PS2・GC・GBAを解禁した『ゲームセンターCX』 新展開の裏に感じた、ゲーム業界に対するメッセージ

『ゲームセンターCX』 新展開に感じる、ゲーム業界に対するメッセージ

「PS2・GC・GBAの存在は、“回顧的”でこそあれ、“懐古的”ではない」

(5月27日24時放送の最新回では、1991年発売のFC用ソフト『ドラゴンズレア』に挑戦した)

 提起の根本には、こうした言葉に対する感受性の違いがあるのではないだろうか。

 とはいえ、ゲームセンターCXには、「ハード発売から20年経過」をレトロの定義とする企画ルールがある。今回のPS2・GC・GBAタイトルの解禁は、このルールに基づいたアップデートだ(それぞれ発売から、21年2か月、19年8か月、20年2か月)。

 発表を巡っては、「〇〇をプレイして欲しい!」「(ソフトのデータ容量増加にともなうゲームのボリュームアップに対し)限られた時間でクリアできるの?」「(既に解禁されていたハードの)〇〇をプレイしてないのに……」といった声も散見された。驚きと戸惑い、期待、不安、有野氏への心配(?)が入り交じる同番組の18年目のアップデートは、ファンに好意的なものとして受け入れられるのだろうか。命運は、扱うタイトルの選択と同氏の悪戦苦闘する姿が握っていると言えそうだ。

 一方、上述のルールに基づくと、放送開始当時の最先端ハードも数年後には企画の対象となってくる。PlayStation3(2006年11月発売)、Wii(2006年12月発売)、ニンテンドーDS(2004年11月発売)、PlayStation Portable(2004年12月発売)が主なラインアップだ。

 こうしたゲーム機が“レトロ”の文脈で語られたとき、私たちはそこにいっそうのギャップを感じてしまうだろう。家庭用ハードの登場から半世紀。裏を返せば、恐るべきスピードで進化を遂げてきたその歴史はここ20年、以前ほどの技術的発展を見せてはいないといえるのかもしれない。

 ゲームセンターCX『有野の挑戦』におけるPS2・GC・GBAタイトルの解禁には、変わるレトロゲームの概念、さらには、“商業的事情”を土台に繰り返されるハード刷新への問題提起が映し出されているような気がした。

■結木千尋
ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。
執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。
人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。Twitter:@yuuki_chihiro

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる