同じく恋愛要素だけでなくメンバー間での“共同作業”も見応えがある『オオカミくん』シリーズもおすすめだ。シーズンによって出演メンバー全員で行われる共同ミッションを通して見せてくれるメンバーそれぞれの人間的成長や友情から生まれる絆なども注目ポイントとして挙げられる。常に“文化祭前夜”が続いているかのようなテンションで、彼らを通して大人女性も青春時代を思い出し、追体験できるはずだ。また、ここでの恋愛は誰かの矢印がまた別の誰かの矢印に影響を及ぼし合う、恋愛のある意味残酷なところでもあり醍醐味ともいえる「実る恋もあれば実らぬ恋もある」「誰かの失恋の上に成り立つ恋愛の成就」という側面を思い出させてくれる。大人になればなるほど“恋愛”はより個人的でプライベートなものになっていくために、忘れてしまいがちな事実を思い起こさせてくれるのだ。

　現役高校生の恋愛模様を追った『今日、好きになりました。』（通称『今日好き』）シリーズや『恋する♥週末ホームステイ』（通称『恋ステ』）シリーズは、制服に身を包んだ学生の初々しい恋愛模様を垣間見ることができる。彼らに照らし合わせながら、今よりはるかに自分の生活、頭の中で“恋愛”の占めるウエイトがあまりに大きかった当時のことを懐かしく思い返せることだろう。限られた時間の中で相手のことを知ろう、自分のことも知ってもらおうと行動を起こそうとする姿に、また“後悔がないように”と何度も繰り返しながら自分をアピールしにいく様子に、“恋愛”がもたらしてくれる純粋な高揚を思い起こさせてくれる。

　自分のテリトリー内で、気心の知れた人間関係内でだけ過ごすことはストレスも少なくただただ穏やかだが、そこには“予定調和”があるばかりで、なかなか“新しい景色”は見えづらい。誰かにペースを乱されたり、時にぶつかってみたりすることは根気の要る作業だけれど、相手の、そして自分自身の新たな一面を発見することができる“未知との遭遇”は、何てことない日常を愛おしめる特効薬だと思い知らされる。

　人との“距離感”が保たれている今だからこそ、恋リア内で“初対面の相手と関係値を深めていく過程”や“他人が自分の気持ちを侵食していく様子”、“誰かが誰かにとっての特別になる瞬間”を疑似体験したくなるのではないだろうか。だんだんと寒くなり、人恋しい季節になってきた今、彼らの恋愛模様で“きゅん”と心を温めてはいかがだろうか。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで2019年の劇場鑑賞映画本数は約80本。Twitter