田中渓が語る「積読ホルダー」活用法と継続できる読書術「習慣化は毎日できるレベルまで下げよ」

 AIというテクノロジーが台頭し、日々の情報収集や最新トレンドのキャッチアップは以前よりも早く、簡単にできるようになった。しかし、情報が溢れる現代において、「読書」によるインプットがなぜ必要なのだろうか。

「富裕層ほど貪欲に学び続け、読書で自分の知識をアップデートしている」

 そう語るのは、元ゴールドマン・サックス証券の投資家で『億までの人 億からの人』(徳間書店)の著者である田中渓だ。AIによって情報収集が効率化される現代だからこそ、読書を通じて養われる知性が、ビジネスの思考力を高め人生を豊かにする鍵となる。

 今回は田中の読書習慣をはじめ、積読を“可視化”して行動を促す「積読ホルダー」(クロスメディア・パブリッシング)の使用感、さらにはビジネスパーソンが無理なく続けられる習慣化の極意についてたっぷりと話を伺った。

人の経験や思考が凝縮されたものを、手頃な価格で読めるのが「読書」の価値

田中渓氏

――以前、田中さんがご自宅に大量の積読を積まれている様子をXに投稿されて話題になりました。その後「積読ホルダー」のおかげで本が崩れなくなり本当に助かっている、とも。今回はこの「積読ホルダー」の使用感について伺いたいのですが、まずはじめに田中さんにとって「読書」とはどのような意味を持つものなのでしょうか。

田中渓(以下、田中):いろんな文脈で言えることなんですけど、ビジネスでの交渉やメディアでの発信活動、普段の何気ない会話に至るまで、あらゆるアウトプットが求められていると思うんです。その土台となるものは、結局のところインプットからしか生まれないんですよね。そういう意味でも、読書はすごく大事だと思っています。

 それと、本の価値を表現するのは非常に難しいのですが、ある意味ではすごく安いものだとも感じています。例えばランチが1回1,000円だとすると、本は2,000円くらい出せば1冊買える。つまり、ランチ2回分くらいの金額で、人が1年も2年もかけて紡いだ思考や経験を数時間で読むことができるわけです。そう考えると、読書はものすごく価値のあるものなんですよ。

 今はAIを使えば、知識や情報を効率的に集められる時代ですが、人が自分の経験をもとに時間をかけて書いた本には、その人にしか出せない「熱量」や「面白さ」がある。人の思考が凝縮されたものを、手頃な価格でじっくり読めるのが、読書の価値なのではないでしょうか。

――「電子書籍」よりも「紙」の本にこだわる理由を教えてください。

田中:情報収集や合理性の観点で言えば電子書籍が良いと思いますが、紙の本には紙をめくる感触やページの位置などの「身体的な感覚が記憶と結びつく」ところはあると思います。そんななか、私にとって紙の本を読むのは、アナログレコードを聴く時と同様に、「フィジカルなものを楽しむ」という趣味の感覚に近いですね。

 また、紙の本は「あと何ページ残っているか」という、目に見えるからこその面白さがあるんですよ。例えばミステリーを読んでいる時、残り20ページになると「ここからクライマックスに向けての畳み掛けだ」と期待が高まったりする。そうやって、「手のひらで残りの厚みを感じながら、感情を揺さぶられて読める」のが、紙の本の魅力だと思っています。

年間150冊を読破する田中渓の読書習慣

――読みたい本を選ぶ際に、どのような判断基準をお持ちですか。

田中:好きな作家を一人見つけると、その人の作品を全部読みたくなるタイプなので、あらかじめ新刊が出ると分かっているものはAmazonで買うこともあります。

 でも、基本的にはリアルな書店に行って、目的を決めずにふらふら歩きながら、本との偶然の出会いを楽しむスタイルが好きなんです。特に、「新しい本と出会えるように設計されている書店」には惹かれますね。例えば、青山ブックセンターや高輪ゲートウェイの文喫といった書店では、まるで“セレクトショップ”のような感覚で本が並んでいて、普段だったら自分では手に取らないような本にも自然と出会える。そういう場所に行ったら、あえて自分の興味の範囲から少し外れたものも手に取るようにしています。

――読むジャンルや1ヶ月に読む本の数、読書の時間帯など、普段の読書習慣について教えてください。

田中:読書量には多少ばらつきがあるんですけど、感覚としては1週間に2〜4冊くらいは読んでいる気がします。最近のビジネス書や自己啓発系の本は、10万字前後のものが多いですよね。そういう本であれば1〜2時間くらいで読めてしまいますし、内容の濃い骨太な本であれば、ある程度時間をかけて読む。そうなると、1週間に平均3冊くらいは読める計算で、年間にするとおよそ150冊程度になるかと思います。

