『桃鉄』ブームで振り返る、シリーズの原点『新・桃太郎伝説』が挑んだ“スーパーファミコンの限界”

 当時私が持っていたのは『新桃太郎伝説 究極本』という発売から少し経ってから発売された攻略本だった。表紙には「君は『新桃』の60%しか知らない」と力強く書かれており印象に強く残っている。実際、ノーヒントの隠し要素や開発画稿をはじめ、なんとメッセージウインドウの表示方法変更の裏技やデバッグモードの入り方まで書いてあるのだ。煽り文句に偽りなく、確かに究極本であることに間違いはなかった。

 ちなみにこの頃の桃鉄の攻略本では「これで君は85%勝てる!!」と謳っており、パーセント表示による煽りがさくまさんのブームだったのかもしれない。なお、残りの15%を教えないのは「さくまが勝てるように(誰だって負けたくない)」からである。

 正直、思い出補正ではあるのだが、あの頃の作品には発売される度に新しいことでできる、こんなことまでできるのか、といった驚きがあった。その後現在に至るまで、ゲームの種類は無限に分岐し、マシンスペックもユーザーが認識できる範囲を優に超えた。ゲームシステムは差別化だけを担い、そこに挑戦の意味は失われてしまっているのかもしれない。当然出来ることは増えていて、昔のゲームの方が良いゲームだったというわけでもない。今思い返したり実際にプレイすれば各所にストレスを感じ、クソゲーだと感じてしまうかもしれない。

 だからこそ、昔のゲームの思い出は「何が自分にとって面白いのか」をクリアにしてくれる。今から見れば荒削りなゲームの何が刺さったのか。好きと感じるものは何だったのか。そこで育まれたのが価値観であり、現在の自分を形成しているものではないだろうか。そんな自己分析として、懐ゲーを思い返してみてほしい。

■布村壮太
ジャニーズとガンダムを愛するMENSA会員。ガチャは出るまで回す派。Twitter

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