PC値上がりの中で何を削り、何を残したか デルの4色ノート『Dell 14S』が提示する、丁度良い値段とスペック感

 デル・テクノロジーズは10月22日、14インチのノートPC『Dell 14S』を発売した。重さは最小構成で1.15kg、Netflixの再生で最大21時間動くバッテリーを内蔵し、ボディは4色から選べる。Dell公式サイトの参考価格はCore 5・メモリー16GB・SSD 256GBの構成で19万4800円(税込・送料込)だ。

 発売記念として11月1日までは全モデルを4万5000円引きで販売しており、この構成なら14万9800円になる。11月中旬には、メモリーを8GBにして3万円前後安くしたモデルも追加する。

ベルベットグリーンの『Dell 14S』

値上がりで買い手は慎重になる今、重視するポイント

 デル・テクノロジーズ執行役員でコンシューマー向け事業を統括する文英梅(ブン・エイバイ)氏は、物価上昇の影響で消費者がPCの購入に慎重になり、検討にかける期間も長くなっていると説明した。日本の利用者が求めるのは、薄さと軽さ、持ち運びやすさ、求めやすい価格、日常に十分な性能、長いバッテリー駆動だという。

デルが示した日本の市場環境と顧客ニーズ

 『Dell 14S』は、6月に発売した『XPS 13』に続く薄型軽量モデルだ。XPS 13は厚さ12.7mm、重さ1kgで、アルミの塊から削り出したボディに13.4インチのタッチディスプレイを組み合わせる。製品戦略を担当する松原大氏は、『Dell 14S』を「XPSよりは少しコストパフォーマンスを良くして」作ったモデルだと説明する。

デル・テクノロジーズで製品戦略を担当する松原大氏

削り出しをプレス加工に、タッチ操作も省く

 ボディは『XPS 13』と同じアルミニウムだが、削り出しではなくプレス加工で作る。ディスプレイはタッチ操作やThunderboltに非対応。無線LANはXPS 13のWi-Fi 7に対し、Wi-Fi 6Eにとどまる。

6月に発売した『XPS 13』との比較

 メモリーは16GBだが、11月中旬にはメモリーを8GB、無線LANをWi-Fi 6にしたモデルを追加する。価格は16GBモデルより3万円前後安くなる見込みだ。

インテルがPCの基板設計にも関わる

 プロセッサーには、インテルが価格を重視するユーザー向けに開発した「Coreシリーズ3」(開発コード名:Wildcat Lake)を採用した。XPS 13で選べる上位の「Core Ultraシリーズ3」(同:Panther Lake)と製造技術やCPUコアの設計は共通だが、CPUを6コア、GPUを2コアに絞ってチップを小さくした。メモリーの接続はシングルチャネルにして、低コストな6層の基板でもPCを作れるようにしている。

Coreシリーズ3は低コストな6層の基板にも対応する

 インテルIA技術本部 部長の太田仁彦氏によると、新しいプロセッサーを出すときは通常、「プロセッサーとその仕様書を出して、はい、どうぞお作りください」というやり方で、基板や筐体の設計はPCメーカーに任せる。Coreシリーズ3ではこれを変え、チップの開発段階からPCメーカーと協議を重ねた。

 基板の設計や筐体、コネクター、液晶の配置までをプロセッサーの設計に織り込んだ。薄く軽い本体にバッテリーを詰め込みながら安く作れるよう、部品の配置をメーカーと一緒に詰めたという。太田氏は、Dell 14Sをその成果の1つとして紹介した。

発表会に登壇したインテルの太田仁彦氏

厚みを生かしてHDMIと大きなバッテリーを載せる

 『Dell 14S』の厚さは最薄部12.21mm、最厚部13.5mmで、傾斜の付いた形をしている。『XPS 13』より約150g重いが、その分『XPS 13』にないHDMI 1.4とヘッドホン端子を備える。USB Type-C(10Gbps)は2基だ。

閉じた状態を横から見たところ
左側面にHDMIとUSB Type-Cを2基備える

 画面を14インチに広げて本体が大きくなった分、バッテリーは61.2Whを内蔵する。Netflixの再生で比べると、『XPS 13』の最大17時間に対し、Dell 14Sは最大21時間動く。松原氏は「ほぼ1日持つ」と表現した。

 インテルによると、Coreシリーズ3のCore 7 360は、2024年に投入したCore 7 150Uと比べてクリエイティブ系の処理が最大2.1倍、GPUを使ったAI処理が約2.7倍速く、4K動画を再生するときの消費電力は64%少ない。AI処理用のNPUも内蔵し、Dell 14Sが採用するCore 5 320は16TOPS(1秒に16兆回の演算)、Core 7 350は17TOPSの性能を持つ。

ビビッドを避けたナチュラルな4色

 色はリネン、ダスティーローズ、ウォッシュドデニム、ベルベットグリーンの4色だ。松原氏は方向性を「ビビッドではなく、ナチュラルなカラー演出」と説明した。リネンはワイシャツを思わせる明るいシルバー、ダスティーローズは暗みがかったピンク、ウォッシュドデニムは洗い加工のデニムのような薄いブルーだ。

発表会の壇上に並んだ4色
ダスティーローズ

 ディスプレイは非光沢で、フルHD+(1920×1200、60Hz、300ニト)と2.8K(2880×1800、120Hz、450ニト)から選べる。ただし2.8Kを選べるのはリネンだけで、この構成では顔認証用のIRカメラを装備する。

ウォッシュドデニム
リネン

NPUアプリはメモリ16GBが条件

 発表会には、NPUを使うアプリを開発するK-kaleido代表取締役の安生健一朗氏も登壇した。安生氏は、PCの値段が上がったことで、ブラウザーやメールに使うだけでなくPCをもっと活用しようという意識が利用者に生まれ始めていると話した。同社の『スピーチコネクト』は、動画や講義の音声をリアルタイムで文字起こしし、英語を日本語に訳して表示するアプリだ。処理はPC内で完結し、音声やテキストをクラウドに送らない。

K-kaleido代表取締役の安生健一朗氏

 スピーチコネクトはCoreシリーズ3にも正式に対応したが、動作には16GB以上のメモリが必要で、『Dell 14S』の8GBモデルでは使えない。価格は1台分の買い切りで9900円から。11月には文字起こしから議事録を作る『言の記(コトノキ)』、10月中にはPCの操作を記録して手順書や動画にする『KnowStep』を発売する予定だ。

スピーチコネクトで英語の音声を文字起こしする様子。下のタスクマネージャーではNPUの使用率が上がっている

当面は『XPS 13』との価格差が小さい

 現在は『XPS 13』も値引きして販売しているため、両機種の価格差は小さい。松原氏は、半導体価格の動きとプロモーションの兼ね合いで今の価格になっていると説明したうえで、『Dell 14S』を『XPS 13』より割安に出す方針は変えないとした。また、Dell公式サイトでは11月1日まで『Dell 14S』の全モデルを4万5000円引きで販売するほか、12月7日まではDell Rewards会員に通常のポイントに加えて5000ポイントを付与する。使用シーンや需要に応じて選択肢が増えるラインナップ、そしてキャンペーンの展開。気になったユーザーは是非、チェックしてもらいたい。

Dell公式サイトでは11月1日まで全モデルを4万5000円引きで販売する

日本のテクニカルサポート拠点として20年超、デル・テクノロジーズ宮崎カスタマーセンター AIとエージェント統合で進化続く

デル・テクノロジーズの日本におけるテクニカルサポート拠点、宮崎カスタマーセンター(MCC)が設立から20年を超えた。正社員雇用に…

関連記事