カジュアルなMOBAを体現する『ポケモンユナイト』 コミュニティに見た“2つの分断”

『ポケモンユナイト』に見た“2つの分断”

MOBA経験者・未経験者のあいだにある溝

 2つ目は、MOBA経験者・未経験者のあいだにある溝だ。Twitterにおけるパーティー募集では、同ジャンルの経験を条件とするツイートも散見される。こちらもカジュアルなゲーム性に裏付けられたハードルの低さを売りとする『ポケモンユナイト』にとっては、好ましくない傾向と言えるだろう。

 確かにMOBAの経験が立ち回りに影響するシーンは多い。私の場合で言うならば、モバイル向けタイトル『vainglory』を過去にプレイしていたことが、マスター到達に有利に働いた実感がある。

 しかしながら、経験に左右されるのは、どちらかと言えば、プレイヤースキルではなく、ゲーム理解の方である。こちらは、人の言葉を通じて知識を得られさえすれば、誰でも実践しやすい。たとえば、周囲やゲーム実況配信、攻略動画などから、MOBAの定石とされる要素を知ることもできる。

 『ポケモンユナイト』、ひいては全てのMOBAタイトルに共通する、プレイヤー間の軋轢は、当事者の知識不足によるところが大きい。定石を学ぶ文化が根付き、同ランク帯のプレイヤー間でゲーム理解に差を感じなくなれば、経験の有無を問う募集も減少へと向かうだろう。

 8月4日のアップデートで試験的に実装されている観戦機能は、こうした溝を埋める取り組みと言える。運営が率先して課題解決に取り組めば、『ポケモンユナイト』は「最も易しいMOBA」として、継続的に新規プレイヤーを獲得していけるタイトルとなれるかもしれない。

 ここ数年は、性別を問わず支持されるゲームがトレンドを作り上げてきた背景がある。MOBAという、いわばメンズライクなジャンルにあって、『ポケモンユナイト』はどこまで支持を広げられるのか。小さな課題も見過ごさない運営の対応を期待したい。

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