「なんとかなれーッ!」は流行語大賞になる? 『ちいかわ』ファンを夢中にさせる名ゼリフの数々

 劇場アニメとして未曽有の大ヒットを記録している『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。9月11日には全国5都道府県7劇場で「なんとかなれーッ!発声可能応援上映」が開催され、大きな盛り上がりを見せた。

 そもそも『ちいかわ』は“口に出したくなるセリフ”がてんこ盛りの作品だ。そこで本稿では、作中に出てくる面白いセリフの数々をあらためて取り上げてみたい。

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』【“なんとかなれーッ!”応援上映 】の楽しみ方

 まず応援上映でもフィーチャーされた「なんとかなれーッ!」は、作中でもっとも有名なセリフの1つ。ハチワレがピンチを乗り越えるときにお馴染みの掛け声で、さまざまなエピソードの山場に登場してきた。今回の映画をきっかけに原作ファン以外にも広まっているので、今年の流行語大賞に選ばれてもおかしくはなさそうだ。

 ハチワレはどんな状況でもへこたれないポジティブな性格で、臆病なちいかわを引っ張っていく頼れる親友。「なんとかなれーッ!」はそんなハチワレの魅力が詰まったセリフと言えるだろう。

 ほかにもハチワレのセリフは名言の宝庫。たとえばちいかわが泣き出してしまった時には、「泣いちゃった!!!」と冷静にコメントするのがお決まりの光景となっている。もちろんそのまま泣いているのを放置するのではなく、ちいかわが元気になるよう親身になって寄り添おうとするところに“ハチワレらしさ”がある。

 その一方、ハチワレもつねにポジティブ思考でいられるわけではなく、たまにはちょっと気弱になったり、思わぬ強敵に追い詰められたりすることも。

 たとえば有名なのは、「討伐」の最中、足を滑らせて大きな落とし穴に落ちてしまうというエピソード。最初は自力で助かろうとするものの、穴の底から脱出することは難しく、雨が降り始める。そこでハチワレは体育座りをしながら、「喜びがない~……」とあまりに切ない一言を呟くのだった。

 また「討伐」の任務で、“でかつよ”の一種である「あのこ」と戦った際のこと。巨大なしっぽに吹き飛ばされてしまったハチワレは、地面に倒れたまま「視界がモノクロになる~……」と口にして、ちいかわを心配させていた。

 さらに人気エピソード「パラレルワールド編」では、ハチワレの“闇が深い”一面があらわになったことが話題に。ちいかわが変な虫に刺されたことをきっかけに、現実と少しだけ違う世界に巻き込まれてしまうという話なのだが、そこでハチワレは元の世界を取り戻すため奔走する。

 しかしハチワレの身体にも異変が生じ、“でかつよ化”してしまう。本人は「強くなっただけ」という気分だったが、ちいかわから拒絶された上、武器を向けられてしまい、「言わないでしょそんな事ッ」「言わないよねェッ」と思わず激昂。いつもやさしいハチワレが豹変し、迫力のある言葉を放つという衝撃のシーンだ。

 同様の描写は、物語の初期にも描かれていた。それはうさぎがリサイクルショップで買ってきたという“杖”がきっかけで、不思議なことが巻き起こるというエピソードでのこと。杖の効果でうさぎとハチワレの姿が変貌していき、1人正気を保ったままのちいかわは咄嗟に杖を折ろうとする。

 それを見たハチワレは、“たしかに折ったほうがいいかも”という気持ちと“折らないで”という気持ちの板挟みとなり、巨大な足で地団太を踏みながら「心がふたつある~~」と言い放つ。不思議で恐ろしいことがたくさんある『ちいかわ』の世界観を象徴するような名ゼリフだった。

 同作ではハチワレ以外にも、さまざまなキャラクターが名言を残してきた。その代表格といえば、やはりモモンガだろう。

 横柄で自己中心的な性格でありながら、四六時中かわいい素振りを追求しているのがモモンガの特徴。おしりを振りながら言い放つ「イーヤーヤダヤダ」はそんなモモンガの代名詞とも言えるフレーズで、映画のなかでも印象的な使われ方をしていた。

 また、モモンガはなにかと労働の鎧さんに絡みに行き、わがままを言って困らせることが多い。たとえば食事中、労働の鎧さんがそばを通りかかるのを発見したときには、「甘いものが食べたいんだよォーーー」と大声で叫んでデザートを要求するという傍若無人っぷりを見せ付けていた。

 モモンガは度々こうした欲望まみれの叫び声を上げており、“モモンガ構文”として人気を博することに。なかでも有名なのは、「腹が減りすぎてちょっと具合が悪いんだよォーーー」という叫びで、SNS上ではこのセリフをさまざまな形に変形させるという遊びが流行している。

 またメインキャラだけでなく、サブキャラたちも数多くの名ゼリフを生み出してきた。映画でいえば、ちいかわたちが島で出会うセイレーンのセリフには印象的なものが多かった。

 “歌の力”を操るセイレーンに対抗するため、うさぎやモモンガが独特の歌を披露するのだが、そこでセイレーンが口走る「ヘンな歌やめてッ」という言葉はどこかクセになる響きがあった。

 また初期の頃に登場した「キメラ」と呼ばれるキャラクターの発言も、ファンのあいだでは人気が高い。ちいかわの前に突如現れたキメラは、「あはっあはっ」と泣き笑いを浮かべながら、「こんなになっちゃった……」「なっちゃったからには もう…ね…」と言ってちいかわに襲い掛かってくる。

 もはや不条理ホラーのような展開なのだが、たんに怖いだけでなく、ちいかわたちが化け物の姿に変わる「でかつよ化」「キメラ化」現象とも深く関わっていそうなワンシーンだ。

 ちいかわたちが愛されるのは、たんに見た目がかわいいからではなく、ナガノの独創的な言語感覚が染み渡っているからこそ。もしこれから『ちいかわ』を読み始めるなら、ユニークなセリフの数々にぜひ注目してほしい。

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