人気ゲーム実況YouTuberが顔出し解禁へ　長年の活動方針を転換した心理に迫る

　1月2週目、ゲーム実況者のあっさりしょこが、初めて素顔で登場した動画が急上昇にランクイン。活動開始から顔を隠して活動をしてきたあっさりしょこはなぜ顔出しすることを決めたのか。今回は、あっさりしょこの顔出し解禁からYouTuberの顔出しについて考えてみたい。

　あっさりしょこは、人気ゲーム『Dead by Daylight』を中心に動画を投稿しているゲーム実況者だ。2015年からゲーム実況者として活動を開始して以降、これまでは顔を出すことなく動画やイベントに出演してきたのだが、2023年の1本目の動画に顔を出した状態で登場したのだ。

　「ちょっと緊張している」と述べると、あっさりしょこはなんの前触れもなく突如顔を出した理由を説明し始めた。実はOPENRECの公式番組「Blood Party Friday」に出演している人気実況者であるあっさりしょこ。ほかの出演者たちと共に参加するロケやファンミーティングにも顔を隠した状態で参加してきた。あっさりしょこによると、普段顔を隠しているため、撮影やイベントでの立ち位置は後方。さらに「何をしているのか自分の口で説明しなきゃいけない」状況のなか、「上手く伝えられない」という問題もあるという。

　顔出しのメリットについては、視聴者にとっても「（状況が）見えた方が、みている人も面白いと思う」と自身の見解を示しているほか、オフラインイベントでファンとの交流がより深くできると話す。顔が写り込んでいても編集時に気にしなくてよいといった事情もあるようだ。デメリットについては、「そこは自分で決断したことなので、しっかりと受け止めて今後やっていきたいなと思います」と述べており、以降は顔を出した状態で活動していくとしている。

　一方で、人気ゲーム実況者のサワヤン兄弟の兄・サワは昨年12月、ゲーム実況動画での顔出しを一時休止することを発表。純粋にゲームを楽しんでほしい、視覚的なアプローチだけでなく耳に届ける笑いを大事にしたいという理由から決断したと説明していた。

　サワの動画では、ゲーム中にサワがテーブルを叩きつける「台パン」が代名詞となっている。しかし顔出しをしなくなることで台パンが見られなくなることから、ファンが顔出し休止に“待った”をかける事態に。結果、サワは台パンをするたびに顔出しを切り替える企画を実施することになるなど、YouTube上では顔出しをめぐってちょっとした珍事件が起こっていたのだ。

　昨今のYouTubeは顔出しをしていない人気チャンネルも多い。そのジャンルはゲーム実況やVlog、料理、アウトドアなど幅広く、顔を出さなくとも再生数が取れる、人気になれるということはすでに周知の事実ではないだろうか。YouTuberが顔を出さない理由には、本当に伝えたい内容が届くようにといった考えや、身バレ、自身や家族といった周囲への誹謗中傷などのリスク回避などがある。そういった理由で顔を隠して活動することには、異論を投げかける視聴者はいないだろう。

　しかし、あっさりしょこが顔出しを決めた理由やサワのファンの反応を見ると、やはりYouTuberと視聴者間のコミュニケーションにおいては、顔を出した活動が重要であることがわかる。YouTuberにとっては顔を出した活動は前述のようなリスクを負うことにはなるが、表情には言葉以上にその人の本心が現れるため親近感が湧きやすく、バズる可能性が高い。今年の年始に急上昇ランキングを賑わせたあいりの福袋動画が、まさにこのことを証明したものだった。

　一度ネット上に出てしまった情報はデジタルタトゥーとなり半永久的にネット上に記録されてしまうため、顔出しについては慎重にならざるを得ない。あっさりしょこの顔出し解禁は、こういったさまざまなリスクを負ってでも表舞台で活動するという覚悟の現れなのではないだろうか。