アイナ・ジ・エンド、miwa……書き下ろし楽曲×恋愛番組で生まれる“没入感”

書き下ろし楽曲×恋愛番組で生まれる“没入感”

 多くの出演者の恋愛模様を追いかける恋愛番組が放送されている昨今。数多くのシリーズが展開され、絶えることない話題で視聴者を虜にし続けている。番組ごとの主題歌もその都度人気を呼んでおり、特に書下ろしで提供される楽曲は、番組とも細かくリンクすることで番組の魅力をより引き立て、エンディングや劇中を彩っている。

 現在放送中の人気恋愛番組シリーズ『恋愛ドラマな恋がしたい』(以下、『ドラ恋』)の9作目となる『恋愛ドラマな恋がしたい~Kiss me like a princess~』は、主題歌に書下ろし楽曲が起用されている番組のひとつだ。本シリーズは、「恋愛ドラマの共演をきっかけに恋は生まれるのか」をテーマにした番組。恋愛ドラマの主演をかけ、稽古、オーディション、出演する男女ペアの決定、撮影という順序で番組が進んでいくため、他の恋愛番組よりも出演者の俳優としての力量が試されることになる。さらに、男女が親交を深めることができる場面も、練習時間やオーディション、ドラマ撮影の時間がほとんど。そのためドラマに出演できるか否かは異性との関係構築の観点からも重要となってくるなど、恋愛要素とともに本気で主演を競い合うシーンやドラマ撮影に挑むシーンが重要な場面として番組の多くを占めているのが『ドラ恋』ならではの特徴だ。

 アイナ・ジ・エンドの歌う書下ろし主題歌「私の真心」は、そんな『ドラ恋』のシビアな展開にもぴったりな、R&Bを思わせる落ち着いた楽曲。ハスキーな歌声とピアノやウッドベースのしっとりとしたサウンドは、主題歌としてだけでなく、作中で撮影される恋愛ドラマのドラマチックなシーンともマッチする。これまでの恋愛番組に多かった、キラキラとした青春というよりも、真剣な眼差しが交錯する場面が多い『ドラ恋』の、恋愛を超えた本気さにも似合う大人びたトーンの楽曲だ。〈私をもっと知って欲しい〉という歌詞は、短い時間で互いを知り魅力を見つけ合うという番組の主旨に通じると同時に、〈裸の気持ちなの〉という歌詞と併せて、ドラマの役柄を通して相手を見ることが多いために「役柄ではない私自身を見てほしい」という出演者が抱くであろう感情ともリンクする。役柄というフィルターを通して互いの気持ちを確認するもどかしさを、歌詞が的確に言い表している楽曲だ。

 さらに、『私たち結婚しました 3』(以下、『わた婚』)の主題歌にはmiwaが書き下ろした楽曲が起用されている。『わた婚』は、芸能人同士の男女2組が期間限定の結婚生活を送るという結婚モキュメンタリー番組。軽やかな曲調に乗せて目の前のものへの純粋な愛を歌う「君が好きです」は、全体的に漂う柔らかい印象が番組の穏やかさと一致する楽曲だ。弾き語りを中心としたアレンジは、番組内の夫婦が作り上げるほのぼのとした日常によく溶け込んでいる。

 番組の中で夫婦となる2人は、近い距離感で共同作業や生活を送りながらお互いのことを知っていく。〈知れば知るほどに恋に落ちていく〉という歌詞は、互いのことを知り、仲を深めていく様子とマッチするフレーズだ。大人数の中で駆け引きが行われるのではなく、最初から相手が決まっている安心感と、ゆっくりと仲を深めていく穏やかな様子が描かれる番組の魅力を、miwaの包容力のある歌声や楽曲が引き立てている。「君が好きです」というタイトルや歌詞でのストレートな愛の言葉など、カップルではなく夫婦というモチーフが描かれていくゆえの、迷いのない力強い想いがこもった楽曲だ。

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