽器のネックの上にミッキーマウスが乗っているのも、とてもおしゃれだと思います。
それに、このミッキーマウスは音楽に浸っているんですよ。ちゃんと目を閉じて指揮棒を振っている。このミッキーマウスに、オーケストラ・ジャパンを指揮してもらいたいですね。
ーー音楽が人々へ届いていくというイメージは、今回のアルバムを作った思いにも重なります。最後に、このアルバムが聴き手にとってどんな存在になってほしいか、聞かせてください。
真部:「オリジナルのほうがいいな」と戻ってしまうのではなく、このアルバムを何度も繰り返し聴いてもらえたらうれしいですね。
日下部:大丈夫だと思います。僕も何度も聴いていますから(笑)。
ディズニーの音楽って、映画はもちろん、テーマパークにもストアにもある。それぞれの場所に、意図を持って置かれているんですよね。このアルバムも、手に取ってくださった方の、人生のいろいろな場面で聴いていただけたらうれしいです。
洗濯物を畳んでいるときでも、お料理をしているときでも、何も邪魔しない。受験勉強を頑張らなきゃと思うときには、「ハワイアン・ローラーコースター・ライド」をかけたら頑張れるかもしれない。そんなふうに、そばにいて勇気づけたり、何かを考えるきっかけになったり、人を少しでも成長させてくれるようなアルバムであってほしい。人々に寄り添える音であることを願っています。
■リリース情報
『オーケストラ・ジャパン・プレイズ・ディズニー』
発売中
価格:¥3,500(税込)
詳細:https://www.universal-music.co.jp/p/uwcd-1156/
■コンサート情報
『ディズニー・オン・クラシック 〜まほうの夜の音楽会 2026』
9月11日(金)東京:文京シビックホール 大ホール
9月12日(土)東京:文京シビックホール 大ホール
9月13日(日)東京:文京シビックホール 大ホール
9月20日(日)大阪:フェスティバルホール
9月21日(月・祝)大阪:フェスティバルホール
9月22日(火・休)神奈川:カルッツかわさき ホール
9月23日(水・祝)茨城:水戸市民会館 グロービスホール(大ホール)
9月25日(金)新潟:新潟県民会館 大ホール
9月26日(土)栃木:宇都宮市文化会館 大ホール
9月27日(日)埼玉:鴻巣市文化センター「クレアこうのす」 大ホール
10月2日(金)静岡:静岡市清水文化会館 マリナート 大ホール
10月3日(土)愛知:愛知県芸術劇場 大ホール
10月4日(日)愛知:愛知県芸術劇場 大ホール
10月10日(土)大阪:フェニーチェ堺 大ホール
10月11日(日)兵庫:神戸国際会館こくさいホール
10月12日(月・祝)京都:ロームシアター京都 メインホール
10月16日(金)東京:東京国際フォーラム ホールA
10月17日(土)東京:東京国際フォーラム ホールA
10月18日(日)東京:東京国際フォーラム ホールA
10月21日(水)神奈川:桐蔭学園シンフォニーホール
10月23日(金)富山:砺波市文化会館 大ホール
10月31日(土)北海道:札幌文化芸術劇場 hitaru
11月1日(日)北海道:札幌文化芸術劇場 hitaru
11月6日(金)宮城:東京エレクトロンホール宮城
11月7日(土)山形:やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)
11月8日(日)秋田:あきた芸術劇場 ミルハス 大ホール
11月14日(土)岡山:倉敷市民会館
11月15日(日)広島:広島文化学園HBGホール
11月20日(金)福岡:福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)
11月21日(土)福岡:福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)
11月22日(日)宮崎:都城市総合文化ホール 大ホール
11月23日(月・祝)大分:iichikoグランシアタ
11月28日(土)沖縄:沖縄コンベンションセンター 劇場棟
11月29日(日)沖縄:沖縄コンベンションセンター 劇場棟
12月5日(土)埼玉:所沢市民文化センター ミューズ アークホール
12月6日(日)東京:すみだトリフォニーホール 大ホール
12月9日(水)東京:サントリーホール 大ホール
12月11日(金)神奈川:横浜みなとみらいホール 大ホール
12月12日(土)愛知:愛知県芸術劇場 大ホール
12月13日(日)愛知:愛知県芸術劇場 大ホール
12月15日(火)群馬:高崎芸術劇場 大劇場
12月16日(水)千葉:市川市文化会館 大ホール
12月18日(金)大阪:フェスティバルホール
12月19日(土)大阪:フェスティバルホール
12月20日(日)大阪:フェスティバルホール
12月22日(火)東京:J:COMホール八王子
12月24日(木)東京:東京国際フォーラム ホールA
12月25日(金)東京:東京国際フォーラム ホールA
12月26日(土)埼玉:大宮ソニックシティ 大ホール
12月27日(日)静岡:アクトシティ浜松 大ホール
公式サイト:https://www.harmonyjapan.com/doc2026/