学校で「Google検索」が使えなくなる? 生徒向けAI機能の波紋、AIがAIを解析・編集する衝撃研究【週末AIニュース3選】
国内外で新サービスの発表やアップデート情報などが絶えない昨今のAI業界。1日の間にこれまでの常識が変わるようなリリースがあったりと、AI関連のトピックは目まぐるしい速度で更新されている。
11月2日〜3日では、Googleが生徒向けアカウントにおいてGeminiやGoogle検索などの利用を初期設定では原則オフにすると発表。AIを含む検索を学校側が認めなければGoogle検索が使用不可になるとして話題となっている。その他にも、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが大規模言語モデル自身に他のモデルの「重み」を直接解析・編集させ、性能を大幅に向上させる新手法を発表したことや、AIが指定した通りのモデルを使って回答したかを企業の機密情報を守ったまま数学的に証明できるオープンソースシステム『FlashProve』をAnthropicが発表したことも注目だ。
Google、生徒向けAI機能を刷新し波紋
GoogleはK-12(幼稚園から高校)の生徒向けアカウントにおいて、GeminiやGoogle検索などの利用を、学校管理者が明示的に有効化するまでデフォルトでオフにすると発表した。(※1)
注目すべきはGoogle検索の扱いだ。検索結果に表示されるAI機能のみを個別に無効化できないため、学校側はAIを含む検索を認めるか、Google検索自体を利用不可にするかの二択を迫られる。米国では、ニューヨーク市やロサンゼルスの公立学校で生徒による生成AIの利用を広く制限しており、ニューヨーク市長が自身のXで「Googleは独占的な力を使って公立学校にAIを押し付けようとしている」と批判した。(※2)
Google is trying to use its monopoly power to force AI into our public schools.
No corporation should have the power to dictate how we teach our children.
Our public schools exist to serve students, not to grow the profit margins of Big Tech.https://t.co/jfACMS1Sh2
— Mayor Zohran Kwame Mamdani (@NYCMayor) November 3, 2026
一方で、Googleは「学校の選択肢を増やすものであり、減らすものではない」と反論している。(※3)
We want to clarify what we announced today about our education services. Today’s announcements give schools more choice, not less. Here’s what we announced:
- Gemini, Gemini Notebook, and Search will be OFF 🔴 by default. This is based on K-12 schools asking for more control…
— News from Google (@NewsFromGoogle) November 3, 2026
同時に、生徒の自発的な学習を促す新サービス『Guided Learning』の導入も発表された。基盤となる生成AIモデル「Gemini」を活用し、答えを直接提示するのではなく、段階的な説明で問題解決を支援する。同機能はGoogle Classroom向けに同日よりグローバルで提供開始されており、検索向けも11月中に米国の一部学校でテスト運用が始まる。
GPT-6 AstraがQwenの重みを0.016%書き換えで数学性能6倍に
マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームはAIモデル「GPT-6 Astra」を用いて別のAIモデルの内部パラメーターを直接書き換え、性能を大幅に向上させる新手法「Weight-Space Programming」を発表した。(※4)
従来のAIモデルの性能向上には、追加データを用いた膨大な計算による再学習が不可欠だった。しかし本手法は、大規模言語モデル自身に他のモデルの「重み」を直接解析・編集させる画期的なアプローチだ。Pythonなどのツール環境を与えられたAIが、自らニューラルネットワーク内のエラー原因を特定し、プログラムを書いて数値を直接修正する点が最大の特徴である。
実験では、「GPT-6 Astra」にAlibabaのAIモデル「Qwen3.5-0.8B」を分析させた。結果として、全体のわずか0.016%にあたるパラメーターをピンポイントで変更するだけで推論の繰り返しという欠陥を修正し、数学ベンチマークの正答率を7.9%から48.1%へと劇的に改善させることに成功した。
Anthropicが『FlashProve』公開 AIモデルの応答を検証可能に
Anthropicは大規模言語モデルの推論が指定したモデルで確実に行われたかを暗号学的に証明するオープンソースシステム『FlashProve』を発表した。(※5)
現在、ユーザーがAIを利用する際、密かに安価なモデルへすり替えられたり出力が改ざんされたりしても、出力結果から判別するのは困難である。本システムは「zkSNARK」と呼ばれるゼロ知識証明技術を用い、この課題を解決する。
最大の特徴は、モデル提供者が重み情報を一切漏らすことなく、出力の正当性を証明できる点だ。性能面では、4000億パラメータのモデル「Llama 4 Maverick」を対象とした検証において、単一のH100 GPUで約110トークン/秒を記録。既存のオープンソースシステムと比較して桁違いの高速化を達成している。
アンソロピックは想定される用途として、AI開発における規制遵守の確認や、外部サービス経由での利用時におけるモデルの出所証明などを挙げている。関連コードやドキュメントはApache 2.0ライセンスで公開されている。
参考
※1:https://blog.google/products-and-platforms/products/education/ai-learning-era-updates-2026/
※2:https://x.com/NYCMayor/status/2117692668213940677
※3:https://x.com/NewsFromGoogle/status/2117714815477059722
※4:https://rikiyat.github.io/blog/weight-space-programming/
※5:https://www.anthropic.com/research/provable-inference