最後に「知力」。これは読み書きや計算などではなく、戦闘に関するもので軍略や戦術といった軍師の能力が該当する。7巻時点での信の知力評価は40と赤点間近だったが、現状はどうだろうか。まず、信はこれまで戦場で陣形を指示したことがないのだが、楽華隊の蒙恬と李牧の包囲を突破する際には錐型の陣（すいけいのじん）を形成していたことから、ある程度の陣形は理解しているようにみえる。

　また、自らが配置された場所の意味や重要性を理解しているがゆえに、自由に動けず苦悶している姿も描かれているため、将軍としてある程度の知識を身につけたと言えるだろう。とはいえ、信は麃公将軍と同様に、理屈ではなく直感や勘を頼りにしているため、戦術や陣形を机に向かって勉強しているとは考えにくい。これらのことから、信の知力は一般的な陣形と経験を加味して60あたりに落ち着くのではないか。

　信を題材に、現状の能力を数値化してみたが中々に面白いものだった。能力値を考えるために成長過程を見返したことで、その成長がひしひしと感じられたからだ。今回題材にした信は、将軍になったばかりというのもあるが、まだまだ伸び代があることもわかった。

　ちなみに、今回参考にした能力値は4つ。そのひとつにある「政治力」には、備考が書かれている。王騎の4項目目は「魅惑の」唇。楊端和には「美貌」100など、作者の遊び心が感じられる。中にはムタやランカイも掲載されているので、見たことがない人は読み返しがてら確認してみてはいかがだろうか。