AZKi、YuNi、カグラナナなど15組が登場! VTuberによる音楽の祭典『Virtual Music Award 2020』レポート

『Virtual Music Award 2020』レポート

もこ田めめめ

 再びの暗転明けにはもこ田めめめが『FuwaMoko→LIFE!』を引っ提げて登場。チップチューンを元気いっぱいに歌う彼女のセンスに画面を飛ぶ星とハートのエフェクトが妙に似合う。「コメントも見えてるよー、拍手ー!」という彼女に会場も配信のコメント欄も拍手で応えた。次にもこ田めめめが披露したのは「優勝」。原曲を歌うピンキーポップヘップバーンはもこ田めめめ大のオタク。彼女たちの間柄を知るファンならピンキーの反応を想像してニヤリとしたことだろう。

花鋏キョウともこ田めめめ
花鋏キョウ

 続いては呼び込んだ花鋏キョウとのデュエットで星街すいせい『天球、彗星は夜を跨いで』。2人と6月にスタジオライブをおこなった星街がまだ事務所に所属していない、いわゆる個人勢の当時にキタニタツヤが制作した楽曲だ。もこ田からバトンタッチした花鋏キョウは自身のニューシングル『Starry』を披露。自粛期間で気持ちが沈んでしまうところを明るく照らせるよう「初めて作詞にチャレンジした」という詞をしっとりとした歌声で会場に集う観客、そして配信を見る視聴者の元へと届けた。

燈舞りん、波羅ノ鬼、花鋏キョウ
波羅ノ鬼

 更にステージには燈舞りん、波羅ノ鬼の2人が登場。3人が歌うのは波羅ノ鬼の『余命宣告』。「殺してしまえばいい」という言葉からサビに入る激しい曲をせめぎ合うように歌う3人に自然と見ているこちらも鼓動が早くなる。舞台に残った波羅ノ鬼は続いて花鋏キョウの『paradøx』、自身の当日サブスク解禁の新曲『サイレン』へ。どちらも芯の強く張り裂けそうな歌声で観客を惹きつけた。

富士葵

 そして次に舞台へ上がったのは富士葵だ。ロックチューン『MY ONLY GRADATION』を一息に歌うと会場のボルテージは最高潮。肩で息をし、会場・オンライン、全ての観客に感謝しながら富士葵は言う。「ライブが出来るって幸せですね!」

 「ブイアワ用に作ったピアノアレンジ」とMCを挟んで歌うのはHIMEHINAの『うたかたよいかないで』。様々なVTuberがデビューし、そして引退もしていった激動のシーンについて歌われた2019年のこの曲も、2020年ライブの終わり際には特別な意味さえ伴って胸を打つ。

 新型コロナウイルス感染症の影響で多くのライブが中止を余儀なくされた波乱の1年。もうすぐ終わってしまうこのライブもそんな危うい状況の中、波間に揺れ浮かぶ泡のようなバランスで成立している。「あのね うたかた ありがとう さようなら あのね うたかた またここで会おう」そんなことに思い至るほど、ライブのクライマックスに、そして一年の終わりに相応しい曲を、シーンの初期から活動し続ける富士葵は力強く熱唱する。

奏天まひろ、獅子神レオナ、星乃めあ、もこ田めめめ、富士葵

 「楽しい時間はあっという間」と最後の曲に行く前に奏天まひろ、獅子神レオナ、星乃めあ、もこ田めめめの4人がステージへ。富士葵を合わせて賑やかな5人が「このライブを見てくれているすべての人に」と歌うのはキズナアイ初のオリジナル楽曲でもあった『Hello, Morning』。途中、まるで終わってほしくないかのように映像が止まってしまうトラブルを挟んだものの無事にMCで乗り切り、祝祭めいた雰囲気のまま『Virtual Music Award 2020』は幕を閉じた。

■ゆがみん
1990年生まれの地方在住。インターネットに青春時代を持っていかれた。VRとesportsが関心領域。最近はnoteを拠点に活動している。Twitter

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