 ジャンルについては、特にこだわりがありません。もともと、人が感じていることや考えていることに興味・関心があるため、読書量の半分以上は小説やエッセイを読んでいますが、ビジネス書や自伝的な作品も読みます。あとは、歴史や哲学、サイエンス、人文学など、本当に幅広いですね。また、物理学のバックグラウンドがあるので、科学や最近のテクノロジーに関する本も好きですし、生き物や動物について書かれた本を手に取ることもあります。本当に、「そのとき自分が興味を持ったものを読む」という感じです。

 読書の枠については、「意図的に設計している時間」と「日常のスキマ時間」の2つを組み合わせて確保しています。まず、生活習慣の中に読書の時間を組み込んでいるのが「朝」ですね。私は毎朝3時45分に起きて運動をするんですが、終わった後にお風呂に浸かりながら30〜60分ほどインプットの時間を作っています。

 また、移動時間やちょっとした待ち時間も読書に充てています。私にとっては電車に乗る時間も「読書のボーナスタイム」なんですよ。あとは、一人で外食するときも文庫本を開き、食事をしながら読んでいますね。

――田中さんにとって「特別な本」は何かありますか?

田中:『影響力の武器』(誠信書房)は、定期的に読み返す本の一つで、私にとってバイブルのような一冊です。「人はなぜ、合理性を欠いた行動をしてしまうのか」という人間の心理を解き明かした本で、今でいう心理学や行動経済学の元祖と言える本なんですよね。

 こういう人間の心理を知っておくと、SNSなどの過激な意見や偏った情報に流されず、冷静に一歩引いた視点を持つことができます。また、私は投資の仕事で人と交渉する機会が多いんですが、物事を円滑に進め、有利な展開に持っていく際に「人はどう動くのか」という本質的な心理を知っていると、ビジネスの場面でかなり役に立つんですよ。

“成功体験”に依存しない。富裕層に共通する「情報アップデート」の思考法

田中渓『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)

――著書『億までの人 億からの人』の中でも、習慣化の大切さについて触れられています。田中さんがこれまで出会ってきた富裕層に共通する読書の捉え方や、インプットに対するスタンスを教えてください。

田中:これまで見てきた富裕層や成功者に共通しているのは、とにかく「学び続けていること」です。過去にどんな形で成功したとしても、その“成功体験”だけに依存し続けることはできないからだと思います。

 世の中はものすごいスピードで変化しているので、昨日まで正しかったことが今日には変わっていることもある。だから、常に自分自身をアップデートしていく必要があるわけです。

 もちろん、人によってインプットの仕方はさまざまで、紙の本を読む人もいれば、AIに情報をキュレーションしてもらう人もいる。電子書籍やネット、人に会って一次情報を取りに行くスタンスを好む人もいるでしょう。結局、手段は何でもよくて、どこかで必ず情報をアップデートし、それに自分なりの解釈を加え、仮説を立てて実行していくプロセスが大事なのです。

――インプットの仕方は人によって異なりますが、読書は重要な情報源として取り入れる方も多いということですね。

田中:そうですね。それに、人とコミュニケーションをしていると、言葉の選び方や話の内容から、その方の「読書習慣の有無」が意外と見えてくるものです。もちろん一概には言えませんが、日常的にインプットを重ねている人には、独特の会話のテンポや思考の深さがある。日頃から情報を取り入れて思考を深めている姿勢は、やはり会話の節々に自然と表れるんだと思いますね。

 あと、自分自身の解釈や意見を持っている人は、最近読んだ本や注目されている人の発言など、適切なところから「引用できる引き出し」をたくさん持っているんです。必要なときに、その引き出しから言葉を持ってこられるのは重要ですし、信頼性のある情報や専門家の言葉を適切に引用することで、自分の考えにも説得力が出てくる。外部の情報や専門家の言葉をうまく借りながら自分の考えを伝えていくのも、一つの重要な能力だと考えています。

圧迫感ゼロで、本がスリムに並ぶ「積読ホルダー」の魅力

「積読ホルダー」(クロスメディア・パブリッシング)

――「本を買ったものの、すぐに読めない」という“積読”状態に対し、田中さんはどのような基準で優先順位をつけて読み進めていますか?

田中:本が増えていく理由を振り返ると、買った理由がそれぞれ違うからなんですよね。ジャケ買いした本もあれば、好きな人がおすすめしていたからという理由で買った本もある。それに、最新動向を追うためのビジネス書、特定のテーマを深掘りするための専門書など、仕事上の必要に迫られて読む本もあります。そうやって色々な種類の本が溜まっていくんだと思います。

 ただ、基本的には「読みたい本」が一番優先順位が高いんですよ。次に、仕事の必要性に駆られて読まなくてはいけない本、その次に人から勧められた本、そしてジャケ買いした本という順番で並んでいます。

 面白いのは、同じ本でも「読める日」と「読めない日」があること。これはその日のバイオリズムが関係していると思っていて、日常に余裕があって「今日はしっかり読書できる」という日もあれば、仕事が忙しくて「読書に割く余裕がない」という日もあるわけです。意外と読書がはかどるのが雨の日で、「今日は外に出なくていい」という気持ちになれたりしますね。

