指輪で決済する「EVERING」はキャッシュレスを加速させる? シンプルなユーザー体験にこだわる理由とは

「EVERING」が加速させるキャッシュレスとは

決済インフラの安全性を担保することが大切になる

 他方、初回先行予約分の完売で手応えを掴んだものの、事業拡大については慎重に行っていくという。

 「決済という非常にセキュアさが求められる事業なので、プロダクトを一気に拡販したときに毎日の生活に欠かせない決済という行為が安心・安全に守られるようにするのが最も大切なこと。リングとソフトウェア、バックエンドとのシステム連携も、堅牢なセキュリティの設計を施しています。ユーザー側も、仮にリングを紛失した場合は、専用のスマホアプリからワンタッチで利用できる仕様になっています。今後、秋口の一般販売に向けて増産を計画していますが、決済インフラの安全性が揺るがないよう意識して、一歩ずつ着実に事業を広めていく予定です」

販売目標を追うよりも、新たな需要喚起することに注力

 現在、EVERINGは17種類のサイズ展開とブラックカラーを展開している。今秋予定の一般販売に向けた準備はもとより、年内にはホワイトカラーの投入も検討しているそうだ。

 スマートウォッチやスマートグラスなどに代表されるウェアラブルデバイスだが、新たにスマートリングが世の中に浸透していく可能性は十分にあるだろう。

 最後に川田氏へ今後の展望について聞いた。

 「決済用のスマートリングという市場も認知も無い中でEVERINGは今年5月に日本でローンチしたばかりのプロダクトです。ゆえに、販売目標を求めるというよりも0→1という新しい市場を作り出すフェーズにおいては、地道にEVERINGが目指す『Less is smart』の価値観を啓蒙し、草の根活動で広めていくことが大事だと認識しています。アクセサリーとして取り入れつつ、決済手段としても重宝する指輪、またはスマートな生活を体現できるリング型ガジェットなど、打ち出し方や訴求軸は色々と考えられるでしょう。

 なので、ユーザーのニーズを見ながらブランドの世界観を構築できればと思います。とはいえ、最終的には多くの人に使ってもらえるようにしていきたいので、キャッシュレス決済以外にも家やオフィスの施錠で使うスマートロック機能や電子チケット機能など、あらゆる日常生活に関連する機能を搭載し、スマートリングが提供できるUI/UXの体験価値を高めていきたいですね」

 

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