デビュー中止の真実は錠一郎のイップスが原因にあるが、その事情が分からない大阪では錠一郎が奈々と交際して笹川を怒らせたからという悪い噂が流れていた。その話は、当然るいの耳にも。やっと会えたと思った錠一郎のもとに最悪のタイミングで駆け寄ってくる奈々。さらにトランペットが吹けなくなったことを報告するよりも、自分を嫌いにさせる嘘をるいについてしまう錠一郎。小さなほころびがやがて縫い合わせることが困難な大きな裂け目になってしまうのは、安子編の展開と酷似している。

　そして、るいにとっては錠一郎から「お前」と呼ばれること以上に、自分の知らないところで奈々を選んでいたという事実が、かつて母・安子（上白石萌音）が自分を置いてロバート（村雨辰剛）と人知れず愛を育んでいた裏切りを想起させてしまっていることだろう。錠一郎の虚ろぐ視線が嘘のサインであるが、それにるいが気づくことはきっとない。

　先日、『カムカムエヴリバディ』の最終回の放送日が発表になった。本編最終回は、4月8日。放送は全23週で、全112回となる（予定）。つまり第57話に到達した第12週は全体の折り返しを迎えているということだ。第8週まで描かれた安子編から、現在はるい編が第9週から第12週まで放送されている。るい編も安子編と同じく8週で描かれると仮定すれば、るい編としても今は物語の半分を切ったところにあると言える。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演：上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本：藤本有紀
制作統括：堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽：金子隆博
主題歌：AI「アルデバラン」
プロデューサー：葛西勇也・橋本果奈
演出：安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか　
写真提供＝NHK