体操やサッカーの審判、トレーニング、戦術分析、そして報道まで……広がるスポーツにおけるAI活用

スポーツにおけるAI活用の拡大

AIによって変わるスポーツ報道

 共同通信社は、スポーツ報道写真のキャプション(写真の説明文)の作成に株式会社アドバンスト・メディアが提供する音声認識AI「AmiVoice Ex7 Business」を活用している。

 共同通信社は、報道写真のキャプション作成を迅速化するために、サッカーW杯ロシア大会よりキャプションを音声で吹き込む運用をしていた。音声で吹き込まれたキャプションに関しては、写真を記事に挿入する際には文字に書き起こす作業を行っていた。こうした業務プロセスでは1試合で500枚以上の写真が撮影されるため、音声データから文字を起こす作業が膨大になり大きな負担となっていた。

 以上のような業務プロセスを改善するために、共同通信社は音声データからの文字起こしにAmiVoice Ex7 Businessを導入した。文字起こしが自動化された結果、報道写真のキャプション作成が大幅に迅速化した。この新しい業務プロセスは2019年のラグビーW杯日本大会から始まり、更なる活用拡大を目指している。

 ロイター通信は2020年2月、AIスタートアップのSynthesiaと共同してAI駆動のキャスターが出演するスポーツ報道番組のプロトタイプを発表した。このプロトタイプは、フォトロアルなAIキャスターがサッカーの試合のダイジェスト動画の内容を読み上げる、というもの。ダイジェスト動画自体も、AIによって制作されている。

 Syntesia公式サイトによれば、AI駆動型動画制作システムにはフォトリアルなAIキャラクターがデフォルトで40種類用意されており、顧客が独自に制作したAIキャラクターも使える。音声は合成音声のほかに、実在の人間からサンプリングした音声も使える。また、同社のYouTube公式チャンネルには多数のサンプル動画が公開されており、そのなかには報道番組もある(以下の動画参照)。

 以上のようなAI駆動型動画制作システムを活用すれば、例えば視聴者ごとにカスタマイズされたスポーツ報道番組を配信できるようになるだろう。

 AIはスポーツのさまざまなシーンに応用されているが、そうした応用事例はAIが人間のアスリートや監督の仕事を奪うようなものではない。むしろアスリートや監督をサポートするものであり、AIが導入されたとしてもスポーツの主役は依然として人間であることに変わりないのだ。

トップ画像出典:YouTube「Footy Skills Lab - Made by Google」より画像を抜粋

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