呪術廻戦、ヒプマイ……Spotifyが「声優の音声コンテンツ」に参入する理由

Spotifyが「声優の音声コンテンツ」に参入する理由

音声コンテンツの流通拡大に、音楽サブスクは最適

 アニメやゲームなどをより楽しみ、「作品やキャストを理解したい!」というファンの気持ちに応える音声コンテンツは、かねてから親しまれてきた。なかでも、アニメや声優にまつわるラジオはアニラジと呼ばれ、「A&G(アニメ&ゲーム)」枠を持つ文化放送など従来のラジオ局のほか、音泉やブシロードの関連企業が運営する響ラジオステーションなど、アニラジ専門のネットラジオでも配信。また、作品の公式サイトやニコニコ動画、YouTubeの公式チャンネル内と、音声コンテンツを展開するプラットフォームは多岐にわたる。

 これらの音声コンテンツの一部は、ポッドキャストとして配信され、SpotifyやAmazon Music、Apple Podcastなどのアプリで視聴可能だ。音楽のサブスクリプションサービスならば、音楽とポッドキャストをシームレスに行き来することができる。たとえば、ゲストの声優の歌が気になれば、すぐに検索できるし、作品で使われる曲のプレイリストも好きなように作成できる。さらにSpotifyは、自分が聞いた曲や様々なデータをもとに、パーソナライズされたポッドキャストやアルバム、プレイリストをおすすめしてくれる。このレコメンドの質の高さがSpotifyの特徴であり、ユーザーに選ばれる大きな理由の1つだ。

 人気の作品は、シリーズ化を前提に多角的なメディア展開を行い、継続的に情報を提供していく。その上で、作品を象徴する声優の音声コンテンツは、ファンとの接点を持ち続けるための方法として、大きな役割を持つ。作品作りの裏側をこっそり覗いているような感覚も、魅力だ。ナビゲーターも、パーソナルな話をする傾向にあるため、親近感が生まれやすい。

 アニメやマンガ、ゲームなどのコンテンツを楽しむ裾野が広がり、積極的に情報を追うコア層から、「友達が見ているので」といったライト層と、ファンの濃度も様々。幅広いファン層やファン潜在層と接点が持て、「好きな時に」「音楽も一緒に」聴けるSpotifyのようなプラットフォームは、音声コンテンツの配信先として選択されていくだろう。動画配信サービス各社がオリジナルコンテンツに注力するように、Spotifyオリジナルポッドキャストの拡大に期待したい。

■マチコマキ
マーケティング分野を専門とする、フリーの編集・ビジネスライター。2次元とスケートの世界に生きています。https://note.com/sukizuki

トップ画像:RPTimesより

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