――実際に「積読ホルダー」を使ってみての感想や第一印象をお聞かせください。

田中:私はもともと本をきれいに整理整頓するのが得意なタイプではなくて、油断するとすぐに本が積み上がってしまうんです。

 「そういえば読みたかった本があったんだよな」と思っても、積み上がった本の山から目当ての一冊を探し出すのは一苦労です。さらに、下の方にある本を強引に引き抜こうとすれば“なだれ”を起こす恐れもあり、そう簡単には取り出せません。

 そんななかで、「積読ホルダー」を使ってみたら、これがすごく良かったんですよね。本をそのまま積まなくて済むし、背表紙が見える状態で置けるため、ストックしている本が自然と可視化される。

 買って2〜3ヶ月積んだままにしておくと忘れてしまいがちですが、「積読ホルダー」なら「そうだ、この本があったんだ」と日常の中で再認識できるのがメリットだと感じています。

――「積読ホルダー」を使ってみて、「これはいい」と思ったポイントは何かありますか?

田中:見かけによらず、重厚感がありますよね。滑り止めも付いていますし、きちんとパーテーションで仕切られているので、本を種類ごとに分けて収納できるのもいいところだと思います。一番上のスペースがあえて空けてあることで取り出しやすく、バランスの良さも感じました。

 また、縦長の本立てのように倒れてしまったりする心配がないのも、かなり使い勝手がいいです。スリムで実際に本を置いていても圧迫感があまりないところも気に入っていますね。

やりたい予定を先にブロックし、残った時間で仕事をする

――「積読ホルダー」は、机の上に次に読みたい本をキレイに整理して置くことで、「読書」という行動を促す細かい工夫が施されていますが、田中さんは日々「やるべきこと」を着実に行うために、どのような工夫をされていますか?

田中:日常の中には読書に限らず、運動だったり、自分がやりたいことだったりと「優先順位は高いんだけど、緊急度は低い」というものがあると思います。それらをスケジュールの中に組み込んでいく手法を「タイムボクシング」と表現しています。基本的には、「自分のやりたいこと」や「いつかやらなくてはいけないと思っていること」を、先に全部カレンダーにブロックしてしまうんです。

 先にやりたい予定を入れてしまい、残った時間で仕事をする。これは人間が集中力を持続できる時間を考えると理にかなっています。8時間デスクに向かっていても、本当に密度高く集中できている時間だけを取り出すと、実質3時間程度ではないでしょうか。

 それなら最初から「集中して仕事をする枠」をあらかじめスケジュールに固定し、限られた時間でパフォーマンスを最大化させる方が合理的です。

 私の場合はそこに運動や読書の時間を入れています。先に予定を確保しておくことで、「時間がないからできない」という言い訳をできなくしているんですね。特に読書は今日読まなくても誰かに怒られるわけでもないので、緊急性が高い予定ではありません。

 それでも、長い時間をかけて教養を身につけていくと、その効果は「複利」のように効いてきます。人と話す中で少しずつ会話に“深み”が生まれると、「この人と話すと面白い」と感じてもらえるようになり、新たなコミュニティへとつながるきっかけも生まれたりする。もし「自分の人生をもっと面白くしたい」と思っている人がいるなら、意識的に読書の時間を確保しておくといいのではないでしょうか。

習慣化のコツは、毎日続けられるレベルまでハードルを下げること

――読書習慣が身につかないと悩まれているビジネスパーソンに向けてメッセージをお願いします。

田中:読書に限らず、何かを習慣にしたいときは、「毎日続けられるレベルまでハードルを下げること」が重要です。いきなり難しい本を選んで「300ページの本を1日2ページずつ、150日かけて読み切ろう」とすると、これは結構大変なんですよ。

 それよりも、まずは1日で読めるくらいの本を選んで、「本を一冊読み切る」という経験を積み重ねていくのが大事になります。それこそ、最初は小学生や中学生向けの本から始めてもいいと思うんですよね。

 本を一冊読み切ると自信がつくので、次はもう少し厚い本や文字が小さい本にしてみる。こうして少しずつ難易度を上げていけば、必ず読めるようになっていきます。本を何冊かストックしておいて、自分の中で「初級編」「中級編」「上級編」みたいに分けるのもいいでしょう。

 読書が習慣化してくると、知識が得られるのはもちろんですが、何より「本を読んでいるという体験」そのものが心地よくなってきます。

 一冊読み終えたときの達成感、新しいことを知ったときの面白さ、読んでいる時間そのものの心地よさ。これら全部含めて読書の楽しさですので、最初はあまり難しく考えずに、読書の良さを感じてもらえたらいいのではと思います。

■販売情報 「積読ホルダー」
価格:5,478円(税込)
商品サイズ(組立後):幅200mm×奥行150mm×高さ310mm、重量2.2kg
本体色:ライトブルー(限定1,500個)、ブラック、グレージュ
販売店舗:全国の書店、Amazon、クロスメディアSHOP
販売元:クロスメディア・パブリッシング

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