GReeeeNはバーチャルライブの“先駆け”だったーー9年前から紅白までの軌跡を辿る

GReeeeNはバーチャルライブの“先駆け”?

 そして、話は冒頭に戻る。数々の経験を経た上で初出場となった『NHK紅白歌合戦』での歌唱。ステージの上に現れた4人の姿を見た視聴者からは「本物!?」「CG!?」といった驚きの声が飛び交った。本物だとすると、ここまで十数年、一貫して顔を出してこなかったGReeeeNが初めて世に顔出しをしたことになるし、CGだとしても、人間と見間違うほどに精巧な仕上がりのアバターが、ごく自然に歌唱をしていたことになる。いずれにせよ、先述したツアーを訪れたファンからすれば、いつもの4人にテレビ越しに会えたことに違いはない。

 関係者への取材を進めるなかで、この演出はアバターをARでステージ上に投影し、メンバーのリアルタイム歌唱に連動してアバターの口も動くというパフォーマンスがなされていたのだったことがわかった。

 今後、テレビのリアルタイムなライブパフォーマンスにおいて、テクノロジーの進歩とともに、同様の仕掛けが展開されることも多くなってくるだろう。

 だが、それは2020年の年末にGReeeeNが作った前例のうえに成り立っているという歴史の証明として、本稿を残しておきたい。

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