アンチョビ、パクチーだけじゃない! 『あいの里』“クセ強”歴代住人たちによる名場面を振り返る

美意識高めのシーズン3最年長「パクチー」

 そして今シーズン、日常の何気ない場面でも目を引くのが、最年長61歳のパクチーである。

 美容への意識が高く、身体づくりにも熱心。ところが、筋トレ中に顔を強打する場面では、思わず画面に向かって声をかけたくなった。自分磨きに励む姿を見ていたはずが、急に心配させられる。

 アンチョビとのやりとりも印象的だ。互いに相手と同じ名前の食材をあまり好きではないと言い合うのだが、なぜか本人同士が牽制し合っているように聞こえる。あくまで食材の話。それなのに、妙にバチバチしているのがおかしい。

Netflix Japan

 やがてパクチーは、アンチョビの愚痴や振る舞いへの不満も本人に伝える。こちらは食材の話では済まない。共同生活では、自分の気持ちを飲み込み、にこやかに過ごせる場面ばかりではないのだろう。美容に励む姿にも、ほかの住人に意見する場面にも、彼なりのこだわりが顔を出す。

 恋を探しに来ているのに、食材の好き嫌いで張り合ったり、日々の暮らしで腹を立てたり。そうした時間が積み重なるほど、プロフィールだけではわからなかった人柄が見えてくる。恋愛が動いていない場面にも、つい見入ってしまう番組だ。

 アンチョビ、パクチー、ハリウッド、マンハッタン。偶然だろうが、食べ物や都市の名前を持つ住人は、どうにもキャラが濃い。『あいの里』の1つの伝統(?)として、今後もまた誰かがその系譜を受け継いでいってくれることを願う。

約20年ぶりの帰還を果たした「嵐」

 第13話からは、かつて『あいのり』に参加していた嵐も登場する。約20年前に旅をしていた人を見て、「嵐だ!」と気づく視聴者がいる。そのこと自体、この系列の番組が送り出してきた人々の印象深さを物語っているのではないか。

 『あいの里』シーズン1の制作秘話によれば、最終オーディションはホテルの宴会場で、食事やお酒を楽しみながら行われたという(※)。理由は、参加者の「飾らない普段の姿」が見たかったから。同じ制作チームが手がけた『あいのり』でも、最終オーディションは居酒屋で実施していたそうだ。筆者が印象に残っているのは、ゆーみんという女性のエピソード。記憶が定かであれば、居酒屋オーディションで引っ込み思案の彼女は1人で焼き網を箸でつついていたという。

 用意した自己紹介だけでは伝わらない、会話の癖や人との接し方。少し困ったところもあれば、ふと優しさが見える瞬間もある。『あいのり』から『あいの里』へと続く制作陣は、そんな人の魅力を見つけ、映し出すことに長けているのだと思う。

 笑ってしまうし、呆れもする。ときには「もういいって!」と言いたくなるのに、いざ恋が動けば「そこで急ぐな!」と口を出してしまう。気づけば、ずいぶん親しい人の恋を見守る気分。そんな愛すべき住人たちがいるから、今日も里の様子をのぞきたくなるのだ。

参照
※https://x.com/NetflixJP/status/1661692688436183041

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