未来を変えるかもしれない次世代型飛行機 アイルランドのYouTubeチャンネルが詳しく解説

 世の中の興味関心について、専門的な内容で解説する海外の人気YouTubeチャンネルがある。それはアイルランドの「Real Engineering」というチャンネル。登録者数約333万人にもおよぶ海外の人気YouTubeチャンネルで、動画はどれも数十万~数千万の再生回数を誇る。30分程度の長時間で動画を投稿しているのがReal Engineeringの特徴。

 なかでも1つ興味深い動画が投稿されていたので、ぜひ紹介したい。それは「The Plane That Will Change Travel Forever(永遠に旅行を変えるかもしれない飛行機)」という動画。2021年8月12日公開で、再生回数は約202万回にもおよぶ。

The Plane That Will Change Travel Forever

 こちらの動画では、将来の航空業界を変えるかもしれない、次世代の機体を紹介している。それは「ブレンデッドウィングボディ(Blended Wing Body、BMB)」とも呼ばれる、翼と胴体が一体化している機体だ。

 形状自体は新しいものではなく、たとえばB2スピリットのような軍用機も翼と胴体が一体化している。一方で、ブレンデッドウィングボディ(翼と胴体が一体化した機体)を民間旅客機にも適用できると、いくつかメリットがある。実際にNASAやボーイング、エアバスがブレンデッドウィングボディの旅客機開発に力を入れている。

 ブレンデッドウィングボディの最大のメリットは、燃費効率のよさだ。従来の機体に比べて燃料消費を27%軽減できると言われている。

 飛行機は通常、翼の浮き上がる力「揚力」と飛行機の「重力」が均等になることで、水平飛行が可能になる。しかしこの重力は当然望んでいるものではなく、重量に反発して飛行するだけのエネルギー消費が必要になる。

 また一般的な旅客機は、乗客が乗っている機体の中心に重量が集中することで、両翼の根元にもっとも下向きの力が働く。その下向きの力に耐えるだけの補強を機体に施す必要があり、増加した重量に反発するだけの揚力を生み出すため、結果として燃料の消費が増えるのだ。

 対して乗客450人乗りのブレンデッドウィングボディを想定した場合、機体が横に広いぶん、水平方向に乗客の重量が分散される。重力が均等化されることで従来の飛行機よりも強い揚力を生み、結果として燃料消費が少なくなるという。

 また、両翼の面積が広く翼と一体化しているため凹凸がなく抗力(飛行機を減速させる方向に作用する力)が小さくなるため、燃料効率が上がるそう。仮にすべての旅客機がブレンデッドウィングボディになった場合、世界の化石燃料消費額が26億ガロン減るそうで、環境保護の効果も期待できるだろう。もしかしたら今のような皆が思う飛行機はなくなり、軍用機のような形状の旅客機がふつうになる将来も、そう遠くないのかもしれない。

 このように、世の中の疑問に対して非常に詳しく分析するのがYouTubeチャンネル「Real Engineering」の特徴。実際に上記の動画は約27分にもおよぶ時間で、かなり踏み込んだ専門的な内容まで解説している。

The Insane Engineering of the 787

 特に飛行機に関する動画が多いのが特徴。たとえば「The Insane Engineering of the 787」では、約31分の動画で、旅客機のボーイング787について解説している。2021年10月4日公開で、再生回数は約213万回にもおよぶ人気動画。内容は難しいが、飛行機が好きで詳しい方であれば非常に興味深い企画だろう。

 さらにReal Engineeringでは、動画によっては英語の字幕がついている。知識を増やせる動画がいくつか投稿されているので、気になる方はぜひ視聴してみてほしい。

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