「無」になるしまじろうがSNSで大バズり “大人になった私たち”に刺さる投稿の秘密を担当者に聞いた

 最近、しまじろうの公式Xアカウントの投稿が話題だ。直近で反響を集めているのが、2026年9月2日に投稿された「ベンチで“無”になっているしまじろう」である。虚空を見つめるしまじろうの、なんともいえないシュールな様子に、17万いいねが集まった。(2026年9月時点)

 ほかにも、「歯医者で知らない器具が出てきて戸惑うしまじろう」や、「美容師さんとの会話に困るしまじろう」など、妙に日常に溶け込んでいるしまじろうの様子が、Xで話題になっている。

 改めて説明すると、しまじろうは、ベネッセコーポレーションが提供する通信教育サービス『こどもちゃれんじ』のキャラクターだ。『こどもちゃれんじ』を受講していたり、テレビ番組『しまじろうのわお!』を見るなど、子ども時代にしまじろうに親しんできた人も多いのではないだろうか。

 そんな子どもに親しまれているイメージが強いしまじろうだが、ここ最近は、大人の心を掴む投稿が目立つ。そこで今回は、その背景や狙いについて、ベネッセ公式アカウントの広報担当者に話を聞いた。

きっかけは「温泉に入るしまじろう」の投稿

©BenesseCorporation 1988-2026/しまじろう

「“無”になっている姿や歯医者さんでの様子は、多くの方が経験する日常の一コマです。しまじろうらしさを大切にしながら、従来のしまじろうとは異なる一面を見せることで意外性を楽しんでいただけることができればと思っております」

 これまでのイメージから少し違った角度の投稿について、ベネッセ公式アカウント広報担当者はこう語る。筆者が初めに感じたのも、まさに「“あの”しまじろうがこんな投稿をするんだ」という意外性だった。しまじろうは、「明るく元気で活発」「まっすぐで一生懸命」という魅力を持つキャラクターである。だからこそ、無になる姿や、歯医者で固まってしまう姿とのギャップが面白く、話題を呼んでいるのだろう。

 しまじろうが誕生したのは、1988年。2028年には40周年を迎える。子どものころしまじろうに親しんでいた筆者も、現在は33歳。つまり、かつてしまじろうに親しんでいた子どもたちが、ちょうど親世代になったということだ。

 40周年に向けて、2026年3月には新ブランド「&Shimajiro」も誕生。「進研ゼミ高校講座」では2026年4月から高校生になったしまじろうが登場している。子どもだけではなく大人にも寄り添う存在として、しまじろうの世界は動き出している。そんななかで、こういった投稿が反響を呼んでいるのは、自然な流れなのではないだろうか。

 こういった投稿のきっかけは、2026年2月に投稿した「温泉に入るしまじろう」だったという。

「温泉に入るしまじろうの投稿をきっかけに、子ども向けキャラクターであるしまじろうが、お客様の持つイメージとは少し異なる行動をすることに、意外性や面白さを感じていただけていると気づきました。この投稿には、『しまじろうも温泉に入るの?』『朝から癒された』『ほっこりした』といった温かい反響が多く寄せられました。子どもだけでなく、かつて子どもだった方々にも、世代を超えて今なお寄り添い続ける存在であることを、改めて実感するきっかけとなりました」(ベネッセ公式アカウント広報担当者)

キャラクターに日常を重ねる大人たち

©BenesseCorporation 1988-2026/しまじろう

 しまじろうの投稿を取り巻く反応を見るに、イメージのギャップを感じて楽しんでいるだけではなく、自身の日常としまじろうを重ね、共感している声も多く集まっている。

 子ども向けのキャラクターに大人が自己投影する楽しみ方でいうと、近年は『ちいかわ』などが思い浮かぶ。一見すると可愛らしい見た目のキャラクターたちが、労働や失敗、不安といった現実に直面する姿を描くことで、大人も自分自身の経験や感情を重ねて楽しめる作品となっている。

 だが、しまじろうは『ちいかわ』ほど過酷な現実を描いているわけではなく、見せているのは「無になる」「歯医者で固まる」といったごく身近な日常だ。その気軽に共感しやすい“軽さ”も、SNSとの相性がいい理由のひとつだろう。

 さらにしまじろうは、長年にわたって子どもたちに親しまれている国民的キャラクターでありながら、多くの企業やアーティストとの幅広いコラボレーションを実現するなど、SNS以外の側面からも存在感を広げている。

 SWEET STEADYや東京タワー、ロッテ コアラのマーチとのコラボレーションや、大人向け新ブランドである「&しまじろう」が注目されていることなど、その展開は子ども向け教育キャラクターという従来の枠にとどまらない。

 幅広いコラボレーションを展開する国民的キャラクターといえば、「ハローキティ」もたびたび話題となってきた。近年は推し活ブームも盛んになり、大人でも好きなキャラクターのアイテムを身につけたり、日常生活に取り入れたりする人が増えている。キャラクターは「子どもが楽しむもの」から、世代を問わず、それぞれのスタイルで楽しむものへと広がりつつあるのだ。

 こうした流れのなかで、しまじろうもさまざまな接点を作ることで、子どもだけでなく、かつてしまじろうに親しんだ大人や、これまで接点のなかった世代にも、その魅力を届けている。

「説明しすぎない」しまじろうのSNS

©BenesseCorporation 1988-2026/しまじろう

 また、しまじろうの投稿とSNSの相性について、ベネッセ公式アカウントの広報担当者は「Xではタイムライン上でリアルタイムに、みなさまと会話をするような親しみやすい発信を意識しています」と説明している。

 実際にしまじろうの投稿を見ると、メインは写真で、テキストによる説明はほとんどない。あえて“説明しすぎない”ことで、SNSユーザーが自由に解釈したり、思わずツッコミを入れたりできる余白を残している点も、ユーザーが自然と参加できる仕掛けになっているのだろう。

 このように、しまじろうのSNS投稿は、現在どのような層に認知されているのか、現代のキャラクターカルチャーがどう変化しているのか、そしてSNS上で話題を生むためにどのような余白を残すべきかといったポイントを捉えている。こうした工夫の積み重ねが、世代を超えて親しまれ、話題になり続ける背景にあるのだろう。

 ベネッセ公式アカウント広報担当者は、しまじろうが「今お子さまの隣にいる存在であると同時に、大人になったみなさまの思い出の中でも生き続けている存在」だと語る。

 かつてしまじろうと遊んでいた子どもたちが大人になり、今度はSNSを通じてその姿に共感やツッコミを寄せている。子どもたちの成長を見守ってきたしまじろうは、新しい顔を見せながらも、時代や世代を超えて、それぞれの日常に寄り添い続けていくのだろう。

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