AdobeCPOが“2021年のテックトレンド”を予見 「クリエイティビティ」が主人公の一年に?

AdobeCPOが予見する“2021年のテックトレンド”

次世代デジタルネイティブたちと表現の責任

 このトレンドは、コンテンツクリエーターたちにも大きな影響を与えている。今までは個人がタレント事務所やエージェントと契約を結ばなければ大きなメディアに登場することは不可能だったが、TikTokやYouTubeなどのプラットフォームにより簡単に自分のコンテンツを作れるようになった。高機能な画像処理からグラフィックまでをカバーするAdobe Creative Cloudなどのようなサービスは、クリエイターたちにプロ並みの仕事を個人で完成させることを可能にし、より多様で参入しやすいクリエイティブ市場を開拓した。これらをさらに発展させ、コミュニティベースに特化した「Circle」や「Geneva」のようなプラットフォームは、それぞれのブランドや個人のコミュニティを招きコンテンツ配信することによって、ファンベースの強化とマネタイズ化に貢献するだろうとScottは予測する。

 また、現在の若い世代はデジタルネイティブと言われ、生まれた時からスマートフォンやコンピューターに囲まれているため、テクノロジーに関係したプライバシーや人権の問題に敏感だ。今までの大きなテック企業の情報格差や搾取に対抗すべく、若者たちはオンラインプラットフォームを使いこなしながらもプライバシーや透明性などを重視しながら評価を継続していくことを重視している。こうした主要ユーザー層の変化にテック業界も対応せざるを得なくなるため、GoogleやAmazonなどもプライバシー設定のカスタマイズを可能にし、透明性のあるシステム作りを余儀なくされている。

 新型コロナの影響により自粛を促され家に閉じこもりがちだったこの一年。そこから抜け出すため、多くの人たちがクリエイティブで刺激のある新しい体験を求めている。そんな中、これらのクリエイティビティを重視したトレンド予測は、新しい年とテック業界の幕開けを示唆しているとも捉えられる。2021年は、多くの新しいクリエイターたちがより簡単に自分たちのアイディアや作品をシェアできる土壌が整った、大きな飛躍の年になるのかもしれない。

■mugiho
ニュージーランドの大学でマオリ文化の発展・都市計画・教育について学びながら映画、テック、文化芸術について執筆するフリーライターと翻訳家。人間観察をしながらたまにそれらについて書いたり撮ったりしている。

〈Source〉
https://news.sky.com/story/coronavirus-the-incredible-art-created-in-lockdown-11987230
https://siliconangle.com/2020/12/10/adobe-leaps-past-analyst-expectations-record-quarterly-revenue/
https://www.businessinsider.com.au/adobe-cpo-8-tech-trend-predictions-for-near-future-2020-12?r=US&IR=T
https://circle.so/
https://www.genevachat.com/
https://www.usebraintrust.com/about
https://www.getcashdrop.com/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる