架空と存在の“間(あわい)”を探求する果てに「VTuber」へと至る EchoVerse新人 イザ・サラバが語る、創作への思い
大丸松坂屋百貨店が運営するVTuber事業、「EchoVerse(エコーバース)」から2期生がデビューする。同事業では2025年9月に1期生の花依(はなより)よるはがデビュー、その約半年後には2期生オーディションを実施。今回は「アート」をテーマに、さまざまな創作の領域で自己表現を続ける“次世代型クリエイター”の発掘を目指した。
大丸松坂屋百貨店のVTuber事業「EchoVerse」運営に聞く、2期生オーディションへの期待 「次世代型クリエイター」の創出を狙う“意味と意義”とは
大丸松坂屋百貨店が運営するVTuber事業「EchoVerse(エコーバース)」が、2期生オーディションをスタートしている。Ec…同社のメタバース事業に始まり、EchoVerseについてもその取り組みを追いかけてきた当媒体に、今回のオーディションで選ばれた2名が登場。前回のインタビューで話を聞いた輝跡(きせき)ひいろはK-POPやメンズファッションに影響を受けたイラストレーターであり、既存の作家名義を残したままVTuberデビューする。取材では絵描きとしてのルーツやデビュー前の心境について、終始明るいトーンで語った。
個人イラストレーター→企業所属VTuberへ転身 EchoVerse・輝跡ひいろが語る、“姿”を得ることで広がる創作の可能性
大丸松坂屋百貨店が運営するVTuber事業、「EchoVerse(エコーバース)」から2期生がデビューする。本稿では、デビュー配…第2弾は、映像クリエイター/アーティスト、イザ・サラバのインタビューをお届けする。はじめは緊張も見えた彼女だが、表現や活動スタンスの話を聞いていくうちに、言葉に熱がこもってくるのを感じた。彼女がVTuberとなって、描き出そうとしている表現に迫る。(ヒガキユウカ)
知ることと挑戦することが好き 垣間見えるアーティストとしての顔
――まずは読者の方に向けて、自己紹介をお願いします!
イザ・サラバ(以下、サラバ):映像クリエイター/アーティストのイザ・サラバです。実写の写真や映像に手描きのアニメーションを重ねる手法で、動画を作ったり、イラストを描いたりしています。
――イラストやアニメーションはいつごろから描いていましたか?
サラバ:イラストを描くこと自体は昔から好きでしたね。アニメーションを始めたきっかけは、学校の課題です。「好きなことをやってこい」と言われて、そのとき初めてアニメーションにチャレンジしました。
――逆に、苦手なことは?
サラバ:あの、魚を……。
――魚?
サラバ:魚を釣ったときに、針を外すのが苦手なんです。釣り針って返しが付いてるじゃないですか。あれを外すために、針を一度魚の喉の奥に押し込む必要があるんです。その作業が怖くて。
――かなり局所的な“苦手”が飛び出てきましたね……! 釣りをされるということは、アウトドアも好きなんですか?
サラバ:そうかもしれません。虫や草にも興味がありますし、海外の不思議な食べ物を食べるのも好きです。それから、今度狩猟免許を取る予定です。アニメーションもそうでしたが、知らないことを知ったり、経験がないことに挑戦してみたりするのが好きなんです。
――その好奇心そのものが、VTuberとしての大きな武器になりそうですね。デビューを控えた今の心境はいかがでしょうか?
サラバ:まだあまり実感がなくて、「本当に自分がデビューするんですか?」という感じです。ただ運営さんがどんどん準備を進めてくださり、また「こういうこともやってみませんか?」と親身にサポートしてくださるので、ワクワクする気持ちもあります。
――お姿のデザインは久賀フーナさんが担当されています。第一印象はいかがでしたか?
サラバ:全体的な雰囲気としては儚いのに、目には強さがあるところが「最高!」と思いました。デザインしていただくにあたって希望もお伝えしたのですが、髪型を短めにすることや、触角のような後ろ髪は私のこだわりです。
――鍵や天体のモチーフも、ご自身のアイデアでしょうか?
サラバ:そうですね。鍵には、「いろいろな未知の世界の扉を開ける鍵」と「自分の秘密や大事なものを守るための鍵」というふたつの思いを込めています。
そして天体のモチーフには「未踏の地への探求」という意味を持たせています。まだ見ぬ未知の境地に、どうしようもなく惹かれる衝動を大切にしたい。そしてその“熱”を周囲に伝播させていけるような生き方をしたいと思っています。
胸元やベルトなどあちこちにちりばめられている星のモチーフは、「一番星でありたい」という活動への思いと、昔から緊張したときや不安なとき、おまじないのように描いていた×マークを組み合わせていただきました。
応募の決め手はクリエイター募集に「ビビっときて」
――デビューの経緯についてもうかがっていきたいと思います。EchoVerseのオーディションを受けようと思ったきっかけは何でしたか?
サラバ:もともとVTuberやバーチャル文化が好きだったのもあって、2023年に大丸松坂屋百貨店がメタバース事業(※編注:オリジナルアバターの制作販売、メタバース進出支援など)を始めたのは知っていました。VTuber事業についても第1回の募集のときから見ていて、その際は応募しなかったんですが、第2回オーディションがクリエイターに特化していたのを見てビビっときて。「これは自分のためのオーディションなのでは?」と感じたんです。
コンセプトが合っていたのもそうですし、ポートフォリオを提出できる点も大きかったです。これまでやってきたことが、VTuberという自分の好きなものに合流させられるんだ、と思ったことが応募の決め手でした。
――選考中に印象的だったことはありますか?
サラバ:面接のときに、担当の方が毎回ポートフォリオや作品の感想をくれたことです。すごく褒めてくださって、それがいつもうれしかったですね。
――それだけ、応募者の作品をしっかり見ているということですね。
サラバ:その喜びが大きくて、「良い人たちに出会えてよかったな、もし落ちても悔いはないな」なんてことを思っていました。なので運営さんには、すでに大きな恩があると感じています。
――同期の輝跡ひいろさんとの顔合わせはこれからとのことですが、現時点でどんな方を想像していますか?
サラバ:今はひいろちゃんのビジュアルと、彼女の作品を少しだけ見た状態で……。運営さんからは「ギャル」と聞いています。なので、長いジェルネイルをしていそうなイメージがあります(笑)。
――なるほど。実際のところは分からないけれど、あくまでイメージとしては“強いギャル”のような人柄を想像されているんですね(笑)。ちなみに、サラバさんご自身はギャルですか?
サラバ:まったくギャルではないです……!
――ひいろさんにもインタビューを行いましたが、確かにタイプの違う印象を受けるので、おふたりの対面がとても楽しみです。サラバさんは、ひいろさんとやってみたいことはありますか?
サラバ:お絵かきを一緒にしてみたいなと思っています。自分が描くのとはまったく違う作風の絵を描かれる方なので、2人でひとつの作品をつくるのも面白そうですね。
映像の力を「イザ・サラバ」という物語の演出に活かしたい
――冒頭、ご自身の制作について「実写の写真や映像に手描きのアニメーションを重ねる」と話されていました。サラバさんは、なぜこの手法を採っているのでしょうか?
サラバ:映像に限らず、私がこれまでの作品づくりで一貫して追求してきたのが、「存在していないものに存在感を与える」ことなんです。
アニメーションなどでも、架空のキャラクターなのに生命を感じることってあるじゃないですか。「存在している」と「存在していない」、「生きている」と「生きていない」、その“間にある何か”をつかみたいと思って創作や表現を続けています。
――存在していると存在していない、その差はどこにあるのか。どのラインを超えたら人は「存在している」と感じるのか。その探求をしているようなイメージでしょうか。
サラバ:そうですね。手描きアニメも、ダイナミックな動きをしたり音楽に合わせて踊ったりするのではなく、瞬きをするとか少し足を揺らすだけとか、そういった何気ない、繊細な所作を描くのが好きです。
――「もともとVTuberが好きだった」とも仰っていましたが、どんな方々を見てきましたか?
サラバ:最初はZERO projectさんを入口に、九条林檎さんなどSHOWROOMで活動されていた方々を追っていました。そこから少し空いてBOOGEY VOXXさんやProjectBLUEさん、memexさんなど音楽系の方を見ていたこともあります。またしばらく空いて、最近はにじさんじさんやぶいすぽっ!さんを見ています。
――memexを見ていたということは、VRにも触れてきましたか?
サラバ:はい、VR・XRにはすごく興味がありました。まさに「現実」と「現実じゃないもの」を組み合わせた技術ですし、その文脈で『VRChat』に興味を持っていたときにmemexさんを知りました。
――映像の方で、影響を受けた作品やクリエイターさんはいますか?
サラバ:たくさんいらっしゃいますが、VTuber文化に近いところだと擬態するメタさんですね。九条林檎さんの「月下宴」のMVで知ったんですが、現実の映像にアニメーションを重ねるような手法をされているユニットさんで、「自分がやりたかったことはまさにこれなんじゃないか」と思わされました。
――擬態するメタは、星街すいせいさんの『ビビデバ』のMVが海外でも評価されていますね。サラバさんの映像に対する探求心やスキルは、EchoVerseでの活動にどのように活かしていく予定ですか?
サラバ:せっかくチャンスを与えていただいたので、自分が表現したいものを表現するためというのはもちろん、「イザ・サラバ」という物語の演出のためにも、私の培ってきたものを使っていきたいです。
これは野望に近い話なんですが、歌うのもすごく好きなので、自分で演出を担当したライブをやってみたいと思っています。VTuberは自身をプロデュースをする上で、世界観含め丸ごと作り上げていける点が魅力的だと思っていて。そうして作り上げた物語を現実世界に持ってきたとき――ライブなのか個展なのかわかりませんが――それをたくさんの人に見ていただくことが、当面の目標でもあります。
――お話をうかがっていると、サラバさんにとっては「VTuberになること」が目的だったというよりは、アーティストとして表現したい確固たるものがあり、その大切な手段としてVTuberがあるように感じられます。
サラバ:そうですね。もともとはただ、「VTuberになってみたい」という目的で飛び込んだんです。でもEchoVerseはクリエイター同士の共鳴を目指す場だと私は感じていて、そういう場に恵まれたおかげでこうした考えになれたのかもしれません。
共鳴という意味では、ひいろちゃんやよるはさんがライブや個展をするときに、その映像や演出を担当することにも挑戦してみたい。「できたらいいな」レベルの話ですけどね。
――ありがとうございます。最後に、読者の方に向けて一言お願いします!
サラバ:見た人の記憶に刺さって抜けない、強烈な印象を残す一番星のような作品を作りたい。あるいは自分自身がそういう存在になりたいと思っています。一緒に面白い景色を見に行きましょう!
■イザ・サラバ オフィシャルリンク
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