聴き慣れた『FF14』の名曲に新たな表情を KeikoとAmandaが彩った「東京ファンフェス」ピアノコンサート
『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FF14)の音楽を、ピアノならではのアレンジで楽しむ特別なコンサートが、「ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル 2026 in TOKYO」(以下、東京ファンフェス)の初日10月31日に開催された。演奏を担当したのは、数々の『FF14』公式コンサートにも出演してきたピアニストのKeiko。ゲストボーカルにはAmanda Achenを迎え、拡張パッケージ『黄金のレガシー』を中心に楽曲を披露した。原曲の壮大なサウンドをピアノ一本で再構成する演奏から、歌声とピアノが一体となったパフォーマンスまで、楽曲の新たな魅力に触れられる約1時間となった。
ピアノと歌声が引き出す、『FF14』楽曲の新たな表情
開演前から期待が高まるなか、『FF14』サウンドディレクター・祖堅正慶氏が「光の戦士の火力がほしい」と観客に呼びかける。そんな言葉とともに始まったのは、「山峡の涼風 ~オルコ・パチャ:昼~」。『黄金のレガシー』のフィールドを彩る楽曲が、Keikoのピアノによって奏でられる。オーケストラやバンドサウンドとは異なる、鍵盤の音色を通じて旋律の細かな動きや美しさを味わえる幕開けだ。
続く「ローズ・オブ・メイ ~黄金~」も印象的だった。『ファイナルファンタジーIX』の名曲を『黄金のレガシー』でアレンジしたバージョンであり、今回の演奏ではさらにピアノならではの表情が加わっている。原曲を知るプレイヤーにとっても、聴き慣れた旋律が違った響きで立ち上がるのは新鮮だ。作品を越えて受け継がれてきた楽曲の魅力を、改めて感じさせる演奏となった。
ここでゲストのAmanda Achenが登場し、「Tomorrow and Tomorrow」を披露。『漆黒のヴィランズ』の物語を象徴する楽曲を、本人の歌声とKeikoのピアノで届けた。歌声を支えるピアノは、原曲の壮大なアレンジとは異なる親密さで、歌詞やメロディにじっくりと耳を傾けたくなる。演奏後にはモルボルこと室内俊夫氏が「いや~素晴らしいですね」と感嘆し、祖堅氏も「言葉になりませんね」とコメント。Amandaも「日本サイコー」と笑顔を見せ、会場を和ませた。
続く「Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」では、先ほどとは打って変わって、軽快で躍動感のあるパフォーマンスが繰り広げられた。ピアノが跳ねるようにリズムを刻み、Amandaの歌声と小気味よく合わさっていく。普段はしっとりとした歌唱の印象が強いAmandaが、マイクを手に力強く、攻撃的ともいえる歌い方を見せたのも新鮮だった。原曲の持つ華やかさや勢いを再現するのではなく、ピアノとボーカルの掛け合いによって別の魅力を引き出していた。
その熱気を引き継ぐのではなく、あえて空気を切り替えるように演奏されたのが「消せない約束 ~希望の園エデン:再生編~」だ。『黄金のレガシー』の楽曲を中心とした構成のなかで、『漆黒のヴィランズ』のシリアスな旋律が響き、ステージの雰囲気も引き締まる。ピアノの音色に集中することで、原曲の持つ切なさや緊張感がより鮮明に伝わり、拡張パッケージごとの個性も感じられた。
祖堅氏のオタマトーンで一転、笑顔に包まれた会場
コンサートの空気を再び和ませたのは、「金煌なる都」の演奏だ。『黄金のレガシー』の舞台であるトライヨラのにぎやかさを表現した楽曲だが、今回はKeikoのピアノ一本で披露。原曲では多くの楽器が重なり合うため、メロディに集中できる機会は意外と少ない。シンプルな編成になったことで、旋律の親しみやすさや軽やかさが改めて浮かび上がっていた。
……と思ったところで、祖堅氏がオタマトーンを手に演奏へ参加。予想外の音色が加わると、客席からは笑いが漏れ、自然と手拍子も起こった。ピアノの美しい旋律をじっくり味わう時間から一転、遊び心たっぷりのステージへ。音楽を通じて観客と一緒に楽しもうとする、『FF14』らしい一幕だった。
その後は「遠き日の思い出 ~リビング・メモリー:開園~」で再び落ち着いた雰囲気に。『黄金のレガシー』の物語を彩る楽曲が、Keikoの演奏によって丁寧に紡がれていく。華やかな楽曲やユーモラスな演出を経た後だからこそ、静かな旋律がより印象に残る。コンサートも終盤に差しかかり、観客が演奏にじっくりと聴き入る時間となった。
終盤にはAmandaが再登場し、「Flow」を歌唱。『暁月のフィナーレ』を象徴する楽曲であり、Amandaの歌声を聴く機会も多いおなじみの一曲だ。最後を飾った「Smile」は、Amandaの歌声にKeikoも加わり、ピアノとの組み合わせによって、原曲とはまた違った温かみが感じられ、約1時間のコンサートが締めくくられた。
今回のセットリストは『黄金のレガシー』の楽曲が多く、次期拡張パッケージ『白銀のワンダラー』へと向かうファンフェスのタイミングにも合った選曲だった。なかでも印象的だったのは、普段はさまざまな楽器が重なり合う楽曲を、ピアノというシンプルな編成で聴けたことだ。メロディの美しさに集中できるだけでなく、原曲とは異なるリズムや音の表情が生まれ、知っている曲にも新鮮な発見があった。
Keikoの演奏を中心に、Amandaの歌声が加わることで生まれる幅広い表現。そして、祖堅氏のオタマトーンによるサプライズまで、しっとりとした演奏とファンフェスらしい遊び心が共存するステージとなった。『FF14』の音楽が持つ奥深さを、いつもとは違った形で堪能できるコンサートだった。
セットリスト
1. 山峡の涼風 ~オルコ・パチャ:昼~
2. ローズ・オブ・メイ 〜黄金〜
3. Tomorrow and Tomorrow
4. Bee My Honey 〜至天の座アルカディア:ライトヘビー級〜
5. 消せない約束 ~希望の園エデン:再生編~
6. 金煌なる都
7. 遠き日の思い出 〜リビング・メモリー:開園〜
8. Flow
9. Smile
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