ーー5万以上の“いいね”や1万以上のリツイートなど、本作はTwitterで大きな話題を呼びました。今回の反響の感想を教えてください。

コルクガシ：こんなに多くの反応がもらえるとは思っておらず、とてもびっくりしました。読者さんから本作はジェンダーに関することやいじめ問題をさりげなく取り込んでいる作品だというコメントをいただいたのですが、私自身はそういったものを描こうとは意識しておらず、本作はこういった読み方ができるのかと思いうれしく思いましたね。

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

コルクガシ：はじめにヴァンタというキャラクターをつくり、どうにかしてこの子が生きられる場所をつくりたいと思い本作を創作しました。もしもヴァンタが書店で働くとしたらと想像しながらお話を考えましたね。

　ヴァンタが生まれた経緯として、私が空を飛びたいという思いがあり、自分の代わりに空を飛んでくれるキャラクターをつくりたいと思ったことが背景にあります。

ーーヴァンタは人間ではなく、性別も存在しないキャラクターとして描かれていました。ヴァンタというキャラクターをつくるなかで意識したことは？

コルクガシ：私自身、これまで性別の存在が煩わしいと思うことが多々ありました。いまの性別で得したこともありつつ、嫌だなと思うこともたくさんあり……。性別を気にせず人生を楽しめたらいいなという思いから、性別のないヴァンタをつくりました。

　また、ときどき怖さからどこかに隠れたいと思うことがあり、もしも自身が真っ黒だったら辺りが暗くなる夜ならどこにでも隠れることができるなと思ったのです。そのためヴァンタは全身が真っ黒なキャラクターにしました。

ーー店員さんやお客さんも1人ひとりの個性が豊かで魅力的な人たちばかりだと感じました。

コルクガシ：本作を描くにあたって、ヴァンタと同じ気持ちになるために私も書店で働いてみました。そのときに店員さんやお客さまには個性豊かな人が多いと感じ、誰ひとり同じ人がいないなと思ったんです。本作では書店で働く自分の周りにいた人をそのまま描いています。

　書店で働くなかでやることや覚えることが多くありましたが、周りの店員さんたちがやさしく教えてくれました。もちろん、なかには厳しい方もいらっしゃいましたが……。またお客さまのなかには心ない言葉を言われる方もいらっしゃって、さまざまな人にそれぞれの人生があることなど、いろんなことを考えるきっかけとなりました。

ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。

コルクガシ：自分の描いたキャラクターたちを漫画のなかで動かしてみたいと思ったことが漫画を描きはじめたきっかけです。中学時代から自分の描いた漫画を読んでくれる友人がいて、その子に自分の漫画を読んでもらえることがすごく好きで。その延長として現在も漫画を描いています。本作も最初にその友人に読んでもらいました。

　友人は感受性がとても豊かで、ときどき作品を読みながら泣いてくれることもあるんです。そんな友人の反応がすごくうれしくて、今度はどんな作品を描いて泣かせてやろうと思うことが漫画を描く原動力となっているのかなと思います。

ーー今後の活動について教えてください。

コルクガシ：これまでSNSをフォローしてくれていた方の声にも助けられてきたので、すごく感謝しています。この度あたらしくフォローしてくださった方に対しても私を見つけてくださってありがとうございますという感謝の気持ちがあります。

　まだまだ動かしたいキャラクターがたくさんいるので、今後も漫画をたくさん、1つずつ丁寧に描いていきたいです。世の中いろいろな出来事がありますが、私なりの平和を漫画にじんわり落とし込んでいきたいと思いますので、今後もよろしくお願いいたします。