Aimer、Vaundy、yama……アーティストと「恋愛番組」が生み出すものとは? “大人の恋愛事情”に切り込む作品も

アーティストと「恋愛番組」が生み出すものとは?

 破局ギリギリカップルのリアルなすれ違いや修羅場がそのまま描き出される『隣の恋は青く見える』(以後、『隣恋』)の主題歌はAimer feat.Vaundyの『地球儀 with Vaundy』だ。Vaundyは『東京ラブストーリー』(FOD)、Aimerは『あなたの番です』(日本テレビ系)や『ホットママ』(Amazon Prime Video)でも主題歌として作品を彩っており数々の作品で印象付けてきた。

 “恋の始まりや芽生え”が感じられる『ドラ恋』から一気に趣向が変わり、もっと生々しいリアルカップルの2人の関係の進退を見極める“別れの瀬戸際”が描かれるのがこの『隣恋』で実際に交際中のカップル4組が”お試し破局“の後、10日間の共同生活をを経て、復縁か決別か、はたまた新しい恋かを最終判断するというもの。

 考えさせられることが多い本作品のなかで、AimerとVaundyという若き才能のタッグが軽快なグルーブで奏でる楽曲が差し込まれることで「恋の酸いも甘いも」を味わっているような気分にさせてくれる。

 そんな誰しもが経験したことがあるカップルのリアルな悩みを提示してくる『隣恋』では“すれ違い”の理由も様々で、結婚のタイミングや温度感が合わない「婚期すれ違いカップル」のユウスケ×マキコと、「人生プラン不一致カップル」のリョウスケ×ハルナが登場するも、その内情は違う。

 早く結婚したいマキコに対してユウスケはいまいち結婚に踏み出せないと言い、一方そろそろ結婚したいと言うリョウスケに対して、ハルナはまだまだやりたいことがありすぐには結婚は考えられないと言う。

 一方、彼から自分が大切に扱われていないと訴える「腐れ縁カップル」のユウタ×サヤカと、「歳の差レスカップル」のカーロ×イオナ。他の異性との距離の近さや感覚がユウタと違うと言うサヤカが涙ながらに「好きな人の“特別”が欲しい」と訴える姿が印象的だった。他にもっと自分のことを大事にしてくれる人だって現れるだろうに、“他の誰かじゃダメで、相手はあなたが良い”という悲痛な心の叫びがちょっと眩しくもある。

 その姿は条件やライフスタイルが合うという面を重視して交際を開始した、32歳会社経営者のユウスケにも影響を与えたようだ。“好き”という気持ちをちょっと置いてけぼりにしていたと気付かされたようで、これが彼らにリタイアを決意させるきっかけとなる。

 さらに、互いに干渉し合わないリョウスケ×ハルナは、周囲から見れば“互いを理解し合っている、応援し合えている関係に映るようだが、内情はどうやら少し違うようで、彼らにもどうしようもない価値観の不一致があり、どちらが正しいという訳でもない価値観の違いは平行線を辿るばかりで、なんとも気まずく歯痒い。

 第5話から共同生活の舞台が長野県・白馬から沖縄県・宮古島に移り、3組のカップルの最終決断までのカウントダウンが描かれる。また、白馬でリタイアしたユウスケ×マキコの真相が明らかに。

▼『隣の恋は青く見える』第5話
https://abema.tv/channels/abema-special/slots/AUkGXwFfUiQ6DD

 カップルの“モヤモヤ期”をこんなにタイムリーに観られる機会はそうそうない。“別れ際(やそこに向かうまでの過程)にこそ相手の本性が出る”と言うが、各カップルがこの10日間で今まで知らなかった相手のどんな部分を見て、どう判断するのか。これまでの2人だけの楽しかった思い出と、今目の前にいる相手の姿とのギャップをどう埋め合わせて、どんなストーリーを紡ぐのか気になるところだ。     

 ここで紹介してきた恋愛番組に対し「今はこのようなテーマもあるのか」と驚いた人も少なくはないだろう。時代とともに恋愛番組のカタチは驚くべきほど変化していることもあるが、作品を彩る主題歌の重要性は見ての通り変わらず引き継がれている。作品、楽曲どちらを入り口にしてもその相乗効果を楽しむことができる恋愛番組と主題歌の関係性。ぜひ自分ならではの視点で味わい深く見ていってほしい。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで年間の劇場鑑賞映画本数は約100本。Twitter:https://twitter.com/Tominokoji

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